水恐怖症なんかより「制作チームが途中で投げ出したゲーム恐怖症」になりそうな『Hydrophobia』

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Xbox LIVEセール常連の、水にこだわったゲームを遊ぶ

 「水恐怖症」という題を付けられたゲームを遊んだのだが、その作品はあからさまに完成していないのに強引に終わらせてあり、その薄情さにおののいた。水よりも人の心が恐ろしい。

 ……もっとも、開発会社にはなんらかの理由があったのだろうが、さておきXbox LIVE Arcadeで配信されている『Hydrophobia』はそんな作品である。迫り来る水の恐怖を描いた3Dアクション・アドベンチャーなのだが、思い切り投げ出されているのだ。

 そのことがわかっているからか、本作はものすごい安値で何度も投げ売りセールが行われているようだ。僕もそのことを半ば知りつつ安く買ったわけなので、あれこれ言うのは悪いと思いつつも、しかしながらあまりにもひどい終わりに唖然とした。

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主人公のケイトが、迫り来る水やテロリストと戦うアドベンチャーである

 そういえば、本作を真っ当に眺めると、水の表現にかなり力を注いだ作品のようだ。「HydroEngine」なるものまで作り表現した水は確かにこだわりを感じるが、『ねずみくす』における毛のふさふさ感と似たようなものであった。
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システムエンジニアがクライミングや銃を駆使してテロリストと戦う!

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はっきりいってモブ顔の彼女が主人公のケイト

 さて、舞台は大型船でありながら海上都市でもあるクイーン オブ ザ ワールド号だ。現在、そこでは10周年式典が盛り上がりを見せており、システムエンジニアであるケイトは家でそれを遠巻きに眺めているつもりだった。

 しかし、突如システムに問題が発生してしまう。何事かと覚えば、それはネオ マルサシアン(新マルサス主義者)によるテロだったのだ。更に船は沈没の危機に陥りはじめ、この緊急事態に対し、システムの開発者であるのにクライミングが得意で銃も撃てるケイトが立ち上がるのであった。

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タブレット端末はハッキングやマップ閲覧もできるうえ、テロリストの描いた秘密の文字まで読める

 主人公であるケイトはシステムエンジニアであるように、技術を駆使して船の奥深くを進んでいく。テロリストはなんらかの目的があるらしく、それを探りつつ技術で連中を追い払おうというわけだ。

 そのため、ゲームプレイの基本は船内のあちこちを巡りハッキングをし、時にクライミング能力で高いところによじ登り、またセキュリティを解放してまたハッキングをするという繰り返しになる。メンテナンス・エリアを行き来するせいかどこがどこだかわかりにくいが、上司であるスクートが指示してくれるし、タブレット端末による補助情報を見れば問題はないだろう。

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基本的に武器の威力が低いので、オブジェクトを駆使して戦う必要がある

 また、道中ではもちろんテロリストに遭遇する。その際は、拾った「LP4」という特殊な銃を用い、さまざまな効果のある弾や、オブジェクトを駆使して連中を倒していくわけだ。

 たとえば、ドラム缶や配電盤を撃てば爆発や感電を引き起こすし、それらのオブジェクトを遅れて発動させる弾があったりする。が、デフォルトのソニック弾以外は大して役に立たないだろう。ちなみに、ステルス・アクション的な要素もなくはないのだが、本当に「なくはない」程度しかない。

そして恐怖の「つづく」

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終わり際にいきなり再登場したビリンガム主任は、誤訳のせいか完全に意味不明なことを言うので更に笑える

 ……以上のように、概要だけを見ると体裁は整っているのだ。しかしながら、黒幕がミラ(おそらくケイトの知り合い)であるとわかり、これからスクートを助けにいかねば! という序盤が終わったと思うような場面でゲームは唐突に終わる。唖然とするしかない。

 “おそらくこれから盛り上がりがあるのだろう”というのは、物語だけではない。ゲームプレイのほうも中途半端で、どの要素も貧弱だし、無意味にリスキルされる無茶苦茶な状態にもなるし、そもそも水の恐怖がまったく描かれていないのだ。なんだこれは。いや、わからなくもない。パッケージ向けに制作していた作品が完成しないから、強引にキリをつけてXbox LIVE Arcadeで売ったのではないか。

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水を操っても、やることはオブジェクトを利用して敵を倒すだけではある

 それを証明するかのように、クリア後に出現するチャレンジモードでは、なんとケイトが水を操って敵を倒すのだ! 本編ではまったく出てこないこの要素、もし本編に出ていたとすればきっと評価は……、いや、出すつもりだったのだろう。だがそれができないから、こうしてまとめざるを得なかったのだ。

 そして、開発を手がけたDark Energy Digitalは既に閉鎖しており、ここに残っているのは中途半端な状態で無理やり完成品にされてしまったゲームである。こわい。未完成なのに完成品ヅラしているゲームがこわい。


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Hydrophobia ¥500 Xbox.com詳細ページ
デベロッパー:Dark Energy Digital, Ltd. ジャンル:アクション & アドベンチャー, シューティング 2010/09/29

 水の表現にこだわった3Dアクション・アドベンチャー。
 しかしながら、明らかに途中で投げ出されたゲームである。
 そもそもゲームのアイデアとして、水が扱いにくかったのではと思えてしまう。

コメント

海外レビューの低評価に、開発のプロデューサーだかが怒って
「お前らの遊び方が悪い!何もわかってない!」
とか言ってのけた騒動があったような気がします、このゲーム

あら、そんな楽しそうな話があったのですね。それは見てみたいです。
まァ、売れたら続きを作るという形だったらしいので、低評価をつけられたら仕事もなくなるわけで、怒るのも無理ないですね。
http://www.choke-point.com/?p=6455
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