セインツロウ ザ・サード 03 セインツは正義のヒーローか、それとも下品なギャングか?

セインツは正義のヒーローだった

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車に轢かれまくり保険金をムシる「保険金詐欺」

 いよいよ終盤に突入した『セインツロウ ザ・サード』だが、その前にマップ中にあるアクティビティ(ミニゲーム)を消化していくことになった。

 これらはどれも冗談めかしている(虎と一緒にドライブしたり、むやみに街を破壊しまくる)のだが、それで笑うより退屈さが勝って仕方がない。同じミニゲームを何度もプレイすることになるし、そもそも物語と無関係すぎて無意味なオマケに見える。特に、冗談の要素もないうえに無駄に長い「ヘリアサルト」は苦痛すぎた。

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民間人が支持するとは思えない乱暴な軍人のおふたり

 さておき、しばらくのお勤めを終えてようやく物語の進展である。今までは3つのマフィアと戦っていたが、それらを潰すに従って軍隊までもが顔を出してきた。これではどう考えてもマフィアがやられる展開ではないか。

 と思いきや、なんとこの軍隊も「街の平穏を守るために、犠牲は厭わない」などというマフィア真っ青な連中なのであった。本作はてっきり傍若無人なマフィアの物語だと思っていたのだが、どうやらセインツが一番マシらしい。

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この台詞自体はボスのものではないが、ほとんどこの意見と同調している

 更に、宇宙映画を撮るDLCではボスが一段とまともであり、映画のために人殺しをする監督を懲らしめる展開になるのだ。自分は「歩道が広いではないか」と言わんばかりに、運転中は人を轢き殺しまくるというのに……。

 どうも想像とかけ離れていて驚いたが、実はセインツは正義のヒーロー扱いらしく、終盤の展開では『I Need a Hero』が冗談めかしてかかったりもする。裏で麻薬を売ったり人身売買もしてるであろう組織なのに。
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セインツは本当にギャングなのか? という疑問

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電脳世界に入って便器やダッチワイフになるボス

 しかし、ジョークで笑うためにその位置づけが必要なのだろう。たとえば「生意気な女をダルマにした上で歯も抜いたから、これで大人しいダッチワイフになったぜ! HAHAHA!」などという冗談をやらかした日には、笑えない人が多いだろうから、セインツはある程度まともな範囲で冗談をやる必要がある。

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ハルク・ホーガンのキャラを差し置いてプロレスで活躍するボス

 しかしながら、僕にはそのノリが理解できなかった。それは単に合わないということだけではなく、本作は基本的に下品な要素があるのに上品な気がしてならないのだ。ギャングが下品なギャグをやるなら、正義のヒーローが上品な冗談を見せるなら、あるいは意表を突くためにあえて齟齬を採用するならともかく、そうではないように見える。

 前述のように、セインツは正義のヒーローでもあり、そして街の人からも支持されているし、更に敵対組織はすべて悪とも取れる描写がある。にも関わらず、正義のヒーローが破壊行為や犯罪行為をしているのを笑うというのは難しいのではないか。そして、それは意図したものではなく単なる矛盾なのではないか。

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とってつけたようなゾンビと戦うボス

 そこさえ納得できれば、本作はさまざまなジョークを盛り込んでいるので気持ちよく遊べるのかもしれない。だが、どうもそのセインツの存在が曖昧なところが気にかかって仕方がないのだ。

 それはどうも制作側も気に留めているらしく、ジョニーという登場人物が“現在のセインツのあり方がギャングではない”ということを疑問視していることからも見て取れる。もっともそのキャラは最序盤で殺されてしまうのだから、疑問が黙殺されているという現れなのだろう。そして、本作のねじれの原因でもあるはずだ。

シリーズの中でもたまたま問題のあるところを掴んでしまったようだ

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世界はこんなに広いのにやることはあまり差別化できていない

 また、ゲームプレイのほうにも疑問が残る。本作はオープンワールドなのだが、どうも要素が少ないように見えるのだ。店はたくさんあれど実質的には7種類程度しかないし、あとはアクティビティ(ミニゲーム)と収集品とお使い(車泥棒と暗殺)くらいでしか構成されていない。

 このあたりは単純に時間の問題だろうか。前作に比べても要素が減っているようだし、オンライン周りの要素も減っているようであり、どうも世界に没頭できずお使いの連続のように見えてしまう。

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座っているだけでクリアできた最難関サバイバル

 そして、戦闘バランスも調整が不足しているのではないだろうか。序盤こそ良いのだが、終盤になるとダメージ無効のスキルが買えてしまうため、ひたすら簡単な目的をこなすだけになる。もっとも、戦闘面に関してはオマケでしかないので、問題はやはりオープンワールドの作りこみと、ギャングとしてのあり方が曖昧な点だろう。

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DLC実績部分とAct1がやり直しになってやや手間だったか

 とはいえ、実績を全解除するまで30時間以上遊べるほどには立派な作品である。欠点ばかりを書いたものの、あくまで満点でなかっただけだ。

 セインツはギャングとしての存在があやふやになっており、そこがジョークや物語、果てはゲームプレイにも問題として出てしまったということだろうか。既に体験版が出ている次回作では、そこが解決できていると良いのだが。

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