「Xbox LIVE インディーズゲーム 配信作品3000本突破記念 5年間、3000本の歴史を振り返る」 第一部 そして歴史は繰り返す

終わり際になると、あらゆる意味で安定した人ばかりが残る


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SSDMそして2012年に入ると、XBLIGの人気自体も落ち着いたのか、配信ペースが落ちます。もはや一発ネタも思いつきもやり尽くし、定番もわかってきたわけでしょうね。
工作員昔に一発ネタをやってくれたディベロッパーさんというのは、たいてい一度だけ出して終わりなんですよね。なので、ここからは定期的に作品を配信していらっしゃる方が多いです。
SSDMその中のひとつが『One Million Taps』ですね。工作員さんはこれをクリアして周囲の人を驚かせたばかりか、開発者に「えっ! クリアしたらどうなるのか教えて!」と言わしめたほどですからね。
工作員本当、あれは帰りの電車の中でメールを読んで涙が出てきましたね……。で、『One Million Taps』は“みんなが大好きなAボタンを100万回押すだけ”という面白くないわけがないゲームですね。本作の制作者であるクレイ・シュバイナーさんは、年表の最初にある『Colaris』のようなアクの強い作品を作っていらっしゃる方で……。
SSDMというか、アクをすくってゲームにしてるみたいなね! あと、意外とマーケティングを重視する方で、『How To Get Girls』という作品でヒットを飛ばしていたりもするのだから驚きです。
工作員そんなクレイさんと同じく長く配信を続けていらっしゃる方がいらして、それが『Ninjas and Priestess』などでお馴染みチーム・シュリケンさんですね。

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『Ninjas and Priestess』ゲーム画面

SSDM工作員さんはチーム・シュリケンさんのデビュー作品『TOKYO 2029 A.D.』が好きですよね。多関節アニメが売り(?)の奇妙な格闘ゲームで、かなり破天荒な意欲作なのですが、次作以降はだんだんと簡単なアドベンチャー・ゲームに移行していくわけです。そして、そこに露出の多い女の子が出たら人気が出るのではという、スケベ心が出てしまったわけですね。
工作員まさにスケベ心すぎてなんとも言えません。それが売れて、その後は数年間ずっとエロがふんだんに散りばめられたゲームを配信されたわけですね。その何作目かで、最初の格闘ゲームで主人公格だったキャラが雑魚キャラとして使いまわされていて、「XBLIGという市場はこういうことなんだな」と思いましたね。
SSDM2009年のコントローラー・マッサージャーによるエロの振動が、2012年まで届いているわけですね。
工作員それ、すごくいい言葉じゃないですか!(笑)
SSDMそうなんですか!? まァとにかく、こういう状況になったのも仕方なくて、このころになるとXBLIGでは特にオリジナル作品が売れないということがわかってきました。そのため、デベロッパによってはPC向け(特にSteam)で配信するようになったり、それこそスマートフォンに行ったりしたわけです。
工作員個人の見解ですが、このころになると、もうボタンを押すだけのゲームなんかはあまり出なくなりましたよね。開発体制を整えていらっしゃる方も、勉強がてらに開発してみた方も、いなくなってしまったのでしょう。
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XBLIGが落ち着いた状況になっても、すべてはデベロッパ次第

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SSDMそうなると絶望が深くなりそうで・す・が! 2012年9月に『メゾン・ド・魔王』という、プチデポットによる素晴らしい国産ゲームが登場するわけです。このゲームは、モンスターの住むアパートの経営をしつつ、住人たちの力を借りて攻めてくる人間を退治するというゲームです。かわいい見た目なのにトゲのあるテキストもとても面白いですね。
工作員当時、本当にXBLIGで出すタイトルなのかという話をしたことを思い出しますね。

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『メゾン・ド・魔王』ゲーム画面

SSDM制作される方が明確な意思を持っていれば、ゾンビでもなく、アバターでもなく、全方位シューティングでもなく、とても良いオリジナル作品が出るわけですよ。
  もっとも、こういったオリジナル作品がものすごい大人気になりえないのも事実であって、やはり『Shark Attack Deathmatch』みたいな作品が人気を集めるわけです。
工作員いや、それも面白いですよ、実際!
SSDMええ、悪いゲームでないのは確かですね。『Shark Attack Deathmatch』はサメのいる海で対戦するオンライン対戦FPS(一人称視点シューティング)なのですが、年表の最初で話した「アバター系FPS・TPS」の変化形なわけです。ところで、本作の開発元であるLighthouse Games Studioは、次にまたカジュアル向け対戦FPSを出しますが、それは何が題材か皆さんわかりますか?
工作員わからないなあ~、なんだろうなあ~。教えてください。
SSDM正解は、アバターが出ます。
工作員んもー。茶番をやらせないでくださいよ!
SSDMうはは。このゲーム、人気がなかったわけではないのですが、この後にまたアバター対戦FPSを出しています。更に、ほかのデベロッパさん、特にDigitalDNA Games(年表の『Avatar Paintball』や『Castle Miner Z』などを制作したところ)も長い間、いくつもアバター系FPSを制作されています。こういった“XBLIGで人気の手堅い作品を作り、宣伝に力を入れて、売り上げを伸ばしている”というデベロッパも定着したわけですね。
工作員機を逃さずに、ほかを押しのけて、定番になっていくわけですよね。
SSDMそういうデベロッパはほかにもいて、『White Noise Online』を制作されたMilkstone Studiosもそうですね。このゲームは、バケモノから逃げることしかできないオンライン・ホラー・ゲームなのですが、まァ、よそのパクりなんですよ。

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『White Noise Online』ゲーム画面

工作員……今日、SSDMさんのお言葉がたいへんに荒れてらっしゃいます。とにかく、XBLAなんかで売っているような作品を安価にして、それに魅力を感じるユーザーを狙っているという展開なわけですね。
SSDMMilkstone StudiosはPCやスマホで有名なタイトルをXBLIG向けにしているので、たまに共通認識が得られず思い切り外すこともあるのですが、80MSPなりの高品質を狙っています。
工作員『White Noise Online』は、本当に80MSPにしては出来が本当にいいですよ。80MSP分の恐怖は保証されてますからね。「ちょっとした時間つぶしに大作ゲームの雰囲気を味わいたい」という需要にぴったりですよ。
SSDM5分で飽きますけどね。まァ、Xbox360は海の向こうのカジュアル層に売れているらしいので、そこ狙いでしょう。なので、一口にインディーといっても、収益を得るために作っている人もいれば、自分たちのこだわりを表現するために作る人もおり、100万回ボタンを押すだけとかいうケツの穴に指を突っ込むようなゲームを作る人もいるわけですよ!
工作員(苦笑) あのー、なんかもうね、今日はもうね、自由な表現でね、やっていただいてね。でも実際そうですね。ひとつに切り分けられない市場なのは確かです。

まさかの「それポン」オチ

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SSDMそして、2013年8月から現地通貨制度に移行し、100円・300円・500円という区分になりました。まさしく、ワンコイン市場になったわけですね。シルバー・ダラー、つまり1ドルの表現がより的確になったと。
工作員やっぱり、シルバー・ダラー・ゲームスさん(「なんでこれを買ったんだ!」のところ)のやっていたことが正しかったと、3000本を見てわかりますね。
SSDM絶対に正しくないですよ! もう! ……そんな紆余曲折がありつつ、2013年10月15日に国内での配信本数が3000本を超えたわけです。
工作員たいへんおめでたいことですね。
SSDMしかし、意図的にひとつだけ避けた作品がありますが、これが締めですね。
工作員2013年9月30日、『Invisipong』が配信されました。

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『Invisipong』ゲーム画面

SSDMへえ~、『Invisipong』? どういうゲームなの~?
工作員なんとだね、このゲームはね、パドルを動かして玉をはじいて4人でピン『ポン』をするってゲームなんだ! あれっ、デジャヴかな?
SSDMええと、年表の一番最初を見ていただければわかると思うのですが、XBLIGには最初から『ポン』を完全に真似した作品がありました。そして年表には載せていないのですが、この5年間にいくつもいくつもいくつも『ポン』のクローンや、『ポン』の亜種として出た作品のクローン、あるいはそれの内容を1ミリくらいだけ変えた作品が出ている、わけ、ですよ、ね!
工作員「いくつも」というのがほかのゲームの比ではないくらいに出ていて、そのうえ、ずっと継続的に出続けているのですよね。
SSDM最初に説明したように、『ポン』は商業ビデオゲームの始祖と言われる偉大なゲームなわけです。でも、僕は思うんですよ。5年も経ったらいい加減に『ポン』から卒業してもいいんじゃないかって。
工作員いやいや……。来るべきところに戻ってきたというべきでしょうかね。そう思いましょうよ!
SSDMそんなわけで、Xbox LIVE インディーズゲーム、「それは『ポン』から始まった」であり、「それは『ポン』で終わるかもしれない」という形で、3000本の簡単な歴史紹介を終えましょう。

第二部、開発者から見たXBLIGに続く

 さて、これでXbox LIVE インディーズゲームにおける3000本の歴史を振り返る対談、第一部は終わりである。われわれの見てきた範囲で拾ったため、多少の偏りはあるかもしれないが、おおまかな要素は拾えていることだろう。

 XBLIGは初期の混乱を越え、次第に品質の高い作品も出始めたが、結局のところはカジュアルで安価なゲームを売り、一方で奇妙な作品を制作する人も少し残るという市場になっていった。つまり、確実に採算の取れる作品を生み出すデベロッパか、なんらかのこだわりで制作を続けるデベロッパが残っていったわけだ。

 安定した存在が残るというのは当たり前のことであるが、しかしこの場が一応はインディーであることを考えると、妙に見えるかもしれない。たとえ今までにない作品を作るようなデベロッパであれ、長く続けるには安定感が必要になるということなのだから。

 続いては、第二部として「開発側から見たXBLIG」について対談を行う。今回お招きしたのは、『メゾン・ド・魔王』を制作されたプチデポットの皆さんである。XBLIGから始まり、いくつかの場所で同じゲームを配信した彼らは、はたしてこの場所をどう見ていたのか。

○ 「Xbox LIVE インディーズゲーム 配信作品3000本突破記念 5年間、3000本の歴史を振り返る」 第二部 XBLIGの良し悪しは、ピアレビューの良し悪しか
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