Xbox360 IndieGamesで石を拾う 16 【Insanity】

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Insanity

 久々にこの「Xbox360 IndieGamesで石を拾う」略して「イン石」を更新する。このところ、360インディーズゲームも比較的まともな作品が配信されるようになり、これといって取り上げたくなる作品が少なくなってきたのだ。

 そんな理由から静かに薄れ消えてしまう予定だったこのコーナーであるが、久々に妙な作品が登場した。最初は「こんなん誰も見ていないから無視すればいいや」などと考えていたのだが、考えてみればそんな作品を取り上げるのが拙コーナーの基本理念であったのだ。自分で自らの頬を叩きたくなる気分である。

 さて、そんなわけで今回紹介する作品は、capturesteve制作の『Insanity』というゲームである。値段は80マイクロソフトポイント。

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タイトル画面
 題を日本語にすると、「狂気の沙汰」か「愚行」といったところだろうか。まさにその通りで、これほど的確に題字をつけられた作品というのもなかなかないだろう。

ゲーム内容

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これがすべての世界
 ゲーム内容の説明に入る前に、この作品における世界観設定を見ておこう。このゲーム開始前に見られるどうしようもないテキストだけが世界の全てであるが、下らないものでも用意されているだけマシなのが360インディーズゲームである。

 上記の文章を抄訳すると、「惑星Nexidusが悪いエイリアンに攻撃されそうになったので、科学者達が開発した兵器を使って連中を殺せ」ということのようだ。まったくもって薄すぎる話であるし、エイリアンとくれば侵略者と考える薄っぺらさに辟易させられる。

 ところでその新兵器とは一体何なのか。ガンダムのようなカッコいい二足歩行兵器なのか、はたまた戦車のような現実的な兵器なのか、もしくは豪華な装備がついた宇宙船に乗って戦うのか。様々な期待が膨らむだろう。

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ナンダコレ
 そして、いざゲームを開始して見られる画面がコレだ! ……これが新兵器だったら『パックマン』なんて恐ろしい生物兵器となるわけだが、一体どういうことなのか。

 説明すると、このゲームはピンポンゲームの『ポン』と『スペースインベーダー』を組み合わせたようなゲームである。まず、下にある自機を左右に動かしたり弾を発射し上にいるエイリアンを倒す。ここまではいいだろう。そして同時に、左にあるパネルを操作して玉を弾き返す必要があるのだ。(右のパネルはCPUの自動操作。)

 もう一度説明しよう。このゲームは、ピンポンとインベーダーシューティングを同時にやるのだ。つまり、それが新兵器であるらしい。理解していただけただろうか? 僕もよくわからない。

 そして更に不可解なのが、このピンポンゲームの玉がエイリアンに当たっても何ら意味がないということである。ピンポン玉でも敵を攻撃できるならまだ兵器としてわからなくもないが、当たり判定がないのはどういうことか。その上、右側にいるパネルとのラリーを失敗すると、宇宙船が一時停止する。なぜ? どうして? Why? なんで開発はいつも使用者のことを考えないんだ!

 つまり、この作品は右手でインベーダーをやり、左手でピンポンをやるだけの作品なのだ。そして、同時にやる必要性も感じられないのだから笑うしかない。言うまでもないが、面白さなど存在しなくて当たり前だ。

 一応はこのピンポンを続ける意味付けも存在し、一定回数ラリーを続けると少しだけ特殊レーザーが使えるようになるのである。これが敵の殲滅に役立つのだが、やはり明らかに危険性のほうが高いシステムだ。こんな面倒なことをするのであれば、単機で突撃したほうが断然マシである。

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意味不明である
 そんなわけでまったく意味がわからないが、とにかくプレイヤーはインベーダーとラリーを続けて敵を殲滅せねばならない。Waveは全部で20あるようだが、どれもステージは大差がないのもインディーズゲームらしさである。しかし、後半ステージはしっかりとふざけている難易度になっているのもまた、インディーズゲームらしさであり有罪有罪有罪クソゲー。

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いい加減にしろ
 全20Waveをクリアすると、あまりにもやる気のないエンディングを見ることができる。この鼻くそをほじりながら屁をこきつつ記したような3行……! プレイヤーの怒りを買うことは言うまでもあるまい。

キメラより気持ち悪いゲーム

 そんなわけで駄作でしかないこの作品だが、一体何がまずいのか。『ポン』と『スペースインベーダー』を同時に遊ぶという理念で作られているのはわかるが、それがまったくもって意味を成していないのが問題なのである。

 このゲームを遊んで、どういった背景で作られたのかが手に取るようにわかる。それは、『ポン』と『スペースインベーダー』を掛け合わせたら面白いのではないかと思いついたから作っただけなのだろう。

 無論、そういった思いつき自体は悪くない。例えば、RPGのシナリオ処理をうまく利用したアドベンチャーゲームもあるし、アクションゲームとタワーディフェンスを組み合わせたような作品もある。だが、これらは全て利点だけをうまく利用していたり、不要な部分は削っているのだ。

 一方でこの『Insanity』は、純粋に2つのゲームを掛け合わせただけである。良い点も悪い点もクソもなく、噛み砕いてすらおらずただただ同時にプレイするようにしただけ。良いとこどりもせず、足したあと2で割ることもなく、ひたすらに合わせたのだからこれが不細工にならないわけがない。そもそも思いつきをそのまま形にする時点で間違いがあったのだ。

 結果、出来上がったものは「右手でインベーダーをやって左手でポンをやる」という作品である。おそらく、ゲーム機とモニタを二つ用意してそれぞれのソフトを起動させて遊んでみても、まったく同じようなプレイ感覚が味わえるであろう。

 そして更に恐ろしいことが、こんな出来損ないの顔面複雑骨折ゲームが世界に配信されているという事実である。単なる思い付きがウッカリ脳みそから世界に出てしまうというのは、まったくもって「狂気の沙汰」や「愚行」と言う他なく、まさに『Insanity』という題の通りの作品になっているだろう。


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Insanity 80ゲイツ Xbox.com詳細ページ
デベロッパー:capturesteve ジャンル:懐かしのゲーム 2010/12/24

 『ポン』と『スペースインベーダー』を同時にプレイするゲーム。
 まったくもってそれらを同時に遊ぶ意味がなく、故に駄作であることは運命付けられていた。
 そして、これが世界に配信されるという狂気。
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