「Xbox LIVE インディーズゲーム 配信作品3000本突破記念 5年間、3000本の歴史を振り返る」 第一部 “Xbox LIVE コミュニティーゲーム”のはじまり

Xbox LIVE インディーズゲーム、3000本の歴史をまずはふたりで振り返る


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 Xbox360で、クリエイターが好きなゲームを配信できる仕組み「Xbox LIVE インディーズゲーム」(以下、XBLIG)も始まってからはや5年。プロ・アマ問わずさまざまな制作者がいくつもの作品を配信しており、なんとXBLIGで配信されている作品は(国内のみでも)3000本を越えたのであった。

 しかしながら、既に人々の興味は次世代機へ移っており、このXBLIGも次第に終わりへと近づいていっている。そのため今回は、SSDMと模範的工作員同志が3000本の歴史を振り返る対談を、二部構成で行うこととなった。

 第一部(1~3)はふたりで、第二部(4~5)はXBLIGで作品を配信したデベロッパであるプチデポットの皆さんをお招きして話をしていく。

SSDM模範的工作員同志
 「毎日ムキムキ」などの記事を書いている。Xbox Live インディーズゲームのデモ版をひと通り(3000本以上)遊んでみたり、その中から気に入ったゲームを取り上げたりしている。4流ゲームライターでもある。 ニコニコ生放送で、「世間一般に低評価と言われているゲームを再評価しよう」という放送を行なっている。(コミュニティ:低評価ゲームの魅力を検証しよう!) CD-iの『Hotel Mario』からソーシャルゲーム『ほんとうにあった怖い話』まで、執念を持って低評価ゲームを追い求める。

SSDMさて、そんなわけでXBLIG3000本の歴史を振り返る対談を始めようと思います。
工作員非常におめでたいですね。まさか3000本の企画をやることになるとは、思ってもみなかったですから。
SSDMかなり長い期間でしたからね。そもそもXBLIGが始まったのは2008年11月ですから、5年ですね。あ、今すごい面白い話を思いつきましたよ。“XBLIGを5年も追いかけている男がいる”という話です。
工作員それはホラーですかね。
SSDMあはは! いや本当に怖いです。さておき、今回はXBLIGの歴史についてなのですが、今回は簡単な年表のようなものを作成しましたのが、でかすぎるので、これを場面ごとに分けてお見せしようと思います。

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なお、この画像はクリックして左上のボタン押すと拡大できるようになっている
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最初期のXbox LIVE コミュニティーゲームで流行した作品は……?

SSDMさておき、今回はXBLIGの歴史についてなのですが、まずは始まる前の話をいくつかしましょう。今回は、「ボンクラ360魂」というブログを運営している大沢与一さんから、開始前と最初期についての様子を聞かせていただきました。
工作員まさしくXBLIGの生き証人とでも言うべき方で、詳しいですよね。
SSDMそもそもXBLIGは「Xbox LIVE コミュニティーゲーム」(以下、XBLCG)という名前で立ち上げられたのです。そして、XBLCGが始まる前、2008年の春ごろに、いくつかの作品がまとまって入っていたデモが配信されており、与一さんはそれを遊ばれたと。
工作員ものすごいですね。本当に最初から見ていらっしゃったんですから。
SSDMその中にはXNAのコンテストをくぐり抜けてきた作品もあったということで、与一さんは「PC系インディーズゲームにも似た、ちょっと個性的でアーティスティックな作品が多かったように記憶」しているとのことでした。
工作員ほー、面白いですね。もともとマイクロソフトがXNAという開発環境を広めたかったわけで、最初から意欲的なディベロッパーさんが多かったということは、XBLIGの成り立ちに繋がっているわけですよね。
SSDMしかし、「この段階では、革新的な潮流が色々と芽生えてきそうな期待もあったコミュニティーゲーム」で・し・た・が! と与一さんは仰っているわけですよね。僕もそう言いたいです。ともあれ、2008年11月にXBLCGのサービスが開始されました。では、年表を見ていきましょう。

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工作員はい、アメリカ市場のタイトル例としては、『sin(Surfing)』や『Aaron's Ping-Pong』がありました。
   『sin(Surfing)』はシンプルにサーフィンをするだけのゲームなのですが、これは与一さんの言うとおりアーティスティックなゲームとも言えて、注目されていた作品でしたね。そして、『Aaron's Ping-Pong』は、100%『ポン』ですね。
SSDMええと、一応説明しておきますと、『ポン』というのは左右にある二本の棒と一個のボールで卓球をするというゲームで、極めてシンプルかつ古く、商業ビデオゲームの始祖と言われているような作品なわけですよね。で、それのまるパクりです。
工作員これがまさか伏線になるとは、誰も思ってもいませんでしたね。

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『Aaron's Ping-Pong』ゲーム画面

SSDM実は与一さんも、良い作品がありつつも既存作品をトレースしたものがあるのを気にしたそうです。中でも、セガの『モナコGP』を真似ただけの『Monaco 360』という作品があり、それを遊んだ時にはモニターの前で凍りついたそうで。
工作員『モナコGP』ファンの人にはぜひやって欲しいゲームですね。なぜなら、『モナコGP』そのままだからです。
SSDM高評価間違いなしですね(笑) ほかにはATARIの『ミサイルコマンド』系のような、北米のビデオゲームにおける歴史をなぞるような作品も多かったわけです。
工作員最初期だけの話ではありますが、ATARIのハードみたいな環境ではありましたよね。『ルナランダー』しかり。
SSDMコミュニティーゲームが始まったと思ったらATARIゲームだったみたいな。まァ、良い作品もあったものの、困るとしか言いようのない作品もあったことは間違いないわけです。
工作員あと、最初期はとりあえず出してみようという人が多かったのでしょう。
SSDMまだ最初ですからね。たとえば、このあと何か流れを決定づけるゲームが出たら、それに沿って歴史が大きく変わるかもしれませんし。
工作員そして次が、XBLIGの色を作ったターニングポイント、『Rumble Massage』! このゲームのおかげで、SSDMさんの人生の0.05%がマッサージ・ゲームに専有されるようになりましたね。

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『Rumble Massage』ゲーム画面

SSDMそうですね……。そもそもこのゲームが何かといいますと、説明するのがバカバカしいのですが、とにかくしましょう。「ランブル」というのは「震え」ですよね。「マッサージ」はそのままですよね。そして、コントローラーの絵が描いてあり、Xbox360のコントローラーは振動機能が付いていると。一休さんもびっくりなトンチですよね。
  とにかく、コントローラーでマッサージをするための作品なわけです。とはいえゲームのコントローラーなので、こう肩に当てても高が知れているわけですよ。そして、その振動を変わったふうに使った人がいたわけです。それは僕の口から言えないので、工作員さんお願いします。
工作員これはもう、震えるものがあったらみたいな……、いやちょっとホントもうやめてくださいよ! お互いにおとしめようとするのやめましょう!
SSDMごめんなさい(笑) 要は、アダムとイヴが知恵のりんごを食べてしまったようなもので、震えるコントローラーを股間に当ててしまった人がいたわけですね。もともとそういう用途のために作られたかは知りませんが、ポルノ女優の方が宣伝したりしたおかげで、本作は500万円以上の売り上げを記録したということになったのです。
工作員この作品が売れた時、「こんな質素なアイデアでも売り上げが出せるんだ!」という衝撃があったようで、配信作品数が増えた印象がありますね。
SSDMそして、マッサージソフトが売れ、開発者の方々がやる気を出し、どういった作品が作られるようになったのか。
工作員マッサージソフトなんですね。
SSDMすごいね(苦笑) もっとあとの話になるのですが、Xbox360のアバターが使えるようになったあとは「アバターのマッサージソフト」だとか、あとはオンラインでできるものなどがいくつも出ました。そして、XBLCGに一発ギャグやエロにかこつけたものや画集のような作品を、つまり“かなりテキトウに作って儲ける”という思想を確実に植えつけてしまったわけです。
工作員これはまさに、このゲームが責任者です。
SSDMとはいえ、この作品にかぎらずエロというのはどこでも売れるわけで、エロに関してはこの作品だけが問題ではないかもしれません。たとえば、幻のエロ・ブロック崩しである『Break One Out』という、日本では与一さんくらいしか遊べていないであろう作品もあったわけですし。
工作員現在の市場を見てもフリーダムな印象を受けると思いますが、初期はもっと自由だったということは念頭においてもらいたいですね。

名前を変え、ついに日本でもサービスが開始される

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SSDMそして2009年7月、名称がXbox LIVE Indie Gamesになりました。その翌月、日本でもXbox LIVE インディーズゲームが開始されたというわけです。いくつか紹介をお願いします。
工作員まず、『麻雀 三六荘』という、出来のよい麻雀ゲームです。続いては『MADRISM』ですね。これは間取りを作っていく独創的なパズルゲームです。こういう好きなものを出せる夢のような市場なわけですね。
SSDMもちろん、夢には悪夢もあるわけで、そういう作品もあるのです。
工作員なんで紹介のハードルを上げるんですか! ええと、『継長忍鋼伝』は初期のXBLIGを代表する低評価ゲームです。ジャンルはニンジャ・アクションですね。一周回って人に愛されるゲームでした。
SSDMええと、それは、うん。さておき、当時はマイクロソフトが「アクションゲームツクールで簡単にXBLIG向けゲームが作れる!」と日本で売り込んでいたわけで、これもその作品ですね。これ以外にも何本か、アクションゲームツクールで制作された作品が配信されました。

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同じくアクションゲームツクール制の『コロンでジャンプ』ゲーム画面

SSDMやはり日本でも、既存のゲームから人気を借りたものや、よそにはない奇抜な作品もあれば、困った作品もあったりと、このあたりはアメリカの初期と同じ流れなのではないかと思います。そして、ここから日本独自の流れができればよかったのですが、そもそもXbox360は日本では売れていないわけでして。
工作員Xbox360というゲーム機で出したいというロマンを求める人は残ってくれましたけれども。
SSDMとにかく、日本マイクロソフトが頑張ってはくれたけれども、大きく実りがあったというわけではありませんでした。

XBLIGの流行作品として人気を得たのは、アバターと全方位シューティング(そしてゾンビ)

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SSDMとなると、やはりメジャーであろう北米あたりで人気のある作品が市場を作るわけです。その例として挙げられるのが『I MAED A GAM3 W1TH Z0MB1ES!!!1』のような作品になります。
工作員まずゾンビ。そして、その迫り来るゾンビを倒しまくる全方位シューティング。どちらも今後のXBLIGの特徴を表すような作品ですね。
SSDMこのゲームは作品の質も良いのですが、既存の人気ジャンルであるということも大きいですね。ゾンビは映画でもゲームでも人気ですし、全方位シューティングは昔から人気があり、しかもXbox LIVE アーケード(以下、XBLA)で『Geometry Wars Evolved2』あたりが人気を博していましたからねえ。
   しかも、価格も安かったです(この作品は約1ドル ≒ 100円ちょっと ≒ 80マイクロソフトポイント)。XBLCGの時は240マイクロソフトポイント(以下、MSP),400MSP,800MSPという価格帯でしたが、日本でのサービス開始あたりから80MSP,240MSP,400MSPに設定できるようになり、2009年10月からその値段が正式になりましたので。

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『I MAED A GAM3 W1TH Z0MB1ES!!!1』ゲーム画面

工作員XBLAでツインスティック・シューティングを買うと割高感があったので、あまりお金を使わず空いた時間に遊ぶという需要にうまくはまったゲームでしたね。
SSDMそして、この作品がヒットしたので流れを後にずっと引きずることになって、とにかく、「ゾンビが出てくる全方位シューティング」ってめちゃくちゃ数があるんですよ。それこそ頭が痛くなるくらいに。そのうち、敵がゾンビに見えないのにゾンビだと言いはっている低品質な作品なんかも出てしまうわけです。パチってきて、うまく流行ったものを最後まで引きずるというのはこのジャンルも同じです。
工作員SSDMさん、「パチってきて」という表現はちょっと、その、丸くお願いします。
SSDMええと、たいへんな人気を真似て御盗作を致しまして……。
工作員そういうことじゃなくて!
SSDMともあれ、2009年10月から正式に、配信される作品の価格が80MSP,240MSP,400MSP(約100円から600円の程度)になりました。これは良くも悪くもという感じでしょうか。
工作員まあ、買う側としてはありがたかったですが、開発する側としては作れる作品の幅が狭くなったでしょうね。
SSDMとはいえ、800MSPというとXBLAの価格とかぶってしまいますし、その規模のタイトルはあまり多くなかったようです。そしてXBLAは1200MSPで売るような大きめのタイトルが増え、逆にXBLIGは80MSPで買える小規模なタイトルが増えていきました。
工作員最終的には80MSPのゲームがほとんどになったようなイメージがありますね。それまでのマッサージやツインスティック・シューティングの流れを補強するように、軽く遊べて安く済むようなゲームがどんどん増えていきました。
SSDMとなると、そういったゲームが好きな層が好むようなカジュアル作品を出す必要があるわけで、それがXbox360のアバター対応ゲームなわけです。このあたりでXBLIGのゲームにアバターが使えるようになり、アバター・ブームが到来したわけですね。そしてそれは今も引きずっているわけですが、引きずりを話すのも三度目ですね。ああ、三度目ですね。
工作員いやいや、それだけウケがいいんですよ! たとえば、『Avatar Avenue』は……、そもそもゲームではないのですけれども、「アバターが広い道を歩いているのを見る」というスクリーンセイバー的な作品です。
SSDMそう! 当時はスクリーンセイバーみたいなのも多かった!
工作員なんなんでしょうね。壁紙とか元素表とか、ビールが泡立っているだとか。これを買うのはいいですけれども、Xbox360を起動させっぱなしにする人はどれほどいるのかと、今更ですけれども聞きたいですね。
SSDMそういった作品はやはり流行りませんでしたが、『Avatar Paintball』は人気がありました。これは、アバターがお互いにペイント・ガンを撃ちあうオンライン対戦TPS(三人称視点シューティング)です。やはり銃の国は銃を撃つのが好きで、しかもアバター! カジュアル! とどめに80ゲイツ(MSP)! これがだいぶ売れたわけですが、となるとやはりこういうカジュアル向けのシューターがさんざん出たわけです。というか、最近も出ました。

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『Avatar Paintball』ゲーム画面

工作員今だから言えますが、XBLIGをやっているということが全方位シューティングやアバターのゲームをやっているということと、ほとんど同義だと思われてしまうような状況だったわけです。
SSDMそうですね。XBLIGを嗜んでいるというと、「股間にコントローラーを当ててマッサージをしています」と言っているようなものなわけですね。
工作員そういうゲームをSSDMさんはだいたい3000本ほど触っていらっしゃると。
SSDMやめろよ! やめてください!
工作員あはは! まあ、アバターは開発者さんが使いやすいというのもありましたし、人気もありましたしね。当時からすれば、まだ目新しくて需要に沿った作品であったということは言っておいたほうがいいと思います。
SSDMそうですね。ただ、その喜びは長く続かないのであった……、というわけではないですが、一方で最初期ゆえの死ぬほどメチャクチャな作品もあったわけです。たとえば『Colaris』は、画面が原色の赤・青・黄に光るので、それに対応したボタンを押しているうちに気分が悪くなって死ぬというゲームですね。
工作員あの、いろいろと反論したいのですが、本当に終わりがないので、死ぬまでやれるゲームというのは本当ですね。XBLIGでは思いつきに歯止めが効いていない作品が多く、それが良くも悪くも作品として出てしまいます。『Block Fight!!』もそういう作品で、えーとこれは、ひとりで赤と黒のブロックをくっつけて黙々とスコアを増やし続けるというものなのですが……。完璧に説明はできているのだけれども、これ理解できるのかな?

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『Colaris』ゲーム画面(左)、『Block Fight!!』ゲーム画面(右)

SSDMしかもスティックを押し込むとスコアが減ったりしますからね。言葉の意味は理解できても文章の意味は理解できない典型例です。
工作員実は、僕がXBLIGをはじめたのはこの『Block Fight!!』が切欠なんですよ。
SSDMこういう人なんですよ。
工作員ちょっと待ってくださいよ!
SSDMとにかく、そういうクレイジーが溢れたゲームもあったわけですよね。やはり、ヒット作もある一方で、とりあえず作っただけのものも多かったというわけです。

○ 「Xbox LIVE インディーズゲーム 配信作品3000本突破記念 5年間、3000本の歴史を振り返る」 第一部 何が求められているのかを模索し、導かれた答えは……
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