アリスマッドネスリターンズ 03 おかえり、アリス

不安が目に見えてきた

 未だに過去の火事の記憶が忘れられないアリスは、彼女の精神世界であるワンダーランドが崩壊してしまう夢をたびたび見る。精神科のバンビー先生からはその記憶を忘れろと言われるものの、忘れられるはずがない。

 薄暗い街を抜け、薬局へ向かおうとしていたアリスは白い猫を見つける。ついつい彼女はそれを追いかけて、細い裏路地へと入っていった。

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いかにも不思議な世界へ行きそうな道だ

 アリスは薬局へ行くなどという話をすっかり忘れ、猫を追いかけることになる。こうなってしまうと奇妙な世界へ行ってしまいそうだが。

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ああ、やはり異世界に

 想像の通り、道は不思議な空間へと繋がっていた。薄暗く霧のかかった裏路地は、アリスの不安を表現しているかのようである。

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いったいなんだコイツは

 猫を追っていたアリスがふと後ろの気配に気づき振り向くと、そこにはアリのような頭がついたバケモノがいた! やはり猫について来てもロクなことはなかった。

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被害妄想の象徴

 そしてバケモノは次第に増え、アリスへと迫ってくる。これが現実でないことは、おそらく彼女にもわかっている。が、それでも恐怖心は消えない。

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アリスの面倒を見ていた看護師か?

 不意に肩を叩かれ、アリスは現実に戻る。そこには奇妙なバケモノがいる……と思ったら、優しそうな老婆が立っているだけであった。彼女はナース・ウィットレス。アリスの知人のようで、世話もしてくれてはいるようだが。しかしアリス自身は、彼女から「また遊びに来たの?」と言われても嫌そうな顔をするだけ。アリスの気が休まるのは、せいぜいワンダーランドのことを考えている時だけなのだろう。

どこへ行っても毟られるアリス

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ワンダーランドでぶち殺した二人組みに似ている

 ここでウィットレスの回想が入る。アリスがラトレッジ病院にいた10年間は皆の時間のムダだったとのことだが、確かにそれもそうか。とはいえ、無視しておいてよかったわけでもあるまい。

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いつまで経っても治療が終わらないのだ

 その後もナース・ウィットレスはアリスの服を買ったりバンビー先生を紹介したりで様子を見ていたようだが、どうも状況は芳しくない。表面的にはアリスを甲斐甲斐しく助けようとしているようだが、実際のところはなかなか迷惑のようである。それもそうだ。十年数年も治らなければ負担にもなる。

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アリスを食い物にしようとする連中もいるそうだが……。誰のことかな?

 もし自分の援助がなければ、アリスは娼婦になっていただろうと彼女は言う。また、ラドクリフという弁護士はアリスのウサギのぬいぐるみを奪い取ったし、乳母のナニーといった存在がアリスを苦しめようとしているそうだ。当たり前だが、アリスはまともな精神状態ではないので、それを利用しようとする連中もいるのだろう。

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かわいくないアリスだ

 アリスは自分のせいで家族を助けられなかったと苦しんでいる。そこでナース・ウィットレスは、「私は悪い人じゃない」からと沈黙を彼女に売りつけようとした。つまり、アリスが生活費を渡さなければ警察に通報すると言ったところ、いよいよ彼女は錯乱してしまい、自分の名前すら思い出せない日すら来るようになってしまった。ああ、本当にかわいそうな子だ。

おそらく恩人であろう人にも感謝の意を表せない

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どんな世界もアリスには暗く映る

 アリスはナース・ウィットレスが飼っているハトを見に、屋上へやってきた。というよりは、話の流れでなんとなく来ただけなのだろう。彼女自身はそれにまったく興味がない。煙突から煙が立ち上る景色は綺麗だが、これも目に入らないのだろう。

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老婆もかわいそうなのだが

 そして、アリスの言葉は刺々しい。世話になったはずのナース・ウィットレスに対し、「私を傷つけて、病院に送り返すつもり?」などと言ってしまうのだ。まったく、これではウィットレスもストレスが溜まることだろう。

 すると、ナース・ウィットレスはいきなり喉が乾いているなどと言い出した。いったいなんの話かと思いきや、彼女の背中から羽が生えてきて……。

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またもや出てきた

 またもやあのアリのようなバケモノになって、お前の血を吸わせろなどと言い出した! いや、今回もきっと幻覚なのだ。アリスが錯乱しているだけである。そうに違いない。金の無心をするウィットレスの邪悪な顔が、アリスには悪魔に見えるのだ。

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先ほどまでの強気はどこへやら

 とは言っても、それがわかっていても落ち着けるはずがない。アリスは気が動転してしまい、眼の焦点があわなくなる。そして、いきなり彼女の足元が崩れた。

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この道はおそらく……

 こうしてアリスは奇妙な渦へと飲み込まれることになった。想像通り、これはあの世界へと繋がっているのだろう。

再びワンダーランドへ

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髪まで伸びているのは願望の表れか

 これによって、アリスはワンダーランドへと帰ってきた。いや、帰ってきてしまったと言うべきか? なんにせよ、またもやこの世界へとたどり着くことになったのだ。

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綺麗なのが却って不安だ

 一度は正常に戻ったはずのワンダーランドだけあって、景色はかなり綺麗なものである。だが、これが一部に過ぎないということは言うまでもなく。

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役に立たないのは確かなチェシャ猫

 そしてチェシャ猫が登場した。あの渋い声で皮肉っぽく、しかも英語でアリスの帰還を歓迎した。もっとも、アリスは威勢よくこの痩せこけた猫を役立たずと罵倒するのだが。

 なんでも新しいワンダーランドでは、新しいルールが幅をきかせているそうだ。チェシャ猫はこのことを忠告してくれたようだが、果たして何が待ち受けているのやら。

○ アリスマッドネスリターンズ 04 今のところ穏やかなワンダーランド
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