進歩は時に刺激を減らすことにもなりうる 『Pester』 特集

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今回は『スーパークレイジーキラーホーネット 特別なブラック・レーベル・エディション』のリメイク的な続編

 ビデオゲームにおいて、“前作の問題点を改善してより進歩する続編”という作品はよくあるものであり、無難に喜ばれる存在といえよう。そして、無難がゆえに容易なものに見えてしまうが、悪い部分を削って良い部分を伸ばすことがうまくいかない場合もある。

 2013年1月25日、奇妙な日本語が好事家を喜ばせた『Super Killer Hornet』のリメイク的な続編が登場した。開発のFlump Studiosは、一見すると笑える『スーパークレイジーキラーホーネット 特別なブラック・レーベル・エディション』というタイトルを取り除き、ゲームプレイをより奥深いものにしようとさまざまな要素を付け加えたのである。しかし、それは……。

 ともあれ、今回はXbox LIVE Indie Gamesで配信されたその『Pester』を紹介しよう。今回も基本は前作と同じで、ハイスコアを稼ぐシンプルな弾幕シューティングである。

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『Pester』はレトロな見た目をした弾幕STGといえばいいか

 なお、今回は開発元のFlump Studiosから『Pester』のDLコードを頂いて記事にしている。この点はくれぐれも留意されたし。

基本システムは無難だが、なんだかオプションが多い

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『Pester』タイトル画面

 さて、『Pester』になっての最大の変化は、変な日本語と奇妙な計算システムを削除したことである。前作はまずタイトルの日本語が無茶苦茶だったし、弾幕を避けまくっている最中になぜか数字を集めて計算をするシステムがあり、それが人目を引いたのだが、今回は真っ当に見せたいという気持ちがタイトル画面から伝わってくる。

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今回はとにかくオプションが充実している

 そして、新しく複数のゲームモードやオプションを用意している。まずは通常のArcadeモードと制限時間が存在するTempusというふたつの大きなモードがあり、そこから残機が3つある「Classic」、残機はひとつしかないが自機の攻撃が強い「Survival」、攻撃できずに避けるだけの「Astroid Belt」、そしてボスだけが登場する「Boss Mode」という細かい4つのモードを選ぶことができる。

 また、Modifilersによって難易度を大きく下げたり、一度にひとりで2機を操作する「Duo」をつけたり、操作が反転する「Reverse」を設定することも可能で、初心者から上級者までを対象にしようとしたのだろう。ほかにも背景やBGM、画面効果を変更することが可能で、これらはゲーム内実績を解除することによって選択肢が増える。

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レトロな見た目だが、自機の当たり判定は中央の丸い部分だけのようだ

 好みの設定ができたら、あとはハイスコアを目指してひたすらに弾を避け続け、敵を倒しまくるのみ。操作も簡単で、通常ショットを撃ち、時に画面の敵を一掃するボムを使い、ゲージを溜めて強烈なハイパーショットを活用していくわけだ。

 今回は落ちてくる数字を獲得して計算する必要もない。単純に敵を倒し、スコアやゲージを増やすコインを拾い集めていくだけである。

『Pester』に必要だったものは……

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避けるだけのモードなんてあって嬉しいか?

 こうして進歩したことは間違いないのだが、ではゲームプレイは面白くなったかというと疑問しか残らない。特に僕は、『Super Killer Hornet』の奇妙なタイトルと、一見こそ意味不明な計算システムが好きだった。

 前者はとにかく日本人の関心を引いたし、後者の計算システムも実はいいものだった。“弾幕を避けている最中に数字を拾って計算をしなければならない”という緊張の増幅がメリハリを産み、非常に刺激的に感じられたのだ。ましてや計算を成功すればスコア倍率が増えたので、数字を取るか、あるいは取らずに死なないことに専念するかの駆け引きもあったのである。

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細かいオプションが充実するのはいいが、まずは主題を……

 しかし本作は、その部分をただ単に取り除いてしまった。そのため、起伏があまり感じられなくなってしまった。おそらく、嘲笑されていることがわかったからこそ、今度は真面目に受け取ってもらえるよう変な日本語や計算はなくなったし、ゲームとしての進歩を目指してオプションを増やしたのだろう。

 だが、変な部分は本当に悪かったのだろうか? あれも見方を変えれば愛嬌の一種だろう。そして、オプションの組み合わせによって95通りの遊び方があるそうだが、背景やBGMが変化するだけの種類が増えてどうするのか? ダブルプレイや反転プレイをできるようになったとして、する人はどれほどいるのだろう。

 少なくとも『Pester』に必要なのは、ハイスコアを稼ぐ弾幕STGとしての進歩であり、低い知名度を覆すような目立つ要素を足すことだった。しかし、臆したのか小細工に走ってしまい、せっかくの特徴までも失ってしまったのだ。残念ながら本作は、見るべき箇所の少ない作品になったというしかないだろう。

 ただし、この行為を非難する気はまったくない。なぜなら、Flump Studiosはゲームをより良く進歩させようとして、結果として良かった部分までをも間違ってそぎ落としてしまっただけなのだから。つまり、彼らの成長過程において、変化が生じただけだと解釈しておきたい。


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Pester 80MSP Xbox.com詳細ページ
デベロッパー:Flump Studios ジャンル:シューティング 2013/01/25

 ハイスコアを稼ぐ弾幕STG。
 シンプルなシステムに、多彩なオプションを搭載しているのが特徴である。
 残念ながら、前作の計算システムや、奇妙な日本語タイトル画面はなくなってしまった。
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