「バイオ6」にはプレイヤーを黙らせる新要素はなかった 『Biohazard 6』 レビュー

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「バイオ6」は本作にあるべきものがなかったが、それは過去の要素ではない

 『Biohazard 6』は2012年10月4日にカプコンから発売されたアクションゲーム(公式によればサバイバルホラーだそうだ)。おなじみ「バイオハザード」シリーズの最新作であり、ウィルスによって変異した元人間のバケモノやテロ首謀者と戦っていくという内容である。

 今回は四つの別視点から描かれる群像劇が主要素のようだ。協力プレイが前提のゲームであることは「バイオ5」から変化はないが、別々の主人公が遭遇する「クロスオーバー」というシステムなどが搭載されている。

 ゲーム内容の詳細についてはプレイ後記を参照されたし。

○ 『Biohazard 6』プレイ後記
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-category-71.html

大作であるゲームに求められるものとは

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 本作について語る前に、まずは大作に必要とされるものの話をしよう。世間にはさまざまな大規模ゲームが存在するが、それらに求められるものは何か? おそらく、大分すればこのふたつになるのではないだろうか。
  • 先駆者としての新要素開拓
  • 大作としての安定感
 ビデオゲームというものは常に新しい刺激を求められやすいものである。プレイヤー、特に多くの作品を遊ぶ人物は、より新鮮でより魅力を感じるようなゲームを求め、それは規模が大きい作品によって叶えられやすい。

 だが、大作にはもうひとつの側面がある。それは、普段あまりゲームを遊ばない人がなんとなしに手に取る場合に備えるということだ。名前が売れている作品はカジュアル・プレイヤーも手を出すわけで、そういう人に応えるためには新鮮味よりも安定感が求められる。また、シリーズの要素を残すという点においても安定が必要といえよう。

 この二律背反にしか見えないふたつの要素が必要だからこそ、大作はだんだんと続けていくのが難しくなっていくのだろう。では、『Biohazard 6』はどうなのかといえば、新要素開拓に関してはやや失敗しており、大作としての安定感は申し分ないという具合なのである。

「バイオ6」が表現しようとしたであろう物語は問題を抱えている

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 「バイオハザード」シリーズはホラー・アドベンチャーとして人気を得た作品であるが、三作目あたりからアクションへの方向転換を始めている。本作もそれに準じており、むしろ海の向こうで流行っている協力プレイが前提のTPS(三人称視点シューティング)に近い内容といえる。

 そして「バイオ6」ならではの新要素といえば、群像劇によって描かれる物語を重視した協力プレイである。今回は物語が四つの別視点から描かれ、それぞれ交差しつつ結末へと向かうのだ。

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 そのために、協力プレイもそれを前提としたものになっている。具体的にはプレイ中に「クロスオーバー」なるものが発生し、通常のふたり協力プレイから四人協力プレイにまで変化するのである。

 だが、この「クロスオーバー」はゲームプレイにおいて効果的とは言いづらい。そもそも物語の特定地点で、それも短めにしか発生しないため、Xbox360版ではマッチングがしづらい。また、内容も相手を援護するというものであればまだいいが、ただ四人で敵と戦うだけであったりと、かなりアイデアが足りないのだ。

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 同時に、モンスターとなって人間を襲える「AGENT HUNT」なるモードもある。これは物語中にプレイヤーがモンスターとして人間側の邪魔をすることができるモードで、協力プレイを盛り上げる要素として入っている。対戦のような形式でありながら、実質は“人間操作の敵がいると緊張感が増す”という協力プレイの新しい形なのだろう。が、これもやはり完璧とは言いづらく、不備が多い。

 もっとも、物語を重要視しているためにゲームプレイが疎かになるのはある程度致し方ない。ではその物語がきちんとしているのかといえば、これは残念ながらいまひとつである。本作はあえて謎を作るために四人目のキャラクターに多大な負担と矛盾を押し付けているのであり、群像劇としても、そしてそれを前提としたゲームプレイとして描かれる内容としても、残念だとしか言えないのだ。

もっとも、金がかかっているゲームなのは間違いがない

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 とはいえ、前述のように安定感は抜群である。四つの視点はそれぞれで違う体験をさせようという努力が明確にわかるし、実際に飽きないほど色が違ううえに、ボリュームも満点だ。また、物語も尻拭いをする場面以外は綺麗になっている。

 カットシーンは見応えがあり、これを眺めているだけでも満足感を得られることだろう。おまけ要素も充実しており、シリーズでは馴染みの「The Mersenaries」もやはりあり、今回はResident Evil.netという関連WEBサイトまで用意されているほどだ。

 ただし、これらには安定があっても革新はないだろう。それどころかこの手のジャンルにおける最新鋭の作品、たとえば海外製の作品と逐一比較していけば文句も山ほど出るに違いない。もっとも、それが非難される理由になるわけではない。あくまでそれらは些事である。それに、そういったことを知らない人たちが手に取れば問題はないのだ。

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 むしろ、問題視すべきは、大作ジャンルの最新作でありながら新要素が粗末なことである。もしここで物語を中心とした協力プレイで見事な経験を与えられたのであれば、きっと細かいことなど無視することも可能だったろう。

 おそらくこのシリーズが今のまま続けば、バイオテロを巡るさまざまな人物たちの活躍劇を描くことに重点を置くことになるのだろう。となれば、その方向としての革新を見せつけねばなるまい。それこそ、このシリーズがかつてアクションへの革新を見せつけたかのように。

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 よって、本作は安定を求めて遊べば幸福を得られる可能性が高いだろう。念のため言っておくが、ソフトを用意するだけでなく、協力プレイを一緒に遊ぶ友達もきちんと誘っておくべし。
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