震災下でも遊べるアナログゲーム「マンカラ」

ゲーマーに必要なのはいつでもゲームである

 2011年3月11日に東北・関東大震災と呼ばれる大地震が起こった。マグニチュード9.0という未曾有の規模の地震ということもあり、津波による死者・行方不明者は一万人を超え、福島の原子力発電所が爆発事故を起こすなど、日本は危機に見舞われている。6日経つ現在でも、未だに騒ぎが収まることはない。

 そんなわけで、世間はとにかく自粛ムードに溢れている。各種イベントは中止になり、ビデオゲームの発売日は延期するし、テレビ番組やアニメが中止・延期になることも珍しくない。確かに娯楽を甘受している場合ではないのかもしれないが、残念な気持ちには変わりないだろう。そもそも、場合によっては停電でゲームを遊ぶことすらままならない。

 しかし、震災を受けた人々にも娯楽は必要なはずなのだ。無論、遊んでいる暇などないという声もあろうが、手が空いた時間や暇になってしまった時に余裕があれば遊んだほうが良い。理由は簡単で、どんなに忙しくとも休養を取らねばならないように、常に精神をすり減らし続けるのは体に良くないからだ。許される状況ならば、遊んで自身に余裕を取り込むべきではないだろうか。

 これらの理由から、今回は被災下でも遊べるゲームというものを考えたいと思っている。こんなものを書くと不謹慎だと言われる可能性もあるが、多くの人が気づいていないだけで人間にとって遊びとは必要不可欠なものである。万が一、電気と遠く離れた環境で過ごさねばならなくなった場合、何が頼れるのか? 日本では当然のように救援が来るわけだが、それまでの間はやはり自分達ですべて何とかせねばならないのだ。こうなれば、電気も特殊な道具も使わない遊びの方法を一つや二つ覚えていても損はないだろう。

 ところで一口に非電源系のゲームといっても、これらはかなりの多岐に渡る。将棋、麻雀、囲碁などのボードゲーム各種や、トランプに始まる各種カードゲーム、サイコロによる賭博など実に多様であるが、今回は“何もなくとも出来るもの”を考えてみたい。

まずは定番の遊び

 さて、遊びの種類を羅列していく前に、今回取り上げるゲームというものを考えてみよう。箇条書きにすると以下のようになる。

・ルールが覚えやすく教えやすい
・特殊な道具を用意する必要がない
・体力を使わない
・手短に遊べる

 それぞれの要素は説明するまでもないはずだ。ルールが複雑で覚えにくければ人と遊ぶことは難しく、特殊な道具が必要となると敷居が格段に上がりそれこそそんなもので遊んでいる場合ではなくなるし、災害時には体力を使いたくないだろうし、あまりにも遊びにかかる時間が長すぎても問題だろう。こういった条件で考えていくとまず思い浮かぶのが、手や口や頭を使った原始的な遊びである。

 それこそじゃんけんから始まり、三目並べ(マルバツゲーム)、いっせーのせ(本拳、数拳)、指相撲、言葉遊び(しりとり、回文、なぞかけ)等々、簡単なものは一々説明するまでもなく思い浮かぶだろう。

 これらの拳遊びや言葉遊びは確かに楽しく手軽に出来るものの、しかしあまりにも子供向けすぎる。じゃんけんなぞ大人はまともにやりたくないだろうし、必ず引き分けになるであろう三目並べなどバカバカしくて仕方なく、いっせーのせなど懐古の気持ち以外で遊ぶことはないはずだ。頭を使う言葉遊びは楽しめる余地がまだあるが、これは遊ぶ相手に資質が必要であったりと条件が限られる可能性がある。

 そんなわけで今回は手軽に出来るボードゲームをオススメしたい。名前は「マンカラ」だ。ルールを覚えるのも至極簡単なので、脳内に置いておくだけでいつか使えるかもしれない。

困った時の「マンカラ」

 さて、その「マンカラ」というボードゲームであるが、この遊びはアフリカや中近東などで古くから遊ばれている伝統的なゲームだそうだ。詳しい紹介をWikipediaから引用させてもらおう。

○ マンカラ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A9

マンカラ (mancala) は、アフリカや中近東、東南アジアにかけて古くから遊ばれている、伝統的な一群のゲーム(ボードゲーム)の総称である。ルールの異なる100種以上ものゲームが含まれるが、後述するように、他のボードゲームとは明確に区別される特徴を持つ。マンカラという言葉はアラビア語のnaqala(動く)から来ている。現在、西洋で広く知られているマンカラには、カラハ(Kalah)、オワリ(Oware /Owari /Awele)、コンカク(Congklak)、オムウェソ(Omweso)、バオ(Bao)などという名のものがある。(ウィキペディア英語版"mancala"参照)。日本ではまだあまり知られていない。

 ルールを簡単に説明すると、特定の枠内に置かれた石を移動させるという二人対戦の単純なゲームである。しかし、ルールによっては戦略性が出て深みがあり面白いわけなので安心あれ。何より、このゲームに必要なものが小石と場だけなのが素晴らしい。石は拾えばいいし、場は地面に書けば良い。あれば紙とペンでも良いだろうし、ホワイトボードにマグネットなんかがあっても遊べるわけだ。

 今回は屋外で実際に「マンカラ」を遊ぶ設置まで行いつつ、ルール説明を同時に行ってみた。手順とルールさえわかっていれば、かなり容易に遊べることがわかってもらえるだろう。

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小石と木の棒
 まずマンカラを遊ぶのに必要なのは、最低24個の小石と何らかの棒である。小石は増やすのであれば36個、48個と12ずつ増やしていく。今回は全部で48個を使って行うことにした。言うまでもないが、石でなく他の代替物があれば何でも良く、何ならUSBメモリだって良いだろう。棒は地面に枠を書くだけなので、ある程度丈夫そうなら何でも良い。

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必要な場
 そして地面に書く場は上記の写真のように、6つの円を向かい合うように2列、その脇に「ストア」と呼ばれる四角い枠を用意する。(書くなり掘るなりご自由に。)

 マンカラは、この場に向かい合ってプレイする。手前の六つの円と右側にあるストアが自分の陣地として用意されている。

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準備完了!
 あとは集めた小石を円の中に同じ数ずつ並べて(今回は4個ずつ)、準備は完了。なんともあっという間に用意ができただろう。

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小石の移動
 では実際にプレイしていこう。まずはじゃんけんなり何なりで先手・後手を決める。そして動かす順番になったプレイヤーは、自陣側の六つの円をどれか選択し、そこにある石を全て取り半時計周りに進行しつつ、隣の円に一つずつ手にとったそれを置いていく。

 上の画像で例えると、一番左側にある石をすべて掴み、右に一つずつ落としていくわけだ。尚、一番右まで行った場合は自分のストアにも一つ落としてから、相手陣地の円に石を置いていくことになる。ちなみに、敵のストアを経由した場合は落とさない。自分の手番が終わったら、相手へと交代してこれを順々に繰り返していく。

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ストアに石を入れろ!
 そして、自分の移動させた石がストアに入るとこれが1ポイントとなるわけだ。しかもストアに石が入るのが移動の終了だった場合、再びもう一手石の移動が可能となる。

 また、最後に移動した石が入った自陣側の円が空だった場合、相手側の向かい合う円にある石を全て取り、自身のストアに入れることが可能となる。

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ゲームオーバー
 こうして石を移動させて行き、どちらかの陣の円がすべて空になった時点でゲームは終了。その際に残っていた石は空になったプレイヤーが獲得。あとはストアに入っている石の数を比べ、多いほうが勝ちになるというわけだ。

 以上がマンカラの基本的なルールと言われる「カラハ」の内容である。いくつか気をつける点はあるものの(特に空の穴に入った際の処理)、そこさえ抑えておけば単純で簡単だろう。要は、石を半時計周りに移動させつつ、自分のストアに確保していけばいいのだ。

 ただしこのカラハというルール、あまりに単純すぎて先手が戦術をわかっていれば確実に勝ってしまう。確かにこれは最初だけ楽しいが、熟練のプレイヤーには物足りないだろう。それならば、戦略性の高まったこの改変ルールがあればいい。そんなわけで、Wikipediaから教えてもらった「オワリ」というルールも紹介しておこう。

より複雑性の増した「オワリ」

 なんでもガーナの国技でもある「オワリ」だそうだが、基本的なものは先ほどのルールと同じだ。違うのは以下の点である。

・初期配置は全ての円に4つずつ。

・石の移動は同じく半時計周りだが、石を移動させる際にストアに入れることはなく、無視をして進行させる。また、移動が終了すれば無条件で相手の手番になる。そして、一度に移動させる石が12個以上の場合、一周して元の円に戻るわけだが、その場合は元の円に石を入れずに飛ばして次に行く。

・移動が敵陣の円で終わり、その円の石が2つか3つの場合、その石をすべて取り自分のストアに入れる。更にその直前の円も2つか3つになっていれば取得。更に更に、その前の円を……という風に、2個か3個の穴が連続している場合は自陣側に行くまで続ける。ただし、これで全ての石が取れてしまった場合、取得はなかったことになる。

・相手の手番で石の移動ができなくなるような手は禁止。もしこれが不可能な場合、その時点でゲームが終了となり、取った石の多い方が勝ちとなる。尚、石は全てで48個なので、どちらかが25個とった時点でもゲームは終了となる。

 僕自身はこのオワリをプレイしたことがないのだが、遊んだことのあるプレイヤーによれば歯ごたえがあるとのことである。ぜひともこちらも覚えておいて欲しい。

 「マンカラ」の魅力は何といっても道具が不要でありつつも、しっかり遊べるのが強みだ。震災はもちろんのこと、万一誰かとタイムスリップして大昔に行ってしまった場合、あるいは無人島に誰かと置いてきぼりにされてしまった場合などを考慮すれば、覚えておいても損はないだろう。

 知識さえあれば、ゲーマーはどこでもゲームを組み立てることができる。プレイヤーはゲームを甘受するだけでなく、自身で遊ぶ場を作ることを考えてみてもいいのではないだろうか。

・参考サイト
○ マンカラ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A9

○ Toradition game Museum マンカラ
http://210.150.246.43/game.hp/mankara/1.html
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