The Elder Scrolls V: Skyrim レビュー

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The Elder Scrolls V: Skyrim

 『The Elder Scrolls V: Skyrim』(以下、スカイリム)は2011年12月8日に発売されたオープンワールドのRPG。開発はベセスダ・ソフトワークス。

 「The Elder Scrolls」シリーズの第五作目で、タムリエル王国を舞台にした冒険を楽しめるゲームである。今回はタムリエルの一地方、スカイリムを舞台に、ドラゴンの復活を主とした様々なクエストがプレイヤーを待ち受けている。

 ゲーム内容の詳細に関してはプレイ記録を参照されたし。

○ 『The Elder Scrolls V: Skyrim』プレイ記録
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-category-61.html

スカイリムの素晴らしさとは

 あなたに冒険者の適性があるのならば、今すぐスカイリムに旅立つべきだ。こんなレビューを読んでいる場合ではない。

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Skyrimのタイトル画面

 さて、この『The Elder Scrolls V: Skyrim』という作品は、基本的に前作である『The Elder Scrolls IV: Oblivion』から話を一新し、システムや内容を改訂したような作品である。よっておおまかに言うのであれば、前作の要素をより改善した内容と言えるだろう。

 前作から引き継いでバージョンアップをさせるというのはビデオゲームの続編において珍しいことではないのだが、しかしこのスカイリムにおいてはかなり意味合いが変わってくる。それを説明するため、まずはスカイリムの良さから説明しようではないか。

 スカイリムというゲームを強引に説明すると、とてつもなく贅沢なゲームブックとでも思ってもらえばいいだろうか。あの「選択肢を選んで何ページに飛べ」というヤツである。スカイリムが本であれば、その選択肢が莫大なほど存在しており、ページをめくること自体も冒険になっているのだ。

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脳味噌まで筋肉まで出来ているマッチョでもいいし、盗賊の猫人間だっていい

 まず、ゲームは種族を選ぶことから始まる。そして顔を作り、名前を決め、チュートリアルをプレイし終えたらあとは自由である。広大な世界のどこへ行ってもいいのだ。無論、ゲーム側から提示されるものはあるが、感性の赴くままにメインクエストを進めてもいいし、盗賊・魔法使い・暗殺者・戦士・吟遊詩人になってもかまわない。大きなクエストはないが、狩り・薪割りで生計を立てる一般人になってもいい。世界にたくさんある本を読むだけの読書人でもいいだろうし、料理で自分の食事を作るのを生きがいにしてもいい。

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武器・スキル・Perkの選択も好きにしたまえ

 また、戦闘や成長要素でも選択肢が多数にある。武器や装備を剣・弓・斧・槌・ダガーなどから選ぶだけではなく、スキルの選択や特殊効果のあるPerkの選択もあるし、使う魔法を選ぶこともできればキャラクターのHP・マジカ(マジックポイントのようなもの)・スタミナも自由に割り振れる。

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世界のどこへ行ってもいいのだ

 「自由度が高い」と言われることもあるが、兎にも角にも選択肢が多いのである。スカイリムという土地は広く、街や村やダンジョン、小さな野営地から地下に大きく広がる古代遺跡まで簡略化されず作りこまれており、冒険や探索が可能だ。無論、これらをどういう順番でどのように旅するかもプレイヤーの手にまかされている。当然、クエストの最中で展開される物語も分岐していく。

 さて、これで単なるバージョンアップがどれほど素晴らしいことかわかるだろう。土地や施設は前作のシロディールからスカイリムに一新されているため、各街やダンジョンはより作りこまれた新造で、各クエストの物語も地続きではあるもののまったく新しい。アイテムや戦闘、本や敵やアイテムなどは改善や追加要素が存在しているわけで、どれほど膨大な量が目新しくなっているかは言うまでもない。

 ゲームというものは、まずシステムの根幹を作るのが最重要となる。システムとしてはある程度完成させられたものであっても、物語や乗せるものだけを変えれば完全新作として受け入れられるわけだ。しかしそれにしても、スカイリムはその乗せるものがあまりにも巨大すぎる。気に入れば、100時間以上を問題なく遊べるだろう。オープンワールドのRPGとして目新しいことはないだろうが、ここまでのことができる開発会社というのはそうそうないというほどに巨大だ。

 だからこそ、スカイリムの世界は広大でもっとも選択肢が多いのだ。そして、それはこの手のゲームにおいて最も重要なことである。誰となってどこへ行って何をしてもいい。プレイヤーが望むがままに、このファンタジー世界を歩きまわって感じるのだ。

スカイリムはなんのために作られたゲームなのか

 とはいえ、この作品が万人受けするかどうかについてはなかなか難しいところである。海の向こうではとてつもなく売れているようだが、なかなか人に勧めることは難しい。

 まず、このゲームの特徴である“選択をすること決める必要がある”というのを苦手な人は必ずいるだろう。膨大な数のクエストと選択があるのでどこから手をつければいいのかわからなくなる可能性もある。無論、本作は前作よりも親切に導入してはいるのだが。

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同義別名な単語は腐るほどある

 また、ファンタジーであるために固有名詞が多く、キャラクターの名前も横文字が多いため覚えるのに苦労すると思われる。登場人物もかなりの数がいるために、なかなか覚えるのに骨が折れることもあろう。これは没入感を削ぐ可能性になる。

 そして、物語は基本的に薄暗い。殺しや裏切り、戦争や暗躍といったものが多く、大筋では素直な話であったとしても、どこか奥歯に引っかかることがあるだろう。これは開発側の特色もあるだろうが、オープンワールドのゲームとしての制約もあるだと思われる。非現実の世界で選択肢が多いとなる場合、殺しや犯罪というのはついつい選びたくなるのであり、ゲーム側でもそれを支持することになっている。選択の結果がわかりやすいのも不道徳なものである。

 もっとも、これらはスカイリムが悪いのではなく、プレイヤー側の適正の問題であろう。とはいえ、国内RPGのメインストリームと呼べるようなものでもないわけで、「誰もがいきなり飛びつける」とは言い難いのだが。

 他に注意すべき点としては、この作品は物語や冒険を楽しむという意味合いが強いので、戦闘は他のRPGやアクションゲームと比べると見劣りするのは否定できないことだろうか。特にスキルが育ってくるとバランスを壊すようなものも多い。しかし、これは欠点ではなく、スカイリムが力を入れている場所が違うだけだ。スカイリムは戦闘が楽しいRPGなどではなく、冒険をしてスカイリムの空気を感じるのが楽しいのであり、全力でそこを目指している。

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吟遊詩人大学はガッカリしたが、メインではないので仕方ない

 同時に、欠点ではないが気にかかることがひとつある。それは、作品の選択肢がまだ足りないと思えることだ。例えば、犯罪で生計を立てていくのは簡単だが、墓荒しや悪人も殺さずに聖人として金を稼ぐことは難しいし、自分で農場を開いて生きていくこともシステムとしては支持されていない。吟遊詩人も大学があるだけで演奏もできないし、街の人物の生活など、どこかで必ず何かが足りないと思うプレイヤーは多かろう。

 とはいえ、これもスカイリムの欠点ではなく、シリーズの伸びる余地であると好意的に解釈したい。つまり、スカイリムは足りない選択肢を次回作やDLCで抑えていく行為ができ、まだまだ伸び代が残っているというわけだ。これほど膨大でもまだ足りないところがあるというのは、より大きなものを作ることが出来れば、更に素晴らしい世界がプレイヤーを待っているということである。

 結局のところ、スカイリムは「濃厚なファンタジー世界でどんな冒険者になりたいか」と問われて、うまく想像のできる人に向けられた最上の作品なのだろう。今現在で、これほど素晴らしい世界を見て、自由に動き回れることは滅多にあるまい。

雪の降る大地が冒険者を待ち続けている

 正直な話、ベセスダのオープンワールドRPGは複数(『Fallout 3』や『Fallout:New Vegas』)を遊んだのでそろそろ飽きるのではないかと考えていた。だが、蓋を開けてみれば今回もかなり熱中できたのである。それくらい、システムの上に乗せられている“具”とでも呼ぶべくものの質と量が見事なのだ。

 特に、今回も物語が実に秀逸である。裏切り、謀反、それによる友人の死、あるいは自分を貶めた人間への復讐を行う。もしくは、どこにも正義のない戦争。メインシナリオでは文句なしの英雄になることもできるが、やはりこのゲームにおける最大の魅力は、虚無のように黒い惨事や、あっという間に起こる価値観の転倒であろう。

 開発元の違った『Fallout:New Vegas』とは違い、きちんとシステムに合った話やクエストの配置になっているし、量も申し分ない。選択肢が多いだけあってバグも多いのが気にかかるのだが、このゲームでは良くも悪くもいつものことである。

 スカイリムで見られるやりきれない思いがプレイヤーの心を揺さぶり、物事を選択させるようにする。ここには悩ませられる物語があるし、それに結論を下し実行できる手段もたくさんあるし、選択の結果も多く用意されているのである。だからこそ、このゲームは素晴らしい。

 あなたがもし、ファンタジー世界での自由な冒険に没頭したいのであれば、今は間違いなくこの作品を選ぶべきだろう。冒険者としての適性を持ってここへやってくれば、スカイリムの寒い大地が暖かく迎えてくれる。
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コメント

いいレビューですね

TESは、Iはチュートリアルだけ、IIはメインの半分をやり。(以上無料で配布中)
III・IV・Vをクリアしましたが、ゲームとして確実に良くなって来ていると思います。
たぶん次も、今を越えて来るんでしょう。楽しみです。

蛇足
ちなみに、IIのマップの広さは異常です。実際の広さに換算すると、北海道の2倍を越えます。
難易度も物凄い事になっているので、少し体験してみるのも面白いかと・・・。

過去作はぜひやってみたいですねー。中でもTES3に興味津々です。
なんでも生前のタイバー・セプティムに会えると聞いたもので、英雄がどんなものか見てみたいところですね。
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