銃を撃つということは、支配する快感を得るということだ 『コールオブファレス:ガンスリンガー』

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珍しく西部劇のゲームを遊ぶ

 西部劇など『許されざる者』くらいしか見たことがないのだが、それでもあの世界の魅力をほんの少しは知っていると思っている。銃を撃つということは相手の命を奪うことであり、つまるところ支配だ。力があれば相手を支配できる。それを描くのが西部劇における魅力のひとつなのだろう。

 現代でも銃は溢れているようだが、法整備がきちんとしすぎている。銃を撃ったところで、檻に入れられる(より強大な社会に負ける)のがオチだ。治安が悪く、個人がお互い銃によって殺し合った西部開拓時代だからこそ、支配が際立って見える。そして、支配をより印象強くするため、お互いに正面を向き合って撃つなどという決闘をするのではないか。

 そして、Xbox LIVE Arcadeの『コールオブファレス:ガンスリンガー』(『Call of Juarez Gunslinger』)もその銃撃による支配を描いている作品だ。「コールオブファレス」シリーズは、いやそもそも西部劇のゲームをほとんど遊ばないのだが、相手を撃ち殺して支配する快感は、理解できた。

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『コールオブファレス:ガンスリンガー』タイトル画面
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はっきりいって、ゲームシステムには問題がありすぎるか

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うさんくさいバウンティ・ハンターの語りがすべてである

 物語は、酒場へやってきたサイラス・グリーヴスの口から語られる。賞金稼ぎである彼は実にさまざまな経験をしたと、今までの武勇伝を語り始めた。しかしながら、年寄りの思い出話などアテにならないものであって……。

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西部劇のはずだが、現代FPSをやっているような気分にもなる

 このFPS(一人称視点シューティング)の特徴は、思い出話がゲームプレイに影響を与えるということだろうか。サイラスがハシゴの存在を思い出せばハシゴが出てくるし、空から敵が降ってきたなどというウソとしか思えない話でも、信じられないほど出てくる敵をサイラスがひとりで倒したとしても、話の中では現実だ。

 しかしながら、西部劇にあまり興味のない僕にとって、この語りは退屈であった。時代背景もあり、武器はリボルバーやライフル、ショットガンにガドリングガン程度しかなく、シューターとしては割と平凡である。経験値を稼いだりコンボのシステムはあるものの、やはり添え物程度でしかないのではないか。

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有名人の登場時にはキマったカットインが入る

 また、昔話には実在のアウトローが何人も出てくるようで、これが酒場の若者を引き付ける要素になるようだ。もっとも、逆に登場人物が豪華すぎてうさんくさいようにも見えるようだが。

 これも、個人的にはかなりきつかった。アウトローたちの実名を出されても西部劇を知らないし、収集品によって史実を読めるものの本編にはあまり関係ないし、そもそも何も知らない人にはかなり読みづらい文章で参ったものだ。言うまでもないが、このあたりは既に知っている人向けなのだろう。

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西部劇といえばこうなのだろうが、ゲームとしては……

 そして、このシリーズにおいて重要な要素である決闘もかなりキツかった。西部劇といえば決闘なのでこれは間違いないのだろうが、相手にフォーカスを合わせて早撃ちをするだけというのは、何度もやりたくなるものではないのに、何度もやるハメになる。

 しかしながら、この決闘がとても大切なことはわかる。前述のように、相手を支配するという行為を際立たせるには、背後から撃つのではなく正面から撃つ必要がある。山ほど出てくるマトのようなテキを撃ち殺すことは、どうでもいい。そして、相手より後に銃を抜いて勝つというのも、相手より強く正当に防衛したということの証明なわけで、力による支配をより明確にさせるのだ。

せめて溜めにもう少し工夫があればと思わざるをえない

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サイラスの話がウソだったかなんて、本当はどうでもいいのである

 なぜサイラスが賞金稼ぎをしているのかといえば、それは復讐をするためである。そして、なぜ復讐のために銃を抜くのかといえば、それは銃による支配を正当化するためだ。彼は殺人鬼などではなく(話の中ではアウトローより殺していたが)、復讐という心地よくもある支配を見せてくれる語り手なのだ。

 ただし、サイラスが自分の過去を美化して語るせいか、もしくは周りが武勇伝を聞きたがるせいか、この話にはあまり憂いというものが感じられない。理由はどうあれ人を殺して生きてきた以上、彼にも後悔はある。それがもっと掘り下げられていれば、彼の物語により彩りを与えるはずなのだが……。

 ともあれ、本当か嘘かわからなくて退屈な話も、もはや飽きた決闘も、すべては復讐という支配のためにある長すぎる溜めなのである。“相手を倒して自分が優位に立つ”という生物にとって否定できない快感と、ほんの少しの後悔が、『コールオブファレス:ガンスリンガー』にはある。


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コールオブファレス:ガンスリンガー ¥1,500 Xbox.com詳細ページ
デベロッパー:Techland ジャンル:シューティング 2013/05/22

 「コールオブファレス」シリーズの西部劇FPS。
 賞金稼ぎであるサイラス・グリーヴスのうろ覚えな昔話を体験していく。
 アーケードライクな作りになってはいるが、やはりシングルプレイの物語がウリか。

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