工作員とSSDMによる「360インディーズゲームの低評価ゲーとは何ぞや?」 -良くも悪くも記憶に残る 編-

前回の記事と概要

 世の中には多くの低評価ゲーが存在するが、果たして360インディーズゲームにおける低評価ゲームは一体どのようなものなのか? 家庭用据え置き機のアレなゲームを多く持つ模範的工作員同志とSSDMが対談によってその謎を解き明かそうというのが、今回の目的である。

 未見の方はまず以下の記事を読むべし。

○ 工作員とSSDMによる「360インディーズゲームの低評価ゲーとは何ぞや?」 -工作員の戦歴 編-
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-entry-1043.html

○ 工作員とSSDMによる「360インディーズゲームの低評価ゲーとは何ぞや?」 -360インディーズの低評価ゲー 編-
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-entry-1044.html

○ 対談参加者紹介

28000.png・SSDM
 ご存知「毎日ムキムキ」に掲載している記事の著者。幼いころは任天堂ハードのマリオで育った模範的ゲームプレイヤーであったが、何がどうあってかすっころび全身に傷を作りまくった挙句、オタク的趣味にのめりこみ、360インディーズゲームのおためし版(体験版)を一通りプレイする末路になっている。
 周りからすると「暴言しか言わない悪たれキチガイプレイヤー」と思われているようなのだが、本当は心の卑しいゴブリンのようなかわいい精霊なので、怖がらないで欲しい。

cuba1_bigger.png・模範的工作員同志
 ニコニコ生放送のクソゲーコミュニティにてレギュラー放送を行っている剛の者。
 世間的な低評価ゲームを購入してはプレイし、神ゲーと連呼するという完璧に病院を薦めたくなるような患者である一方、国内外を問わず作品を集める精神力や行動力はまさに見事としか言いようがない。
 妙なゲームが好きだとか悪趣味な人物というのは僕も知っているが、拳銃で頭をぶち抜いたまま日常生活を送っているような人は、工作員氏以外になかなかいないのではないか。

記憶に残った低評価ゲー

SSDM:さて、今度は記憶に残った360インディーズゲームの低評価ゲーについてお話をしようと思っております。お互い様々なひどい低評価ゲーをプレイしましたが、まず工作員さんはどのようなゲームが記憶に残りましたかね。

工作員:そうですね、100本あるんですけど……。一本一本思い出ありますね。ということなので、一番僕自身が好きだったものと、とんでもないなと思ったものを挙げようと思うんですが。一番好きなのは『Dossun Island』ですね。

SSDM:これはあれですよね、いろんな方が好きだって言っているのを聞きますね。

工作員:やっぱりそうですか。ある意味では僕らが想像していたインディーズゲームっていう市場そのもののゲームなんですよね。例えば、表現は失礼になっちゃうんですけど、ものすごくレトロな感じのグラフィックで、たぶん普段あんまり絵を描かれている方ではないと思うんですよね。でも、一本のゲームをあそこまで完成させて、画面のスクロールだとか鶏の卵が割れるというギミックやアイデアをふんだんに入れて、すべてのものを(製作者である)このはさんは「絶対に面白い!」という自信と共に配信してるんですよね。やっぱりそうしたゲームはやっていて記憶に残るし、面白いって思ってるんだろうって伝わってくるんですよね。SSDMさんはどう思われているかわかんないんですけど、インディーズゲームはそういった市場であって欲しいと思っています。

SSDM:なるほど。

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Clay Schubinerの代表作『Colaris』のスクリーンショット。
工作員:一方で、たまらんなって、全部神ゲーだと思ってるんですけどね? たまらんなって思うのはやっぱりその、Clay Schubinerさんですね。 *1

*1 Clay Schubinerは360インディーズゲームで作品をいくつか配信しているデベロッパ。代表作としては『Colaris』や『Get the Ball』など。ボールを追うだけという単純なゲームを使いまわすリサイクル精神に溢れまくっているだけでなく、『Colaris』という本当に人体へ深刻な影響を与えかねない作品までも作る。詳細は「Xbox360 IndieGamesで石を拾う 05 【Colaris】」あたりを参照。

SSDM:(名前を聞いて思わず笑いながら咳き込む)

工作員:あのー……、すごい言葉が汚くなるんですけど、お前このゲームやってねえだろ!? と言いたくなりますね。

SSDM:(笑) なんていうんでしょう、人を小ばかにしきったゲームばっかりというか、そんなゲームしかないですよね。

工作員:「毎日ムキムキ」は製作者さんも見ているので失礼になることを言うのはすごく嫌なんですけど、Clayさんにだけに向けて言うんですけれども、配信する前に自分のゲームを三時間くらいプレイしてから配信して欲しい。

SSDM:ふっははははは!(笑) いやー、まったくその通りですね。

工作員:特に、「人生の答え」 *2 と、『Colaris』の二本は面白いと思っていないでやっているでしょ? って。

*2 Clay Schubiner製作の『The Answer to Life』のこと。占いソフトと思わせておいて、結果としては二桁の数字が出るだけという恐ろしくどうでもいい作品である。詳細は「Xbox360 IndieGamesで石を拾う 06 【占いソフトたち】」を参照。

SSDM:まあ、「人生の答え」は一発ギャグみたいなところがあると思うんですけれどもね。

工作員:ちょっとSSDMさんにお伺いしたいんですけど、Clayさんは「人生の答え」を本当に腹抱えるほど面白い冗談ができた! と思って作ったと思われますか? それとも……ないとは思いますけどね! 適当に手を抜いた結果、出来ちゃったゲームだと思いますか?

SSDM:僕はですね、たぶん……。例えば、会社の五十くらいの中年のオッサンが仕事をしていて、その時に親父ギャグを思いついたと。これを部下に言って顰蹙を買うか、心に秘めてクスっと笑うかどうしようかって悩んで、仕事を終えたんですよ。それで席を立って、部下に挨拶をしたんですね、帰るからって。で、そん時うっかり言っちゃったみたいな。そういうゲームだと思いますよ。

工作員:ははははは(笑) 総括すると出るべきではなかったと?

SSDM:出ちゃったんですよ。

工作員:出ちゃった! 出ちゃったなら仕方ないなっていう。

SSDM:仕方ないですね。

工作員:もう…ほんと…最近(Clayさんは)Windows携帯のほうに行っちゃってるんで、非常に申し上げづらいんですが、たまらんかったですね。

工作員:そうですね、僕からお伺いさせていただきたいんですけど、SSDMさんのレビューだとどれも尖ってるので、実際に心に残ったものだというと、読者の皆様も気になると思うんですけど。

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伝説的なタイトル『Block Fight!!』
SSDM:あのー、僕は工作員さんに事前にお話したんですけれど、「尖った石拾い」という企画をはじめたのは『Block Fight!!』 *3 を取り上げたい一心ではじめたんです。

*3 『Block Figth!!』。360インディーズゲームで2009年12月21日に配信された……何だこれ? とにかくルールが意味不明でゲームにすらなっていない代物。音楽や効果音はないし、背景は真っ白で、見たことのありすぎるフォントが転がっているだけ……。飛びぬけて意味がわからない。詳細は「Xbox360 IndieGamesで石を拾う 02 【Block Fight!!】」を参照。

工作員:ははは(笑) やっぱり『Block Fight!!』?

SSDM:『Block Fight!!』はコアな人気を持つっていうのがわかるゲームで、一番最初に僕が感動したのはインディーズゲームの一覧を漁っていて、真っ赤な背景に直線ツールだけで描いたと思われる題字をパッケージ画像で見た時。これは絶対五時間以上やったら死ぬなと思いました。

box_blockfight.jpg
そのパッケージ画像
工作員:買わせようという気がないですよねアレ。

SSDM:ていうか何考えてんのか単純にワケわかんないすよ。

工作員:あれも採算度外視の中に入れていいのかなあ? わかんない。

SSDM:これはね、僕は最初やった時、途中までしか作ってないゲームを配信しちゃったっていう話だと思ってたんですよ。一応、ゲームの最低限みたいなレベルの話で言うと、ヘルスとかライブはあるんだから、グラフィックに何かを載せて音をつけて勝ち負けの画面がついたら、普通のクソつまんないゲームになるんですよ。で、時間がなかったのか諦めたのか何か知りませんけど、これで出来ちゃったからいいやと配信しちゃったんだと思うんです。

工作員:性善説じゃないですけど、自分だったらやらないよなー、そんなことって思うと、どうしてもどこか心の中でそんなことないのかもって思っちゃうんですよね、あのゲームに関しては。にもかかわらず、(値段が80MSPだったのを)400MSPにあげたっていうのが……。これが本当に未完成のものを上げる人間っていうのは、そこまでの面の皮の厚さってのがあるのかなっていう……。

SSDM:いやー、そうは思いたくないですね(苦笑)

工作員:思いたくはないですけど。世の中ひどいゲームだひどいゲームだと口の悪い人はいますけど、『Block Fight!!』やらせてあげたいですね。

SSDM:僕英語できるんだったらこの作者さんにすぐアポイントメント取ってますよ。

工作員:ふははは(笑) SSDM VS 『Block Fight!!』の作者と。読めるんですね。

SSDM:僕が読みたいですからね、それ。

工作員:たぶんですけど、あの、正直生気のある人間と思えないですね。どこかのすごい賢い大学が社会実験のために配信したソフトっていったほうが納得できますもん。

SSDM:そうですね、僕も思います。そう思いますほんと。

工作員:出して社会の混乱具合がどうなるか見るみたいな。

SSDM:我々がマウスなんじゃないかと思いたいですね。

工作員:どうですかね、それ以外だと何か?

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狂っている世界観の『Kissy Poo』
SSDM:そうですね、単純にクソつまんないってのもあるんですけど、なんか好きだなっていう意味だと『Kissy Poo』 *4ですね。

*4 『Kissy Poo』。360インディーズゲームで2009年11月24日に配信された子供向けゲーム。主人公を操作して動物達とキスをさせるだけの簡単な作品なのだが、サイケな色使いにいきなりキスをして踊り始めるという狂った世界観と組み合わされている。詳細は「Xbox360 IndieGamesで石を拾う 03 【Kissy Poo】」を参照。

工作員:はははは(笑) わかりますね。

SSDM:これは単純に、日本のゲームだけやってると絶対に見れない感性が見れるなあってのがあって。しかもこういうのはメジャーゲーだと絶対出ないんで、パッケージゲーだと買えないなと。

工作員:インディーズだからこそですね。

SSDM:僕はこういう好きじゃないし、嫌いでもないんだけど、なんか気になる。すごい乙女心みたいな気持ちになっちゃうゲーム(笑)。

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『Coastal Defense』
工作員:あの、インディーズゲームってなんで作ってらっしゃるかわからないゲームって、やっぱり採算度外視なんで多いじゃないですか。まあ『Kissy Poo』は(製作者さんの)ブログを見て子供のためなんだなってわかるんですけど、例えばその……表現は悪いですけど、レトロゲームにインスパイアされたゲームばっかり出してるGame 4 Kidsさんとか、あるいは『Coastal Defense』 *5 の作者さんとかは、あれは本当に子供にコレを使って勉強してもらいたいっていう気持ちで作ったんですかね?

*5 『Coastal Defense』。360インディーズゲームで2010年5月18日に配信された(おそらく)エデュテインメントゲーム。歴史テキストが見られるモードと、クソつまらなくてショボい上に意味も爽快感も楽しさもない沿岸防衛ゲーム(というか苦行)が楽しめる。おそらくデジタル教科書のような風に作ったのだろうが、この出来では真意はわからない。詳細は「
Xbox360 IndieGamesで石を拾う 01 【Coastal Defence】」を参照。

SSDM:どうなんですかねー? これは多分作者さんの身分とか職業を知らないとなんともいえないと思うんですけれども。

(以下、意図がつかめない低評価ゲームについての具体例について続くので省略……。)

SSDM:やっぱり問題は、ゲームを作ろうとしている意志がどれだけあるかどうかですよね。しかもその意志が、ゲームを作らなきゃいけないから作ろうというのではなくて、何か面白いものをゲームで表現しようとしているかどうかってことという。

工作員:やっぱり、何度話してもここに行き着きますね。ゲームを作るために作るんじゃなくて、ゲームを作って表現していただきたい。

(以下、ほとんど変わっていない続編についてや、工作員さんの配信について。インディーズゲームの展望について。ちょっと本筋からずれるところもあったので、楽しかったが大幅カット。)

SSDM:表現というのは何らかをプレイヤーとか読者に伝えようとしてやることなんで、そこの最低限のルールを守って、あとは頑張れば必ずその気持ちは伝わるはずだと。

工作員:おー。まさか、あの悪たれSSDMさんから「頑張れば気持ちが伝わる」などというこんな言葉が出るとは。(笑) 引き出したなー。

SSDM:あっはっは!(笑) 最悪だわ。僕が言う言葉じゃないですねー。

工作員:もっとファックとかウンコとか出ると思ったらそんな言葉が出ると。

終わりに

 以上で対談は終わりである。本来は後半にもっと文量があったのだが、ちと本筋からずれた話が多くなってしまった上に、何を語るか曖昧になりがちなので大幅にカットさせてもらった。語っている身としては楽しかったのだが、記事にするには致し方あるまい。

 さて、こうして実際に話してみると、低評価ゲーの何が問題なのかわかったように思える。どんなに世間一般にひどいと言われるゲームであっても、プレイヤーによっては好まれることがあるのだ。やはり、どんなゲームであっても、プレイヤーの好みや資質によって愛着が湧いたりする可能性もあるわけである。

 となると、低評価であること自体が悪いわけではないだろう。例え世間的にクソゲーと言われようとも、一部の人が好む可能性があれば、遊ぶほうも作るほうも喜べると思われる。しかし、一方では問題のある低評価ゲーもあるのだ。

 やはり低評価ゲーの問題とは、低評価になること自体よりも製作の意図が感じられないということに集約されるのではないだろうか。例えば、『Block Fight!!』や『Colaris』などは本当になぜ出したのかわからないし、意味があるとは到底思えない。今例に挙げたゲームというのは、360インディーズゲームをやっていて心底イラつかされるのと同時に、とにかく失望させられる瞬間だ。これらの何がまずいかと言えば、とにかくワケがわからない。何をしたいのか、何をしたのかが伝わらないのである。

 結局のところ、なぜゲーマーがゲームを遊ぶのかと言えば、開発者の感情の発露だとか、作り手が見つけた面白さを見たいからではないだろうか。そして、ゲームで製作者が表現するものを感じられなければ、プレイヤーは呆れて帰ってしまう。表現としての最低限の部分が欲しいというのが重要なのではなかろうか。

 無論、それが作り手側のスキル不足や、プレイヤー側の鈍さによって引き起こされる可能性は十分にあるし、この360インディーズゲームという場の制約上起こるということも考えられるのだろう。だが、どうしても表現したい気持ちというものがあれば、それが一側面においては輝くゲームになるのではなかろうか。そして、そういったものが360インディーズゲームに必要なものではないだろうかと思わされた。

 つまり、どんなものでも発表しやすいというフットワークが軽い場だからこそ、何でもいいから出すというのではなく、表現の吟味や練りこみというのが必要になってくるのではないか。いや、正確に言えば、我々はそういったものを求めているのだろう。しかし現状としては、360インディーズゲームは目に余る状態であるというのが私見である。

 とはいえ、すべてがすべてそういう作品だというわけではない。再三言うが、良い作品には作者の気持ちが篭っているし、そういうものを見ることができるのは確かなのだ。もし、すべての低評価ゲームから作者の熱意が伝わってくるのであれば、それはそれでステキだと言える場になるのではないだろうか。
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