名作ボードゲームをパクってゾンビをねじ込んだのにダメになったゲーム 『ZombieRun』 【Xbox360 IndieGamesで石を拾う 33】

あのゲームがゾンビと出会う!

 「Xbox LIVE Indie Gamesは玉石混交である」。誰が言ったか知らないが、そんな言葉がある。しかし、世間で目立つのはほとんどが玉ばかりであり、そこらに転がる石は無視されるばかり。 もし玉石混交というのであれば、石もまたこの場において重要な要素ではないか? そんな思いから、尖った石を拾って紹介するコーナーを始めたのである。

bbox_zombierun.jpg 将棋、チェス、オセロといったボードゲーム(非電源ゲーム)には古臭く硬い印象があるものの、『カタン』や『カルカソンヌ』、そして『ドミニオン』といった新しく理解しやすい作品も、プレイヤーを楽しませている。それらの作品をビデオゲームで遊んでいる人も多いだろう。

 ところで、ゾンビも海外では特に大人気だ。ましてやXbox360のインディーズゲームことXbox LIVE Indie Gamesでは、ただでさえ腐っているゾンビのゲームが腐るほどある(おまけにゲームとして腐っているものも多い)。その中には名作ゲームとゾンビを合体させ、大人気になったものさえあるのだ。

 ……となると無論、有名どころのボードゲームを真似した作品、それも安易にゾンビをぶっこんだだけのものが出てくるわけだ。そんなわけで今回紹介するのは、Xbox360インディーズゲームで2012年3月18日に配信された『ZombieRun』だ。

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見た目がとにかく寂しい『ZombieRun』

 本作は最大4人で遊ぶゾンビから生き残るためにカードを集めるボードゲームなのだが、もっと身も蓋もない紹介方法もある。まァ、それはあとにとっておこう。
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何がまずいかといえば、そもそもルールがわからない

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とにかく第一位印象が最悪だ

 まず、本作が理解を得られなかった理由から話そう。それはルールの説明が壊滅的にヘタクソだからだ。基本ルールはテキストをただ読ませるだけというふざけた作りで、しかも遊びながら理解するということも難しいだろう。

 とりあえずプレイしてみれば、カードを使ったり買ってターンを終わらせると、相手が似たようなことをして、またターンが回ってくる。が、すっかり手札は変化していて、買ったカードもない。これでは何が起こっているのか理解できなくても無理はないだろう。つまり、ただでさえ参入者が少なさそうな見た目なのに、まともに遊ぶ前に脱落者が多数出るというわけである。

 してそのルール内容は具体的にどうなのかというと、名作ボードゲーム『ドミニオン』をそのまま真似たものである。カードを買ってデッキを作り、サバイバル・ポイントとなるカードを集め、それを一番多くデッキに組み込んだ人の勝利だ。

 デッキのカードは最初10枚しかないが、ショップでLuckに応じた新たなカードを購入することが可能である。そこではサバイバル・ポイントを増やすだけでなく、相手の妨害をしたり邪魔してくるゾンビを殺すアクションカードというものをデッキに組み込むこともできる。

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本作のルールをわかりやすく説明したつもりの画像

 ……という単純なルールにも関わらず、本作はルールがわかりづらい。その理由は以下の4つが主な原因だろう。
  • デッキの表示がない
  • 捨て札の表示もない
  • 廃棄(ゲームから除外)したカードの表示もない
  • カードをドローしたり、手持ちカードを捨てる描写もない
 要は、カードの流れ(上記画像で記しているもの)が一切描写されないわけだ。通常のゲームであればカードを切ったり配ったりする演出があるわけだが、それがあることのありがたさが本当にわかる。あれは雰囲気作りにも重大な貢献をすると同時に、何が起こっているのかという当たり前の部分を教える役割もあるのだ。

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このあたりもプレイする際に押さえておきたいが、説明はないようなもの

 そういった描写が難しかったとしても、せっかくビデオゲームとして配信しているのだから、上記画像のようにルールを説明する画面を作ることは容易であったろうに。まったくもって失望するような具合だが、こういう経験をすると、普段から遊んでいるゲームの素晴らしさがよりよく見えてくる。時にはこういった駄作を遊ぶのも良い経験といえよう。

もっとも、『ZombieRun』が遊べないというわけではない

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ショップ画面で毎ターン1枚の(アクションカード使用時は複数も可能)カードを買える

 しかし考えてみれば、Xbox LIVE Arcadeでも『ドミニオン』や類似作品は配信されていないようだし、それをゾンビでアレンジするということを行った作品はない。つまり、もし本作が立派な作品であれば、十分な人気を得る可能性もあったはずなのだ。

 もっとも、そうなる未来はほとんどなかっただろう。理由は言うまでもなく、あらゆる部分が杜撰だからだ。特にカードのデザインはひどく、写真とイラストがごた混ぜであるだけでなく、写真素材の切り抜き方も統一されておらず、最悪にひどい切り抜き方がバックパックである。こんな汚いカードなど、触らずにゴミ箱へぶち込みたくなるだろう。

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ゾンビカードはいつの間にかデッキに混ざってきたり、敵から贈られてくる

 とはいえ、さすがに元が立派なゲームだけあって、ルールを理解すれば楽しみに到達することは不可能ではない。基本はデッキを作る『ドミニオン』だし、アクションカードも種類がそれなりにある。ましてや本作、デッキの中にゾンビが混ざってくるので、それをうまく銃で殺したり、相手に処分させるといった独自要素もあるのだ。また、オンライン対戦も一応は機能している(人はいないが)。

 もっとも、ゾンビ・アポカリプスを生き残るゲームにはなっていないだろう。なぜなら本作、相手にゾンビを押し付けることもできるので、「コーヒーを飲んで、ランニングして、相手の家をピッキングしてゾンビを送る」という奇妙な展開も出来上がってしまうのだ。これは『ドミニオン』をそのまま真似て、カードの絵柄をゾンビものにしただけだからこそ起こってしまうのである。

 『ZombieRun』はプレイヤーたちに喜ばれる可能性があったのに、出来上がったのはルールすら理解するのも面倒な代物だった。最初から可能性が一切なかった石よりは、いくらかマシだろうか……。


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ZombieRun 80MSP Xbox.com詳細ページ
デベロッパー:Teddy Jordan ジャンル:テーブル ゲーム 2012/03/18

 『ドミニオン』クローンのデッキ構築型ボードゲーム。
 カードを集めてデッキを作り、サバイバルポイントを集めていくのが目的。
 ルール説明が壊滅的にヘタクソで、カードの絵柄もひどいとしか言いようがないものの、理解すれば楽しめなくもない。

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