DLC Quest レビュー

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DLC Quest

 『DLC Quest』は2011年11月2日にXbox360 Indie Gamesで配信された2Dアクションゲーム。開発はGoing Loud Studios。

 ゲーム内容としては、ダウンロードコンテンツ(以下、DLC)を購入して先へと進んでいくというものである。はじめはジャンプができないどころか右にしか移動できず、キャラクターのアニメーションもなければ音楽もない。かろうじて拾ったコインでDLCを購入して状況を打開していく。

 もっとも、DLCといっても実際に金を払う必要があるわけではない。あくまで皮肉であり、昨今のDLC販売に対する風刺を込めた冗談なのである。

 ゲーム内容の詳細は特集記事を参照されたし。

○ DLC Quest 特集
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-entry-1170.html

ダウンロードコンテンツに対する不満をシニカルなジョークで形にした一作

 とにかくDLCに対する皮肉の効いた笑える冗談が最高であり、これ以外は何も語らなくていいくらいだろう。今はまだ、DLCというもののメーカー・プレイヤーの相互理解が深まっておらず、プレイヤー側からすればなぜこんなものを売るのだという反発は多い。その非難を、様々な方法によって冗談に昇華できている。

 まず、かわいい絵柄であり、しかもレトロジャンルの代表的な2Dジャンプアクションという意外性を狙った設定はいいだろう。この手のゲームではあまり無茶なDLCが多いというわけではないのだが、あえてそこにDLCという要素をぶち込んだ結果、その悪辣さを際立たせた。

 そして、実在のゲームをネタにしている点だ。悪名高い『The Elder Scrolls IV:Oblivion』の馬の装備やら、「TIME IS MONEY PACK」という金を搾るためにゲームを作ったのではないかと思うものなど、プレイヤーがどこか不満に思っていたものをきちんと形にした。

 忘れてならないのは、「DLCを揶揄するゲーム」という特異性だ。 しかも、これを文章などでなくゲーム仕立てにしたというのは見事で、とにかく皮肉が際立つ。通常では無駄にしか思えないDLCが、このゲームでは進行と冗談のために必要なアイテムなのだから、実在する無駄なDLCと対比されることになるだろう。ゲーム内容に取り込むことで、「『DLC Quest』では無駄に見えてゲームの進行に必要なのに、お前らと来たら……」と無言でチクチク嫌味を言っているのだ。

しかし、このジョークには構造的な問題が

 無論、欠点がないわけではない。最高に笑えたのは確かなのだが、これがいつでもどこでも誰にでも通じるものかといえばそうでもないだろう。

 まず前提として、DLCというものを理解しており、今現在で非難されているDLCがあるということを知らなければ冗談を楽しめない。これは欠点というより、知識を求めているというべきか。

 また、ボリュームの薄さや後半になるにつれて冗談が弱ってくるのが気にかかる。前半はひどいシニカルなジョークが山盛りなのだが、遊び続けていると刺激が薄れてくるのだ。これはDLCに対する皮肉という題材自体があまり一般的でないというのと、ゲームが進んでいくたびにキャラクターが強くならざるを得ないという、ゲームの文法によるジレンマである。

 “理不尽なものにDLCで金を払わねばならないのを皮肉する”という構造が面白いのであって、序盤は、ジャンプができるようになるDLC、音が出るDLCなど無茶苦茶さを表現できるが、後半になると二段ジャンプのアンロックや強い武器のアンロックで、割と平凡になってしまうのだ。つまり、「なるほど、そういうものならあってもおかしくないかもしれない」という風になってしまう。

 やはり、DLCに毒舌を吐いて笑うには「クソつまらないゴミに一生懸命稼いだ金を払わねばならない」という状況が必要であり、やはり最初の「ジャンプや自由移動ができるようになるというファッキン・パワーアップDLCに金を払う」瞬間が最高瞬間風速になるのである。

 そして、時代が変わればDLCの扱いも変化するので一発ネタであることは間違いない。おそらく十年後にはじめてこのゲームを遊んだプレイヤーは「ああ、こんなにひどいDLCがあったのだろうか?」とは思うかもしれないが、笑うことはできないだろう。何せ、時間が経ち人々がDLCを理解すれば馬の装備を200マイクロソフトポイントで買うことが悪いと思わなくなるかもしれないし(これは今でもそうか)、そもそもひどいDLCが存在するという共通項すらなくなってしまうからだ。これはジョークにおいて最大の痛手だろう。

『DLC Quest』は一発ネタであるが、その一発がでかいのだ

 とはいえ、欠点は笑うことができれば気にならない。今まで誰かがこんな笑える皮肉を吐いたことがあるか? いいや、そんなことはない。デモをプレイして笑わされた瞬間、80マイクロソフトポイントを払っていたくらいだ。

 そもそも前述のように、このゲームにおけるDLCによるアンロックは後半になればなるほどギャグができなくなるわけだ。となると、一発ネタにして30分程度で終わらせることにしたのは正解だろう。容量も少なくでき、値段も80マイクロソフトポイントと最安値になった。

 そして、ゲームを商売にしている人たちはこういった“儲け第一主義”とでも呼ぶべくDLCを一概に非難できない立場にいるわけで、Indie Gamesという場面から行ったほうがよい風刺であることは間違いないだろう。

 『DLC Quest』をXbox360のインディーズゲームという場所で出したのはかなり適した選択であったし、冗談の内容もかなり上質である。時事的なものなので経年劣化に対する耐久度はないし、一発ネタであることも間違いないだろうが、今は思いっきり「このクソDLCが!」と罵倒しながら抱腹絶倒することができるのだ。


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DLC Quest 80ゲイツ Xbox.com詳細ページ
デベロッパー:Going Loud Studios ジャンル:キャラクター アクション 2011/11/02

 ダウンロードコンテンツに対する風刺がたっぷりの2Dジャンプアクション。
 DLCを買わないと音もでないしジャンプもできませんよ! 色々買ってね! お金落としてね!
(尚、ゲーム内DLCを買うにはゲーム内で集められるコインが必要なだけであり、現実のお金は必要ありません。どこかと違って良心的ですね!)
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