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ジャンルキメラの問題点

ジャンルキメラというか鵺というか悪魔合体というか

 360インディーズゲームを見ていると、ジャンルキメラとでも呼びたくなる作品群をよく見る。これまた僕の造語なのだが、既存のジャンルを二つ掛け合わせたような作品がこれに該当する。例えば、アクションゲームにRPG要素を入れたり、シミュレーションゲームにアドベンチャーの要素を加えるのがそれである。

 こういった作品群は別段おかしい考え方から発しているわけではなく、ごくごく普遍的な思惟であろう。例えば、今や一大ジャンルであるアクションRPGがそうであるように、世の中の作品にも良く見られるものである。そのことを考慮してみれば、別にジャンルを掛け合わすのはおかしくない。だが、単純にくっつければいいというものでもないのも事実なのだ。

 特に360インディーズゲームは素人仕事ということもあって、とりあえずくっ付けて失敗というパターンが良く見られる。今回はこれの何がまずいのかを考えてみたい。

ジャンルキメラの構造的欠点

 さて、まずジャンルキメラの代表的作品として取り上げたいのが『Insanity』である。このゲームは考えもなく『ポン』と『スペースインベーダー』を組み合わせた作品で、心底どうしようもない。拙サイトの読者にはお馴染みの一作であろう。

insanity_03.jpg
大問題作
○ 毎日ムキムキ Xbox360 IndieGamesで石を拾う 16 【Insanity】
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-entry-1000.html

 あるいは、ポーカーとタワーディフェンスを組み合わせてしまった『Zombie Poker Defense』が例として最適である。これらの作品は無闇にそれらの内容を組み合わせているだけで、まったくもって意味がない。当然のようにゲームとしても三流以下……、いや、成立すらしていないというべきだろう。

 しかし、なぜそういったタイトルが失敗しているのか。その作品群の出発点は決して悪くないと思う人もいるであろうし、何より作者自身が楽しくなる可能性があると考えたはずである(正確に言うと、そうでないとは考えたくない)。そのため、きちんとした失敗する理由があるわけだ。

 今回は『Minions!』という作品を例に取り、なぜそれらのジャンルキメラが失敗したのか考えよう。この『Minions!』という作品は、トップダウンの全方位シューティングとTPS(三人称視点シューティング)を組み合わせたゲームである。作中で自由な視点切り替えをすることが可能なのがウリといえよう。

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問題があるとわかっていた問題作
 この作品、お試し版の範疇しかプレイしていないのだが、それでも全方位シューティングとしてもTPSとしてもとにかく中途半端なことが良くわかる。まず、全方位シューティングとしてプレイすると敵に狙いがつけづらい上に、視点が見づらい。そして、TPSとしてプレイすると難易度が急激にヌルくなる上、見えている敵に攻撃が当たらなかったり敵の多さに辟易させられることになる。

 どうしてこうなるかと言えば、話は簡単である。組み合わせるとどういった問題が発生するか考えなしにやったからこうなったのだ。わかりやすくするため、それぞれのジャンルの特性を考えていこう。

 トップダウンの全方位シューティングは撃つ際の狙いが大雑把で良く、キャラクターを動かしやすく同時に全体を把握しやすい。だからこそ、敵がわんさか出てきてそれに対し大雑把に撃つという内容になりやすい。一方のTPSは、敵にしっかりと狙いをつけて撃つゲームである。そのため、移動はややしづらく、視点もある程度に限られているため全体を把握しにくい。故に、限られた敵を狙って倒す内容になるのだ。

 この2つを強引にくっつけると、それぞれの長所と短所がゴチャゴチャになってしまう。つまり、全体を把握しづらい全方位シューティングに、狙い撃つ必要性がない敵がわんさか出てくるTPSが出来上がるわけだ。こうしてジャンルの特性を無視する結果になってしまうのがジャンルキメラの欠点である。

 要は、単純に2つを付けるとそれぞれの長所がくっつくのではなく、短所とまで混ざってしまい、何が楽しいのかまったくわからない内容に変化する可能性があるわけだ。言うまでもなく元より相性の良いジャンル同士であればこれは問題がないのだが、はっきりいってそれは一部の例外と言えよう。混ぜるためには工夫が必要なのだ。

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一方で存在するジャンルキメラの長所

 では、一方できちんと混ぜることに成功したジャンルキメラを取り上げたい。これは無数に存在するのだが、最も近くに遊んだ作品として『アイドルマスター 2』(以下、アイマス2)を取り上げよう。

 アイマス2はノベル的要素と育成SLGを組み合わせたゲームである。結果としてこの混ぜ方はあまりうまくは行ってないのだが、構造自体は昔からの存在で裏打ちされた堅実なものだ。

 しかし、育成SLGはキャラクターの育成計画やそれに付随する対戦に注目したジャンルであり、ノベル系のゲームは物語を描くことに注目したジャンルである。一体どのように異なるこの二つを同一化させたのかといえば、育成SLGとノベルを独立させて干渉させなかったのだ。どういうことかといえば、育成結果は育成の部分のみで影響が発生し、ノベル部分はそれだけで物語が展開するのである。

 無論、これにも欠点が存在し、ノベル的固定イベントを入れるせいで育成に多少不自由が生じると同時に、育成が存在するせいでノベルの直線的な物語が邪魔される可能性がある。具体的に言えば、育成結果が固定されてしまうという意味がない育成ゲームと、最終章が二つも三つもある小説のようになってしまうということだ。これはどちらもロクでもないだろう。

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育成もサボるわけにはいかない
 とはいえ、アイマス2はこの欠点を甘んじて受けたわけではない。アイマス2は育成をサボれば良いエンディングにたどり着けなくなるし、そして物語もまたトゥルーエンディングを見るべき仕様にはなっている。一応は解決しようと努力した跡が見られるのだ。

 ただし、これらの問題はよほどのアイデアでもなければどうしても存在してしまう部分である。理由は非常に簡単で、違う性質のものを2つ組み合わせたからだ。それぞれの要素が魅力を発揮しようとすれば、ぶつかりあうのは至極当然であろう。一組の靴を二人で履くようなもので、必ずどこかがこぼれてしまい不具合や違和感を生じる。これを根本的に解決することはできないのだが、誤魔化す方法はある。それは、不具合など気にさせないほど優秀な長所を見せ付けるということだ。

 つまり、物語と育成要素が噛み合った素晴らしい体験をさせればいいのだ。これさえきちんと表現できていれば、あとは痘痕も笑窪。少しくらいのブサイクさは誤魔化されるだろう。ただし、アイマス2はこの長所を見せ付ける部分があまりうまくできなかったと思われる。(そういえば、『VANQUISH』についても同じことが言えるのかもしれない。)

 ともあれ、ジャンルキメラに欠点が出てしまうのはある程度仕方がないのである。それをどう緩和するか、そしてそういった障害を持ちつつ魅力を見せるにはどうするべきなのか。こういった部分が悪魔合体をする際に必要となってくるのだ。

ジャンルキメラがきちんと生きるためには

 長くなったので話を整理しよう。まず、ジャンルキメラを確立させる際には、ジャンルの傾向と特色を掴み、それを両立させねばならない。そして、相反する要素が中に入っている可能性が高いため、それをどう穏やかにするか考えねばならなくなる。更に、二つを掛け合わせた長所を突出させねば醜さが目立ってしまうというわけだ。

 こう見てみると、ジャンルキメラのゲームというのはかなり慎重に組み立てねばならないことがわかるだろう。そして、『Insanity』だとか『Zombie Poker Defense』は明らかに最初の段階にすら辿りつけていないこともわかるはずだ。

 何かを二つ組み合わせて新しいものにしようという出発点は、確かに誰でも考えることだろう。ただし、アイデアと思いつきはまったく違う。問題点をどのように処理し、長所を如何に生かそうかと考えねば、出来上がったキメラは生きることすらままならない。上半身がニワトリで下半身がサバのような生き物がまともに生活できないのと同じことだ。どこで生きるのかという目的に沿って創造されねば、地上でも海でも死に絶えるだけである。
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