Portal2 レビュー

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シングルプレイと協力プレイに少し溝はあるが、実に素晴らしい『Portal2』

 『Portal2』は2011年5月19日に発売された一人称視点パズルゲーム。開発はValve Software。

 ポータルというワープ装置を駆使し、奇妙な科学研究所「アパチャーサイエンス」を脱出するゲームである。タイトルのとおり、『Portal』の続編となっている。また、協力プレイモードが追加された。

 今回は2012年5月31日に発売された廉価版を遊び、記録をつけた。ゲーム内容の詳細については以下のカテゴリを参照されたし。

○ 『Portal2』プレイ記録
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-category-67.html

シングルプレイは“最高の『Portal』ファンディスク”

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 さて、手短に本作の評を書くとすれば、シングルプレイは“最高の『Portal』ファンディスク”であり、協力プレイは“きちんとした『Portal』の続編”と言うべきであろう。

 そもそも『Portal2』は、Valveが制作しているだけあって見事だ。さすがにGOTYを受賞しただけはあり、品質は最高といってもよい。物語、音楽、演出、過激なジョーク、プレイヤーの誘導など、どこを切り取ってもほぼ完璧だ。

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 唯一問題があるとすれば、この作品が続編であるということか。はっきり言って、シングルプレイに関しては前作で完結しすぎているのだ。

 確かに、シングルプレイもかなり素晴らしいといえる。しかし、一方で問題のようなものも見えてくる。
  • 完全に続きものなので、綺麗に終わった前作をやや台無しにするところもある
  • 新要素はきちんと出てくるのだが、大半は見たことのあるパズルといった印象がついてまわる
  • “不気味な研究所を生き残る”という雰囲気が変化し、馴れ合いの空気が出てきた
 特に問題なのが、あの馴れ合いのような雰囲気である。本作はあの宿敵だったGLaDOSと仲良くなってしまう瞬間もあるし、パートナーのような存在も出てきてしまうのだ。

 無論、これらは前作や登場キャラクターが好きな人たちにとっては、かなり喜ばしいことだろう。ましてや、本作でパートナーとなるウィートリーは、本当にどうかしてるジョークばかり飛ばしてきて笑わせられない瞬間がないというほどだ。だが、前作の完璧さを損なう面もあるように思えるのだ。

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 僕が前作である『Portal』を遊んで最高に興奮したのは、あの冷たい謎の研究施設を、目新しすぎるポータルガンを持って進んでいくという部分があったからだ。あの知らない場所で未知の装置を持って進まねばならないという緊張感こそが、作品を最も楽しませてくれる要素だったと考えている。

 だが、続編になってしまった以上、あの緊張感は二度と味わえない。そもそも「アパチャーサイエンス」と「ポータルガン」という、知らなかった要素が素晴らしいゲームで全体の様相を知ってしまった以上、特別に新しく感じる興奮は得られないのである。

 そのため、どれだけ開発陣が努力しようとも、『Portal2』のシングルプレイが前作ほどの興奮をもたらせないのは致し方ないことである。もっとも、及第点どころか最高に近い出来なのは間違いなく、ファンが望む外伝的な立ち位置と考えれば文句は出ないだろう。

協力プレイは“きちんとした『Portal』の続編”

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 一方、今回で搭載された協力プレイは『Portal』シリーズの新たな形である。まさしく前作にあったような、目新しく知らない快感はここにあるのだ。

 協力プレイにより、見たことのある仕掛けがきっちり変化するのである。単なるワープ装置であるポータルは、さまざまな装置と組み合わせることにより虹色のように変化し、ふたりで遊ぶという協力要素がつくことによってグラデーションになるかのように、更なる変化を見せるのだ。

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 まさしく、前作で味わった斬新な要素というのは、この協力プレイのテストといえるだろう。シングルプレイではすべてのテストが刷新されているにも関わらず、どこか二番煎じに感じられたのに比べ、協力プレイではすべてが新しく感じられるといえる。なんせ、ふたつだったポータルが4つになるうえに、仕掛けの表情も倍以上に豊かになるのだから

 DLCにおける拡張がされているのも、協力プレイの部分である。やはり伸びしろがあるのはP-bodyとAtlasのテストなのだ。おそらく、国内では所有者も多くなく、しかも未プレイ同士の人間で遊ばねば価値が激減してしまうので実に遊びにくいことだろうが、協力プレイはぜひ体験するべきである。これこそが『Portal2』のプレイ体験をもっとも豊かにしてくれる。

しかし、なんだかんだ言っても『Portal2』は素晴らしいのだ

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 それぞれのモードについて言及したことからわかるように、『Portal2』は見事な出来でありながらも、前作を越えられたり越えられていなかったりする。それほどまでに、前作の存在が大きかったのだ。

 ここまで理解すると、僕が前作をクリアしたあと、本作になかなか手を出さなかった理由もわかる。なぜなら、前作を遊んだ時点で十分に満足してしまっていたからだ。シングルプレイにおいて、『Portal2』の必然性はなかったのである。

 しかし、開発側もそれを予め理解しており、協力プレイモードをきちんと用意したのだろう。そして、そこでは見事に新しく刺激的で楽しいゲームプレイを用意しておいてくれた。いやまったく、Valveはやはりすごいと言うしかない。心の底から見事だと言える一作だ。
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