恐怖はちんちんへと変わる 『Outlast』

こわいけどちんちんでてる……

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 アメリカの精神病院でね、……出るんですよ。いや、幽霊じゃなくてちんちんが。

 Red Barrelsが開発した『Outlast』をプレイした。本作はとてつもなく怖いと有名なホラーゲームなのだが……。いや、確に怖かった。怖かったことは怖かったのだが……。

 フリージャーナリストであるマイルズ・アップシャーは、何やら危険な実験を行っているらしい「マーコッフコーポレーション」が運営する精神病院へとビデオカメラを手に調査へ向かう。本作において最も怖いのはこの精神病院に入る前だと言える。

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 中に入ると“治療”を受けた不気味な人間たちがたくさんいる。どいつもこいつもブツクサつぶやいているだけと思いきや、時にはバァーンといきなり出てきてこちらを驚かしたり、ついでに手に持っている刃物でぶち殺そうとしてくるのだ。ああ、なんてこわい……。

 しかし、あることに気づいたあとはそちらのほうが気になってしまった。この精神病院ではゴア表現が激しく、同時にそういったものに修正がない。そして裸のやつらに出会うこともある。つまり……、「こわいけどちんちん出てる……」となるのだ。

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 なんかびっくりするけどちんちん出てる……。すごいグロい手術を受けた人がいるけどちんちん出てる……、と思ったらちんちん取られてる……。DLCを遊ぶとさらにちんちんエピソードがあってちんちん出てる……。

 相手のちんちんが出ていることがわかれば恐怖はすぐに慣れへと変貌し、視線は股間へと向かう。『Outlast』はびっくり系ホラーゲームからちんちん系ホラーゲームへと変化するような作品であった。
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マックスの友情に対する姿勢がストレンジ 『ライフ イズ ストレンジ』

引き続きタイムリープでアドベンチャー

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 マックス! あんな不良少女と付き合うのはやめなさい。冷静に考えてみれば、彼女は君に迷惑をかけてばかりだろう? 5年間も連絡を取っていなかったということは君もそのあたりをわかっていたのではないか? ……『ライフ イズ ストレンジ(Life Is Strange)』はそんな余計なお世話を言いたくなるゲームであった。

 DONTNOD Entertainmentが開発したこの青春アドベンチャーゲームは、一言でいうと“どれだけ親友に思い入れを持てるか”で評価が決まる。時を巻き戻せる女子高校生「マックス」は、久々に再会した親友「クロエ」と共に女子学生の失踪事件を調べることになるのだが、前述のようにその探偵ごっこの相棒が困った存在なのである。

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 しかし本作、かなりの出来栄えだ。挿入歌を流す際にイヤホンをつけるという自然で綺麗な演出があったり、アーティストたちが集まる高校が舞台ということもあってシャレたオブジェクトばかりだったりと、世界を構成するものすべてにこだわりを感じられる。本筋はかなり陰鬱なゲームなのだが、それでも光と影のコントラストが美しい場面が多かった印象が強い。

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 また、プレイヤーの選択で過去・現在・未来が変わるという謳い文句があるのだが、『ウォーキング・デッド』と異なり本作ではそれなりに効果的になっている(2015年のゲームなので当然か)。なぜ有効なのかといえばキャラクターの丁寧な描写が理由である。スクールカーストによって登場人物の印象付けが容易だし、主人公の日記帳に詳細なプロフィールもあり、ついでに寮の部屋に置かれた小物や文章のおかげでそれぞれのパーソナリティが丁寧に描写されているのだ。こうなると、学校の友人に対してどのような応対を取るかという、物語の骨子にほとんど関係ない選択肢でも悩むことができる。

むしろ本作の主役と言える「クロエ」

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 丁寧なキャラクター描写は親友の「クロエ」に対してもそうである。彼女は子供のころに父親を亡くし、そのせいか幼いころから一緒だった親友は連絡をくれなくなり、その後にようやく出会った新たな親友はどこかへ消えてしまった。更に、父親のことを忘れられないまま新たな義理の父親(それも面倒な性格のヤツ)が家に来たせいもあり、彼女はひねくれてすっかりロクデナシになってしまった。しかし、マックスはそんなロクデナシの親友と過ごす楽しさを知り、ともすれば恋慕の情すら抱くかもしれない──。

 というのが本作の流れのはずなのだが、僕はどうしてもクロエが好きになれなかった。彼女は忠告しても話を聞き入れてくれないし、マックスが時を戻して体調を崩しても大して気にかけないし、他の友達からかかってきた電話(しかも重要な話)を取るとキレるし、計画性がなくふざけた理由で借金をするし、身内から銃を盗むし、望まないことを言ったらすぐすねるし、マックスに大きな迷惑がかかるはずなのに金を盗もうとするし、探索パートでは役に立たないどころか面倒なビン集めを命令するし、事件をうまく解決するフラグを折って面倒な話にするし……。物語の都合もあるのだが、本当に迷惑にしか感じなかった。

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 しかし、これもある程度は意図的に行われているものである。EP3までは傍若無人なクロエも、その後にあるイベントのおかげでとても哀れに見えてくる。このストーリー展開は実に見事なのだが、それでも僕にとってこの親友に対する評価がプラスに転じるほどではなかった。

 マックス、なぜ君はあの親友にそこまで入れ込むんだい? よかったら僕に教えておくれ。
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『Undertale』をプレイして理解した“キャラクターの名前で呼ばれたい”という気持ち

誰も殺さなくていいRPG『Undertale』

Undertale_01.jpg旅路で出会った少年と道を行く

 この記事に掲載されているスクリーンショットは、「Undertale 非公式日本語化パッチ」を使用したものとなっている。なお、ゲームプレイもそのパッチを当てたうえで行っていることは留意して読んでいただきたい。

 また、ネタバレすることに躊躇のない記事となっている。

 PC向けゲーム『Undertale』をプレイした。本作はトビー・フォックス(Toby Fox)氏が開発したRPGで、簡潔に表現すると『MOTHER』のようなRPGに弾幕STGのようなバトルシステムを採用した作品だろうか。

Undertale_02.jpg黄色い花畑へ辿り着いた始まり

 主人公はとある「人間」だ。モンスターたちが住む地下へ落ちてしまった人間は、この世界を脱出するため旅立つことになる。しかし、道中には人間の“ソウル”を奪おうとしたり、あるいは友達になろうとする奇妙なモンスターたちが現れる。そんなモンスターたちといかに交流するかというのが本作だ。

Undertale_03.jpgとある戦闘シーン

 そう“誰も殺さなくていいRPG”というキャッチフレーズのように、『Undertale』のバトルは少し特殊である。ただ攻撃して倒すだけでなく、「ACT」というコマンドで相手を褒めたり近づいたりできるのだ。うまく相手の望む行動を取れば、殺さずとも先に進めるというわけである。

Undertale_04.jpg筋肉を比べたがるモンスターの攻撃

 そして、敵のターンの攻撃も特徴的だ。基本的にはコマンド選択式のターン・バトルなのだが、相手はそれぞれの特徴にあった攻撃を四角い枠内で行ってくるので、自分のハートを動かして避ける必要がある。とはいえ、アイテムや装備といった概念もあるので強引にクリアすることも可能だ。

Undertale_05.jpgパズル失敗時のユニークな看板

 道中にはパズルが用意されており、これを解くことによって先に進めることになる。わざわざパズルを用意するモンスターたちは妙だが、それも世界観のうちだ。

高評価も頷ける作りこみ

Undertale_06.jpg人気キャラクターらしいガイコツの兄弟

 『Undertale』は比較的に小規模なゲームと言えるだろうが、かなり良い出来栄えである。キャラクターたちはユニークで、「サンズ(Sans)」と「パピルス(Papyrus)」の兄弟に始まり、かわいい見た目なのに知能が低すぎる「テミー(Temmy)」など、一度見たら覚えてしまうような連中ばかりだ。

Undertale_07.jpg『MOTHER 3』の墓場を思い出すテキスト

 無論、彼らの存在を印象づけるテキストも見所のひとつ。モンスターたちの会話文は行動によって細かく変化するし、細かなオブジェクトにもジョークが挟まれていたりする。このあたりは特に『MOTHER』シリーズを彷彿とさせるだろう。

Undertale_08.jpg石像のオマケ的謎解きをこなすとアーティファクトが……

 また、音楽の評価も高いようだ。僕が関心したのは、音を題材にした謎解きである。これを解くうえで特定の曲のフレーズを覚えることになるのだが、その一節が重要なバトルの中で流れるのである。実にニクい演出で、こういった細かな心配りもいくつか見受けられた。

Undertale_09.jpgテミーの楽しげで頭が悪いショップ

 このようになかなか楽しく遊べていたのだが、クリアするころにがらっと気持ちが変化した。言ってしまえば、隠しルートのようなものを見て、本作に対する思いが冷めたのである。
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