ピーチ姫が何かの代役になったとしか思えない『スーパープリンセスピーチ』

わざわざ旅先で買ってきた中古ソフトを遊ぶ

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『スーパープリンセスピーチ』タイトル画面

 2005年10月20日に発売されたニンテンドーDS用ソフト『スーパープリンセスピーチ』を遊んだ。本作の開発は『伝説のスタフィー』シリーズなどで有名なトーセが担当している(らしいのだが、現在は明記されている場所を確認できなかった)。

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話の都合で捕まってしまった哀れなマリオ達

 いつもはマリオに助けられているピーチ姫だが、本作では立場が逆転する。クッパに囚われたマリオ達を助けるため、ピーチ姫は相棒となる「カッサー」とともに冒険の旅に出る……といった物語の2Dアクション・ゲームだ。

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「哀」で涙を流して植物を成長させた場面

 道中にいるキノピオを助けつつ(≒収集要素を集めつつ)ゴールを目指すというシンプルな構造だが、「喜怒哀楽」といった4つの感情を使い分けるのが本作の特徴か。“喜”では空を飛ぶことができ、“怒”は炎をまとって体当たりができ、“哀”は高速ダッシュしながら涙を流すなど、それぞれの能力を活かして仕掛けを解きつつ進んでいくわけだ。

 また、ピーチ姫が主人公ということ、低難易度に仕上げているということから見るに、どうやら低年齢層やゲームに不慣れな人々を狙った作品でもあるようだ。

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珍しくスライディングも使いこなすピーチ姫

 本作に対し“隠れた名作2Dアクション”というような評価をつけていた人がいたので遊んでみたのだが、結果から言えば2Dアクションとして出来がいまひとつである。しかも、何やら複雑な事情が見え隠れするあたりも作品に影を落としている。

11年前のソフトとしても気になる点

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怒りの炎で周囲を照らしつつ強引に進むステージ

 とはいえ、難易度が低めのゲームとして破綻はない。ライフがあり穴に落ちても即死にはならず、途中で助けるキノピオも探すのに骨が折れるほどでもなく。ステージごとにいろいろなギミックを用意しようとする意図も感じられる。

 ただし、気になる部分が多すぎる。どう見ても届きそうなのにジャンプで飛べない足場、空を飛べるから適当でいいだろうというような配置、意味のない溜め撃ちやダッシュ攻撃など、古い作品とはいえ引っかかるのだ。

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面倒としか言いようがないタッチペンを使ったミニゲーム

 感情で行動が変化する敵は見分けづらく、既存の敵をアレンジしたつもりなのだろうが、目を合わせると追ってくる「テレサ」などは存在意義がわからないし、やり直し前提な分岐や訳の分からないおみくじもがっかりだ。また、無駄にタッチ操作やマイクを使いたがるところもあるが、それはニンテンドーDSの初期作品ということで目を瞑るべきだろう。

 無論、こういった細かい部分が気になるのはゲームプレイに新鮮味がないからだろう。ピーチ姫が主役ということになっている本作だが、実はそれもあまり目新しくない。『スーパーマリオRPG』など“ピーチ姫が戦う”という要素を切り出せばほかにも例がいくつかある。

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「カッサー」の記憶により語られる物語

 また本作の物語では、ピーチ姫やマリオより相棒の「カッサー」のほうが主役に近い。ワールドをクリアするたびに物語を見られるのだが、これがほとんどカッサーの出自に関する話なのだ。しかもそこに出てくるキャラクターたちはほとんどマリオに関係がないように見える。

 このあたりから察するに、“なんらかの新作アクション・ゲームを制作していたものの、あまりにもインパクトがなかったのでマリオの皮を借りたのでは?”と邪推してしまいたくなる。ピーチ姫が主役である意味も感じられないし、『スーパーマリオ』シリーズらしさがあるとしても敵キャラクターのグラフィック程度、リスペクトやオマージュもあまり感じられず、ますますその思いが強まっていく。

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マイクを使って攻撃するクソ面倒な水中面

 当たり前だが、“隠れた名作”と言われるものにはなんらかの隠れる理由があるのだ。残念ながら、『スーパープリンセスピーチ』はピーチ姫の冒険とは言いがたい。
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『Undertale』をプレイして理解した“キャラクターの名前で呼ばれたい”という気持ち

誰も殺さなくていいRPG『Undertale』

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旅路で出会った少年と道を行く

 この記事に掲載されているスクリーンショットは、「Undertale 非公式日本語化パッチ」を使用したものとなっている。なお、ゲームプレイもそのパッチを当てたうえで行っていることは留意して読んでいただきたい。

 また、ネタバレすることに躊躇のない記事となっている。

 PC向けゲーム『Undertale』をプレイした。本作はトビー・フォックス(Toby Fox)氏が開発したRPGで、簡潔に表現すると『MOTHER』のようなRPGに弾幕STGのようなバトルシステムを採用した作品だろうか。

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黄色い花畑へ辿り着いた始まり

 主人公はとある「人間」だ。モンスターたちが住む地下へ落ちてしまった人間は、この世界を脱出するため旅立つことになる。しかし、道中には人間の“ソウル”を奪おうとしたり、あるいは友達になろうとする奇妙なモンスターたちが現れる。そんなモンスターたちといかに交流するかというのが本作だ。

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とある戦闘シーン

 そう“誰も殺さなくていいRPG”というキャッチフレーズのように、『Undertale』のバトルは少し特殊である。ただ攻撃して倒すだけでなく、「ACT」というコマンドで相手を褒めたり近づいたりできるのだ。うまく相手の望む行動を取れば、殺さずとも先に進めるというわけである。

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筋肉を比べたがるモンスターの攻撃

 そして、敵のターンの攻撃も特徴的だ。基本的にはコマンド選択式のターン・バトルなのだが、相手はそれぞれの特徴にあった攻撃を四角い枠内で行ってくるので、自分のハートを動かして避ける必要がある。とはいえ、アイテムや装備といった概念もあるので強引にクリアすることも可能だ。

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パズル失敗時のユニークな看板

 道中にはパズルが用意されており、これを解くことによって先に進めることになる。わざわざパズルを用意するモンスターたちは妙だが、それも世界観のうちだ。

高評価も頷ける作りこみ

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人気キャラクターらしいガイコツの兄弟

 『Undertale』は比較的に小規模なゲームと言えるだろうが、かなり良い出来栄えである。キャラクターたちはユニークで、「サンズ(Sans)」と「パピルス(Papyrus)」の兄弟に始まり、かわいい見た目なのに知能が低すぎる「テミー(Temmy)」など、一度見たら覚えてしまうような連中ばかりだ。

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『MOTHER 3』の墓場を思い出すテキスト

 無論、彼らの存在を印象づけるテキストも見所のひとつ。モンスターたちの会話文は行動によって細かく変化するし、細かなオブジェクトにもジョークが挟まれていたりする。このあたりは特に『MOTHER』シリーズを彷彿とさせるだろう。

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石像のオマケ的謎解きをこなすとアーティファクトが……

 また、音楽の評価も高いようだ。僕が関心したのは、音を題材にした謎解きである。これを解くうえで特定の曲のフレーズを覚えることになるのだが、その一節が重要なバトルの中で流れるのである。実にニクい演出で、こういった細かな心配りもいくつか見受けられた。

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テミーの楽しげで頭が悪いショップ

 このようになかなか楽しく遊べていたのだが、クリアするころにがらっと気持ちが変化した。言ってしまえば、隠しルートのようなものを見て、本作に対する思いが冷めたのである。
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社会につかれた“だめなおとな”のための純愛エロゲー『相思相愛ロリータ』レビュー

この場でははじめてする同人エロゲーの話

 普段ほぼ遊ばないエロゲーの話をするとは思っていなかったが、面白く感じるゲームがあればどこへでも飛んで行きたいというのが僕の本心である。

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『相思相愛ロリータ』タイトル画面(一部トリミング済み)

 さて今回は、サークル「夜のひつじ」が手がけた同人ゲーム『相思相愛ロリータ』というタイトルを紹介する。タイトルを見てわかるように、本作は幼い少女と純愛するエロゲーである。

 ……確かにこのゲーム、エロゲーどころかDLsiteなどで売られるドエロゲーなのだが。実はエロゲーという方式で、しかもロリゲーでありながら、普遍的で余計な隔たりのない愛を描こうとした作品でもあるのだ。

 なお、このサークルは過去作で「同人ゲームオブザイヤー」を受賞していたりと、その筋では有名所のようだ。僕は今まで知らなかったことを残念にも思えるが、とりあえず本作を知ることができて何よりである。

※今回は一部のスクリーンショットを加工(トリミング)しているが、これはFC2の規約を顧みた自主規制である。また、その関係で左右に黒帯が表示されているが、通常のゲームプレイ時はふつうのウィンドウで遊べる。
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精神病の悪夢を表現したホラー・ゲーム『Neverending Nightmares』は、夢の恐ろしさを伝えるのが難しいと教えてくれる

「人生は悪夢」なゲームを遊ぶ

 夜中、最高に幸福な夢、あるいはおぞましい夢を見たあと、そのことをメモしておく。そして後々になってその文章を見てみると、「なぜこんな夢が最高に幸せだった(怖かった)のか?」と思えてしまうことがある。

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『Neverending Nightmares』死体安置所で歩き続ける様子

 さて、今回はPC向けタイトル『Neverending Nightmares』を遊んだので、その話をしよう。本作は、恐怖の悪夢に閉じ込められた「トーマス」の立場になるホラー・ゲームである。なお、開発はInfinitap Gamesとなっている。


 題の通り、本作は延々と続く悪夢の中を突き進むゲームである。このタイトルはいかなる経緯で作られたのかといえば、制作者が強迫性障害と鬱に苦しんでいた思いを形にするためだというのだから驚きだろう。

 なお今回は、PLAYISMから日本語版が登場していたのでそちらで購入した。しかし本作、台詞もわずかしかないのでローカライズされてなくとも問題ない気がする。それどころか、まったく見知らぬ言語で遊んだほうが楽しいかもしれない。
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書籍「ゲーム・レジスタンス2」を読んだ。“ゲームを中身で見ろ!”というのは幻想なのかもしれないという疑念

ゲーム・レビュー企画記事の多い「ゲーム・レジスタンス2」

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 書籍「ゲーム・レジスタンス2」をだいたい読んだ。本著はゲームライター原田勝彦氏の遺稿集で、2014年5月に出た「ゲーム・レジスタンス」に続く書籍である。

 今回はいかにも遺稿集という構成だ。というのも、前回の本は原田氏の個人的な事情が読める一連の企画「ゲーム・レジスタンス」が載っていたのだが、今回はゲーム紹介のレビュー・企画が多く、淡々としている。当然といえばそうだが、前作を買っている人や既に事情を知っている人に向けられた作品だろう。

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 ちなみに「ゲーム・レジスタンス2」では、企画「スーパーファミコン vs メガドライブ」や「好きだぜ! Xbox~俺たちの宝箱~」、そして「裏読者コーナー ディストピア」といったものが掲載されている。あとはレビューが多数収録されており、コラムは数ページ程度だ。

 なお、以前の「ゲーム・レジスタンス」についてはインサイドに記事を載せていただいたので、よければ読んで欲しい。

○ 書籍「ゲーム・レジスタンス」レビュー、若くして亡くなったゲームライターが語り続けた“ゲームの魅力”とは
http://www.inside-games.jp/article/2014/05/26/77025.html

 ところで、「ゲーム・レジスタンス」でははじめにこんなことが書かれている。

最近、ゲームに対してナナメなスタンスの奴が多すぎる気がしないか? ライトユーザーの名を騙り、大企業の宣伝するゲームだけを手にする自分がセンスいいと思ってる奴。また逆に、マニアックなタイトルやプレミアがつくようなレトロゲームを持ちだしては、自分は違いのわかる人間だと言い張る奴。…違うだろうがっ! ゲームというのはもっと純粋なものじゃなかったのか? プレイすることが楽しい。それが全てではないのか!

 これにはまったくもって同感で、今でも十分に通用する話だと思っている。メジャーなゲームだけを遊んで自身の感性をないがしろにするのはもったいないと思うし、妙なゲームをダシにして自分を飾ろうとする行為を見ると嫌な気持ちになる。

 重要なことはゲームを遊んで楽しむことなので、そんなものは無視すればいい。なぜゲームなどをやるのかといえば、それはゲームをすることが楽しいからにほかならない。
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