このゲームはプレイヤーへのテロになっていない 『City Tuesday』 レビュー

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ピクトグラムのデザインは簡単にまとまることだけが利点だったか

 『City Tuesday』はXbox Live Indie Gamesで2012年9月18日に配信された2Dアクションパズル。価格は80MSPで、開発はReturn To Adventure Mountain。

 プレイヤーは駅や街中で発生するテロを阻止するため、時を操る能力や、街のアイテムや人を駆使していく(つまり、それがパズルとなっている)。世界のすべてがピクトグラムで表現されているのが特徴。

 ゲーム内容の詳細については特集記事を参照されたし。

○ 時を操りピクトグラムの世界を爆破テロから守れ 『City Tuesday』 特集
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-entry-1454.html

テロに対するアートゲーム

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 『City Tuesday』はジャンルとしてはパズルゲームだが、パズル部分はかなりどうでもいい。難易度が低いこともそうだが、仕掛けがかなり貧困なうえにわかりにくく、ひねりがないのだ。

 だが、本作は『Portal』、そして『Limbo』や『Braid』を意識した作品なのである。いわば芸術性をウリにしたゲームとでもいうべきもので、物語や演出を通じてプレイヤーに訴えかけることが主題なのだろう。

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 本作の舞台はどうも架空の場所らしく、実際のテロ事件を題材にしたわけでもなさそうだが、とりあえずアメリカが舞台であることは間違いないようだ。

 となると本作は、アメリカでのテロ行為に対する制作者の見解のようなものが見られるわけだが、これがかなりどうしようもない。

明確なデザインのゲームだが、物語とパズルは曖昧で貧困

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 ネタバレになるので明記は避けるが、本作はエンディングが特徴的である。時にすら逆らいテロを阻止した男は、想像を裏切るであろう場所へと向かうことになる。が、そこが曖昧でぶつ切りなのだ。

 いや、エンディングが唐突だということを非難したいのではない。本作は何を訴えかけているのかあやふやにすら理解できないし、道中にも語りかけてくる要素がないのだ。被害者である街人に感情移入させることも少ないし、英雄である主人公を理解させることもほとんどないし、悪人であるテロリストも何も語らない。それに、何も言わないエンディングが積み重なるわけだ。

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 そして、ピクトグラムの世界は“記号の世界”である。すべてが明瞭で、視覚だけで理解しやすく、曖昧さは弱い。そんな明確なアートの作品に曖昧な結末を、それも中途半端に「テロを阻止した」というだけの物語で語ったところで、不調和なだけで何も伝わらないではないか。おまけに曖昧だからこその「含み」も入る余地がない。

 こうなると、パズルゲームとしての質が低いことも評価の低下へと繋がるだろう。はっきりいって本作のパズルは、いや、パズルというのもおこがましいほど単純な仕掛けなのだ。そして、物語もかなり貧困なわけで……。

 『City Tuesday』の行為は、プレイヤーの精神へのテロには成り得ない。ピクトグラムは外見をごまかすだけで、とりあえず刺激的な題材を用いただけではないようにしか見えなかった。無論、僕が無学で理解できていないだけかもしれないが、僕にとってはそういう作品になってしまったのだ。


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City Tuesday 80MSP Xbox.com詳細ページ
デベロッパー:Return To Adventure Mountain ジャンル:アクション & アドベンチャー 2012/09/18

 ピクトグラムの世界でテロを阻止する2Dアクションパズル。
 時を操り、テロリストの目的を、そして日常の破壊を防がねばならない。
 ピクトグラムで構成された世界ではあるが、人々には日常があり、背景がある。
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