Aボタンの押しっぱなしこそ最適解! FF5風の戦闘特化RPG、『Loot Grinder』は戦闘バランスの崩壊具合がウリ!

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いかにもFF然としているが、その実態は……

 『ファイナルファンタジー』シリーズで好きなタイトルはどれかと問われれば、僕は『ファイナルファンタジー5』(以下、FF5)が好みだと答える。あのゲームはジョブを選択してキャラを育てる要素があるのだが、その選択肢が多く戦い方が実に多様なのだ。

 なんでもFF5をやりこむ人は、レベル1クリアだの一人旅だので遊んでおり、実際にそれで攻略できているのだからすごい話だ。とにかくFF5は戦闘に関してかなり練られたゲームであることは間違いなく、それをご存知の方も多いはずである。

 となれば、RPGの戦闘、それもコマンド選択式のそれだけを遊ばせる作品が出てくるのも道理である。よって、今回紹介する作品は、Xbox360インディーズゲームで2013年3月19日に配信された『Loot Grinder』だ。価格は80マイクロソフトポイントで、開発はPixel Polish Games。

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クラスを選んでアビリティをつけて戦いまくる!

 本作は16bit時代のJRPG、というよりおそらく『ファイナルファンタジー5』を強く意識している戦闘のみのRPGである。……と、ここまではかなり楽しそうに書けるのだが……。
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基本システムの説明だが、これはあくまでも表面上の話


 さて、前述のように本作の形式やキャラの造形など、やはりまるでFFのようである。それがある意味で落とし穴になっているのだが。

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戦闘に特化したからこそできる簡素な画面

 本作は基本的にメニューと戦闘しか存在せず、通常のRPGにあるような街の移動や人との会話は一切ない。とにかく、宿屋に泊まるなりキャラの装備などを変えるなど、結局は敵と戦うための行動のみに絞っている。

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基本システムはまさしくFFそのまま

 説明は不要かもしれないが、コマンド選択式というよりATBそのままな戦闘についても記述しておこう。画面下部に表示されているゲージが貯まると、「アタック」だとか「アイテム」、あるいは「パール・マジック」(白魔法に該当)などの行動を選択でき、すると自分のキャラがその行動を取ってまたゲージが貯まるのを待つ、という感じで敵と戦っていく。

 はじめは特殊な行動はできず、とにかくアタック、つまり通常攻撃を連打しまくることになる。すると、必然的に操作がAボタンの連打になる。

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このステージ選択式なのがまた厄介

 また、戦闘の場所をあらかじめ選ぶことができ、4つのステージで特定回数戦う(最初は10回で、それ以降は前回の回数+5回ずつ増える)と、ボスと戦うことができるようになる。

 つまり、最初はAボタン連打の戦闘を10回分やらねばならないのだ。ま、まだクラスが出てきてないのだから単調になるのは仕方がない。そう思おう。

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ちなみにキャラ名は自分でつけられるぞ

 そしてボスが登場するのだが、こいつも通常攻撃連打で倒す。するとひとつのクラスなるものが貰え、キャラクターをシーフやウォーリアー、パール・マジシャンといった立場にすることができるのだ。

 無論、それぞれのクラスには特徴があるだけでなく、成長するとアビリティという特殊能力を覚える。習得したアビリティは別のクラスになっても付けることが可能なので、その組み合わせでさまざまな戦術が展開できるようになる。……という選択肢の多い戦闘ができるRPGというのはまるでFF5の説明であり、本作と関係ない気がする。

ずっとAボタンを押し続けるハメになり、そしてそれすらも無駄になれ!

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魔法攻撃はとにかくコストに見合わず、金がだだ余りになるまで使えない

 というのもこのゲーム、すべてのクラス(5つ)を解放しても通常攻撃のほうが圧倒的に強くて優秀なのだ。その理由は単純で、ゲームのバランスがおかしいのである。
  • 魔法は高コスト(魔法は武器より高く、MPを回復する宿代も異常に高い)なのに、通常攻撃はちょっと高い武器を買うだけでかなり強く、使用可能範囲も広い(特にナイフ系)。
  • 操作が据置機向きでなく、通常攻撃以外の選択がかなり手間になっていたり、魔法を選択するとコマンドがでなくなることも。
  • 戦闘のテンポも非常に悪く、まともに見ていられない。
  • ボスも通常攻撃の連打でゴリ押しが可能というか、それが楽。
  • おまけに通常攻撃だと、Aボタン押しっぱなしで放置稼ぎをすることができる。
 このゲームはひたすらに戦闘を繰り返すゲームで、おまけにボスを倒すと必要戦闘回数が増えるのは前述のとおり。雑魚はどれも本当に雑魚で、最初の10回や15回はいいが、それ以降はまともにやっていられるわけがない。しかも通常攻撃が非常に強いので、ボタンを押しっぱなしで放置するほかないわけだ。

 FF5のような戦闘、いやさすがにそれよりは劣っていてもいいが、とにかく戦闘のバランスに期待していた僕などは、この時点でこのゲームの苦痛さに頭を抱えた。戦闘をすることをメインに据えているのに、通常攻撃の連打放置が最適解だと!? まるで戦闘部分だけがかろうじて出来上がった作りかけのRPGをやらされているようなものではないか。この時点で中指を立てて振り回し、机の角にぶつけて悶絶した。

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1ステージでの戦闘が175戦を越えたあたりでようやく物理攻撃が効きにくい敵が出始めた

 とはいえ、かなり先になれば魔法を使いたくなる敵も一応出てくるし、何より僕が本作の基本理念を勘違いしていただけなのかもしれない。というのも本作、Windows Phone版(WP版『Loot Grinder』)の移植作品なので、このゲームは何かの合間にちまちまと戦闘をし、ひたすらにキャラを鍛えたりアイテムを収集するRPGなのだろう。考えてみれば、タイトルもそんな感じだ。

 世の中にはレベル上げやレアアイテム収集のような作業が好きな人もいるわけだ。そういう人からすれば、延々と雑魚戦だけを繰り返すことができ、どこまで続くのかわからないステージや、入手方法が不明すぎるアイテムがあるというのは垂涎モノだろう。それをスマートフォンでやるというのは、なるほど理解できる。

 しかし、それを据置機でプレイするための工夫がなく、かつアイテム収集をするためにしても単調すぎるというか、ボスからものを盗んでもたいていポーションで、かつ放置が最適なのでレアアイテムをいつ手に入れたかよくわからないゲームというのもどうかという気がするが、さておきそういうゲームなのだ。

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だいたい3時間近くプレイしてこうなった

 もっとも、本作はプレイを続けていると何らかの原因でエラーが発生し、レベルが巻き戻ったり一部のアイテム・装備がなくなったりするのだから、もうこの痛めた中指で制作者の目を突いて問題ないのではないか。

 僕はせめてフィールドのステージで270戦する(つまりボスを10回倒す)までやろうと思っていたのだが、これのおかげでキャラがかなり弱くなり放置も難しくなり、おまけにどこまで続くかわからないし、敵キャラも腐ったかのように変色したものばかりになってきたので、すっぱりと諦めた。こんな“ドモホルンリンクルの雫が垂れるのを眺めている係、給料がもらえない版”みたいなものをやっていられるわけがない。

 “戦闘にのみ要素を絞ったRPG”に見えたゲームは、どうも“ただにひたすらにボタンを連打して経験値やアイテムを稼ぐゲーム”であり、しかし結果としてそれを失い、稼ぐこともつらくなるゲームだったのだ。はたしてこのRPGが目指したものは、いったいなんだったのか。


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Loot Grinder 80MSP Xbox.com詳細ページ
デベロッパー:Pixel Polish Games ジャンル:RPG 2013/03/19

 16bit時代のJRPGを意識した戦闘特化のPRG。
 4人のキャラを鍛え、クラスやアビリティを駆使してとにかく敵と戦い続けるが、実態はAボタン連打で通常攻撃をし続けるゲームだった。
 一応はそのうち通常攻撃も通用しなくなるようだが、データ巻き戻りなどのバグに耐えて続けるのはまさに苦行。

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