Hitman Absolution 02 物語と“暗殺パズル”の矛盾

クリアしてから楽しさに気がつく

HitmanAbsolution_02_01.jpg
ヴィクトリアを助けた感慨はあまりなく

 前回の『Hitman Absolution』の記事では「暗殺の楽しみ方がわからない」と書いたが、一周クリアしてようやくこれをどう楽しめばいいか理解できるようになってきた。それと同時に、本作の何がまずいのかもわかった。

○ Hitman Absolution 01 暗殺の楽しみ方がわからない
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-entry-1554.html

 『Hitman Absolution』の問題は、物語と“暗殺パズル”とでも呼ぶべくゲームプレイ部分のどちらが主軸か明確でないところだろう。いや、おそらくはこれを両立させようとしてうまく行かず、結果として「出来は悪くないが褒め切れない」という形になったのだと考えるのが妥当か。

HitmanAbsolution_02_03.jpg
コントラクトというとわかりにくいが、要はミッション作成モードだ

 さておき、まずは本作における暗殺の楽しみ方を説明せねばならないだろう。これはクリア後に「コントラクト・モード」をプレイしてようやく気付くことになった。

 このモードは本編中に出てきたマップのどれかを使い、自分でターゲットや暗殺条件を決めてミッションを作り出せるというものである。要は、用意されている状況でいかにうまく敵を倒すかという“暗殺パズル”をより楽しめるモードなわけだ。

 こういったモードがあるということを換言すれば、既に内容を知ったステージで、いかにうまく殺すかを考えるのが暗殺の楽しさというわけである。つまり前回の記事で書いた「解き方がわからない」状態では、このゲームの楽しみを知る前段階にすら辿りつけていないのだ。

HitmanAbsolution_02_04.jpg
クリア方法のひとつを示すヒントでもあるのだから、「チャレンジ」という名前もよくない

 よって本作は事前に、ある程度のマップ構成、使えそうなもの、いかにしてクリアできるかなどをチェックせねばならない。一番最後の事項はゲーム内の「チャレンジ」を見ればわかるのだが、そこに気づかない可能性も十分にある。また、マップ構成や使えそうなものは何度か死んで下調べしなければならないのに、本作はそれをはっきりと教えてくれない。

 ましてやこのゲームは、物語(カットシーンもしくはムービー)の合間に暗殺ミッションが混ざるわけだ。となれば、物語を見るゲームとして考えてしまうこともあり、すると目的は暗殺を楽しむことではなく、とにかく先に進んで話を読むことになる。すると、何度も死んで下調べすることは状況に沿わなくなってしまうのだ。また、ステージ開始前に地図などで潜入場所の状況を知る下調べをしなくていいシステムなども、物語的に採用しづらいのだろう。

 そして、物語というものがある以上、話が優先されてしまいステージにおいても無茶ができない。結果として本作は、暗殺ミッションと同じくらいに逃げるだけのステージが多く、それは正直なところ“暗殺パズル”としてはありがたくないものなのだ。

ものに何かを付け加えると主題がわからなくことはよくある

HitmanAbsolution_02_02.jpg
エピローグにおける最後の敵が弱すぎて拍子抜けした

 では、“暗殺パズル”とでも呼ぶべくものを犠牲にして作った物語はどうかといえば、これはかなり困ったものだ。話の流れは「ヴィクトリアを救うため、その障害となる人や彼女の秘密を知っている人を始末する」というだけで、起伏にも疑問があればカタルシスもうまく表現できているとは言い難いだろう。

 そのため、前述のように本作は何が主軸かわからないのだ。どうも本作は“暗殺パズル”を本編のやり込み程度にしか考えていないような、しかし「コントラクト・モード」があるのだからそうでもないような、一本道なのか、多くの選択をプレイヤーに与えるゲームなのか、混乱させることがあるだろう。

HitmanAbsolution_02_05.jpg
二周目で物語を無視できるようになってやっと楽しくなってきた……

 とはいえ、『Hitman Absolution』の品質は昨今のパッケージソフトとして遜色のないものだ。親切なチュートリアルがあり、カットシーンから違和感のないプレイへの移行もあり、人の動きやAIも違和感をなくそうとしており、見た目もたいへんに良い。

 もっとも、核となる部分に陰りがあるとすれば、満点を獲得するのは難しいだろう。僕は「47」に、美少女を助けるのが目的なのか、暗殺をすることが目的なのか、それを問いたくなった。

○ Hitman Absolution 03 奥歯にひっかかるものがありつつも、楽しんでおわり
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-entry-1556.html

このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

非公開コメント