100円SFホラーゲームを遊び、人間の分かり合えなさにおののく

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今回は一部で大絶賛のホラーゲームを否定的に見ていく

 特定のサイトであるゲームがべた褒めされており、違和感があった。実際にその作品を遊んでみると、どうもその意見にはあまり賛同できそうにない。さて、そんなよくありそうな場合はどうするか。

 作品というものはたいてい作り手が入れ込んでいるため人格そのものとも言えるが、同時にその作品を好んだ消費者ともニア・イコールで繋がるように感じる人もいるだろう。よって、意見の違う人の人格を攻撃する(ことにより作品を否定する)のもひとつの手なわけだが、さすがに僕はそんなことをする気はない。

 では、対立する意見をいかにすべきかといえば、どちらが正しいかなんて決めなくていいのだろう。意見の多様さは作品をより深く理解できる手助けであり、いがみ合うことなどないのだ(と思いたいのだが、なかなかそうもいかないのが困った話で)。

 さておき、その作品はXbox360インディーズゲーム(Xbox LIVE Indie Games)で2013年6月21日に配信された『Saturn 9』である。本作は主観視点のSFホラーゲームで、少なくともある海外サイトでの評価はかなりのものなのだが、ここでは恐怖というかマヌケなホラーゲームと言いたい。

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『Saturn 9』タイトル画面
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暗闇+謎解き+恐怖演出

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ホラーとは思いづらい導入である

 舞台はスペース・シップ「Saturn 9」、なぜか通信が取れなくなったこの船を調査するため、単独でここへと乗り込むわけだ。

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船内は一応SFらしくはある

 なぜかといえば怖がるためだがプレイヤーは懐中電灯しか持っておらず、できることは探索のみである。特定の場所で道具を使うことはあれど、それで戦ったりすることもできない。そして当然、よくわからないバケモノが出てきてしまうのだ。

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乗務員の記録なんかもあるが、量は察せ

 とはいえ、ゲームプレイの大半は謎解きに終始する。道中の扉にはロックがかかっており、そこらに落ちているものやPC上に残っている記録から適当につけたセキュリティ意識の低すぎるパスワードが必要だ。つまり、どうしようもない謎解きをやる必要がある。

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よくわからないが、生きている人ともすれ違ったりする

 そして、時にはいきなり酸素ゲージが登場し、ボンベを探しまわるという恐怖演出が……! とやっつけに煽ってみたが、本当に唐突かつただの強制イベントでしかなく、よくわからないとしか言いようがない(そもそも酸素ゲージなど普段はないし、酸素がなくなりそうな雰囲気があるだけだ)。どうも安価なだけあって、こういう滑りつつある要素もあるようだ。

謎解きばかりでバケモノが出てきてくれない

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ぎこちなく死体の腕を斬ってあげるシーンもなくはない

 もっとも、本作は暗闇の中から何か飛び出てきそうな雰囲気を描くことは成功している。特にゲームを開始した直後、船内の薄暗さが「この心細い装備で、この暗すぎて不気味な調査をしなければならない!」と思わせるだろう。

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恐怖というかどういう意図なのかわからない演出が多い

 ただし、逆に言うと成功しているのはそこまでである。本作の流れは「PCでの謎解き → 先へ行く → 酸素切れの恐怖演出 → PCでの謎解き」という単純すぎる構成であり、あっという間に慣れてしまうのだ。

 更に、恐怖演出にも難があり、生存者らしき人物が倒れこむだけだったり、なぜか周囲が現代風の洋館になって自分の墓を見ることになったりと、何をしたいかピンと来ないのである。怖さを味わうどころか、「よくわからない場所で生存者が死んだな」だとか「なぜいきなりSFが洋館に?」となるのがオチだろう。

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恐怖の象徴としても今ひとつなバケモノくん

 ましてや、前述のように“暗闇の中から何か飛び出てきそうな雰囲気”は生かせているのに、そもそもバケモノが出てくるのはゲームの後半である。しかも、最初は顔合わせ的にちらっと出てくるだけという心臓に優しい親切設計だ。

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なお、本作はすべての謎解きの答えが見られるようになっている

 おまけに本作、ナゾを4回解けば最後の最後にたどり着くのである。そのため、ゲームの大半がつまらない謎解きであり、バケモノと遭遇して恐怖を味わえる瞬間がほとんどない。ロッカーを開けて回る時など、バケモノを出すのに絶好の瞬間だというのに……。

 こうなるともはや、「お前はなんのために懐中電灯しか持っていないのだ」と言いたくなる。

バケモノとの追いかけっこはもう飽きた

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データが都合よく机の上の箇所に落ちていてくれる

 言うまでもなく、一番最後にあるバケモノとまともに対峙するイベントもしょうもない。ここでは“バケモノに終われつつリサーチ・データを集めて脱出しろ”というそれらしい形なのだが、なんというか……。

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面倒臭いとしか言いようのないラストバトル

 それこそはじめてバケモノに捕まった時は驚くかもしれないが、ここは難易度が高めで何度も捕まることになるため、あっさりと慣れさせてくれるのだからなんともはや。気の抜けた炭酸のような鬼ごっこだ。

 無論エンディングもほとんど意味はなく、取り柄は安価なことくらいだろうか。短く構成しているのは良いのだが、その短い中ですらガス欠状態になっているのはいただけない。

 しかしながら、本作を安価で素晴らしいと喜ぶ人がいることも事実で、この作品に「ボリュームが足りない」と言う人がいるのも事実である(僕はくだらないパスワード探しなどこれ以上やりたくない)。こういう時、人は分かり合えないのだろうか……、などと思ってしまうが、そもそも分かり合えた試しなど一度もなかった。


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Saturn 9 80MSP Xbox.com詳細ページ
デベロッパー:Raoghard1 ジャンル:アクション & アドベンチャー 2013/06/21

 通信の途絶えてしまった宇宙船を調査する主観視点のSFホラー。
 ライトを持って周囲を探索し、謎を解いて調査を進めていく。
 なお、本体言語が日本語だとエラーコード4が出るため、英語に変更することを推奨する。

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