実は「なんだか深いように見える単純明快なアクション」なのでは 『METAL GEAR SOLID HD EDITION』 02

笑ったり唖然とするハメになったエンディング

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どんなボスよりも苦戦したシーンがここだった

 『METAL GEAR SOLID 2』(以下、MGS2)をクリアしたが、終盤の展開があんまりすぎて開いた口が塞がらない。当時にプレイした人は、僕なんかより何倍もの衝撃(それもたぶん悪いもの)を受けたことだろう。

 何が困ったかといえば、詰め込みすぎなうえに方向性がまとまっていないのだ。いや、小島監督からすればまとまっているつもりなのかもしれないが、少なくともこちらからはまとまっているように見えない。

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フォーチュンなる敵も「出し抜こうと思っていたら計画の一部だった」という立場なので爆笑

 そもそも尺が詰まっていたのか、終盤の展開は笑えたりもした。
  1. 実は主人公の雷電の行動こそが計画の一部だった!
  2. いや、その計画と思い込んでいたものはオセロットや『愛国者達』が仕組んだ計画の一部だった!
  3. いやいやいや、その計画と思い込ませていた計画は、そもそもリキッドの計画の一部だった!
 という入れ子構造が何重にもなっており、もはや何がなんだか。おまけにこれが終盤のカットシーン(ムービー)で一気に消化されるのだからひどい。

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こんなことを言ってまったく終わらせる気がないオセロット

 実際のところ話自体は壮大のように見えるのだが、ここまでギャグのようなことをやられると、単純に後付け設定に後付け設定を重ねただけではないかと思える。いや、考えてみればMGS1もそんな話だったかもしれない。
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テーマはおそらく「自由」なのだが、その繋がりが見えない

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ものすごい悲しく見えるシーンだが、泣ける場面とも思えない

 また、作品のテーマもかなりとっ散らかっているように見える。たとえば、オタコンは恋愛にまつわる話を担当しており、手荒にまとめると「過去に過ちを犯したとしても、自らの意思で人を愛することができる」というようなことを言ってくれるのだ。

 が、これにも問題があり、この話が出てくること自体もかなり唐突だし、そもそもオタコンが罪を背負っているという設定もその話の終わりにいきなり教えてくれるうえ、説明も薄いので共感などできるはずもなく。妹であるエマの死はかなり悲しいシーンに仕上がっているのだが、そもそもプレイヤーは置いてきぼりなので冷めた目でしか見れない。

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ソリダスはそもそも存在意義が危うかったのではないか

 そして、ラスボスであるソリダスの口から語られる「自由や権利がデジタルの情報統制によって迫害される」というものも、本作に山ほどあるテーマのひとつだろう。

 実際に情報が操作されるということは現実社会でもあり得ることなので、おそらくこの話は社会問題といえるものだ。ただし、これも最後に詰め込まれているだけなので、効果のほどはお察しである。

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この無線で不快になって本作を嫌う人も多そうだ

 更に、真の黒幕である『愛国者達』は、雷電を通して「お前はゲームの駒だ」とプレイヤーに言ってくるのだ。つまり、「てめえが持ってる自由意志は、それっぽいものだけで自由でもなんでもないんだよ糞野郎」というテーマも存在するのである。

 これは『BIOSHOCK』を彷彿とさせる話なのだが、やはり尺が足りておらず、ひたすらに無線で罵倒されているだけだろう。矢継ぎ早にこんな話をされたって、わかるわけがない。

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いきなり雷電の隣にワープしてくるスネーク

 そして、結局はスネークがなんだか良さげなことを言って、どんな役割を与えられようとも、自分で感じたことや思ったことを後世に伝えることが、自分の道を歩む(自由であるという)ことなのだという風にまとめてくれる。

 つまり、本作の副題が「サンズ・オブ・リバティ(自由の息子たち)」であるように、オタコンの恋愛話も、ソリダスの自由を掴みとる戦いも、『愛国者達』の説教とスネークの慰めも、すべて自由に関する話なのだろう。こう考えてみれば主題が一貫しているように取れるわけだが、これはかなり好意的な解釈だ。実際は「よくわからない」で済む話だし、そもそもきちんと語れていないので、テーマの存在意義が危うい。

 ただし、話の主題がわからなくともこの作品を褒められないわけではない。というのも本作、何を言っているのかはよくわからないのだが、“なんだかすごいことを言っているような気がする演出”に関しては一流なのだ。

 なので、実はこのシリーズ、「なんだか深いようなことを言ってはいるらしいが、別にそれはなんとなくで雰囲気だけ味わっていればよく、実質は単純明快なアクション」として受け入れられているのではないかと思えてしまう。それくらいに突飛で複雑な気持ちになるエンディングであった。

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