Vegahの冒険は完全に未完成である 『FromPulse』 レビュー

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問題は多いが根本はひとつ

 『FromPulse』は2012年10月23日にXbox LIVE Indie Gamesで配信されたリズム&障害物回避アクション。開発はPixel Molotov。価格は80MSP。

 プレイヤーは音楽によって生きるOllopasという民族のVegahという少年になり、仲間の危機を救うため、地球のどこかに隠されたアーティファクトを探す旅に出るという物語である。

 ゲーム内容については特集記事を参照されたし。

○ Vegahは音楽を通じ、人の心を知ることになる 『FromPulse』 特集
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-entry-1484.html

細かい問題点は多いが、そこが問題なのではない

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 本作は非常に品質は高い。が、そのためか現状ではどう考えても未完成である。これが今回語るべきことのすべてだ。

 『FromPulse』は確かに見事なゲームであると書くべきだろう。目を引くグラフィックに、音楽が主題のゲームにふさわしいBGMがあり(しかもそれを無料でDLでき)、そして、時代ごとに何か背景を持った人たちによって展開される物語もきちんとついている。要素自体は非常に立派なのだ。

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 だが、本作は品質を高めるためか、全体としてのまとまりがとにかく欠けている。具体的には以下の要素が気になって仕方がない。
  1. ステージは6つ中2つが未実装であり、それぞれが短い
  2. 二周目である「NEW GAME+」をクリアしても「つづく」としか出ない
  3. そもそも、リズムと障害物回避アクションが噛み合っていない
 はっきりいって、ゲーム自体が短くて全体の物語も尻切れトンボなので、何を語ろうとしているのか判別がつかない状態なのである。おまけにゲームシステムも中途半端で、プレイするうえでどんな楽しみ表現しようとしているかまったく理解できない。

 こうなると、品質は高くともほとんど心に残るものがないのであり、拍子抜けするほどあっさり終わってしまうのだ。これらはそれぞれが欠点と取れるだろうが、原因はおそらくひとつだ。

問題は息切れをしたこと

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 というのも、おそらく80MSPという低価格でまとめた結果がこれなのだろう。本作は欠落しているステージを追加する予定をしているそうだし、物語もかなりぶつ切れだが続ける気はあるようだし、そもそも品質はいいので手を抜かれた結果というわけではなさそうなのだ。

 そうなると、この価格でこの品質のものを提供すると、現在の物量が限界ということなのだろう。確かにこのXbox LIVE Indie Games、80MSPでの作品のほうが人気が出やすいようである。すると、内容を犠牲にしてでも低価格で出し、人気を確保できてから要素の充実を図るという方針にしたのだと推測できる。

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 もっとも、その結果として出来上がったのは、“ガワはいいが明らかに未完成の作品”というわけだ。要素自体はいいものの、そのどれもが中途半端で完成には至っていない。おまけに6ステージ中2つはあきらかに間に合わなかったものがあり、全体の物語もほとんど意味をなしておらず、ゲームシステムもチュートリアルくらいまでしか到達していない。良し悪しを語る以前の問題である。

 本作はまるでペース配分を間違えたマラソンランナーだ。序盤にいい走りを見せたのだが、それだけである。それなら素直に、もっと短い距離の競技に出るべきだったのではないだろうか。

 余談になるが、本作のゲームジャンルはリズムゲームと障害物回避アクションを組み合わせたものだが、これらはとにかく相性が悪い。僕はこれを解決しているゲームが見たいのだが、本作は期待はずれだった。

 というのも、そもそもリズムゲームはリズムに頼ってボタンを押すゲームであり、障害物回避アクションは目押しでボタンを押すゲームなのだ。こうなるとどちらでボタンを押せばいいか混乱し、不快感が大きくなってしまう。が、本作はそれを解決しようとした痕跡すら見当たらなかった。もっとも、そんなことをする余裕もなかったのだろうが。


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FromPulse 80MSP Xbox.com詳細ページ
デベロッパー:Pixel Molotov ジャンル:キャラクター アクション 2012/10/23

 音楽によって生きる民「Ollopas」の危機を救うため、Vegahが今立ち上がる。
 リズム&自動スクロールの障害物回避アクションで、地球のさまざまな場所・時代を駆け巡り、アーティファクトを求める。
 ゲームプレイだけではなく、ビジュアルや音楽、物語に対するこだわりも強い一作。
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コメント

はじめましてどうも。

3DSウェアで配信されているリズムハンターハーモナイトは本作と全く同じコンセプトのゲームですね。価格は1000円、評判もいいみたいです。

はじめまして。
『リズムハンター ハーモナイト』はデモを触りましたが、少なくともリズムと目押しの問題は解決できていないようでした……。

このゲーム、少なくとも体験版をやった限りの「期待感」を含めると、240ゲイツでも良いと思ったんですが…
底が浅いというか未完成だったのですね、無理に80ゲイツにしなくても…

それぞれの要素を極めて高く評価しているよそのレビューなんかでも、内容量の少なさを指摘するのはまずありますね。
「80MSPでなくてもいい」というのは僕も非常に同感なのですが、この360インディーズゲームという市場(特に国外)ではそうでもないようです。『Gateways!』なんて作品は一時セールのはずが240から80MSPに値下げたきりですし、radiangamesも結局は全作品80MSPで固定する結果になってますので、最安値のゲームでなければ支持を受けにくいということは、どうも否定しがたいようです。
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