神が何を考えているのかなど、人間が考えても無駄なことかもしれない 『From Dust』

bbox_FromDust.jpg

プレイヤーこそが神である……のか?

 大昔の人は自然災害があると「神が人間に試練を与えた」などと考えたらしいが、もしかしたらそれは間違いかもしれない。神が何か別のことをしようとした結果、たまたま人間に問題が降り注いだだけの可能性もある。

 Xbox LIVE アーケードの『From Dust』を遊ぶと、ついそんなことを考えてしまう。本作は神となって原住民を導くシミュレーション・ゲームである。本作は2011年の作品なのだが、先日のセールでかなりの安価になっていたので手を出してみた。なお、ローカライズはされていないので注意されたし。

 ところで、神の怒りというのは実際に存在するかもしれない。このゲームを遊んでいると、中にいる人間たちが愚鈍に感じられてしまい、思わずイラつくのだ。だが、怒るべきは制作者に対してであり、ゲームの中の彼らに当たり散らすのもどうかしている。

FromDust_01.jpg
大地を揺るがし自然に抵抗して人間を導くゲームである
このエントリーをはてなブックマークに追加


自然を操るというか、自然をなんとか抑えこむのが神のすべきこと

FromDust_02.jpg
『From Dust』オープニング画面

 さて、とりあえず本作をクリアしたのだが、何が面白いのか理解できなかった。詳しく言うと、僕はこの手のシミュレーション(あるいは戦術を競うゲーム)に対する感受性が弱いので、味わいが読み取れなかったのである。

 よって、僕が行った仕事は杜撰でいい加減であり、とりあえずクリアできて実績さえ取れればいいというプレイになった。おかげで原住民は死にまくり、彼らが助けを叫んでも返事はなく、水に流されマグマに飲まれ……。こういうヤツが神になると、人々に無意味な試練を与えたりするようになるのかもしれない。

FromDust_03.jpg
人々がちょこまか動くので『レミングス』のようである

 まずはゲームのルールについて説明しよう。プレイヤーは原住民に指示を出し、途中にあるトーテムポールに村を作らせ、その後に彼らを謎のポータルへ導くことが目的である。その際、大地を揺るがす息吹を操るのだ。

FromDust_04.jpg
原住民たちを注視することはできるが、たいてい儀式をするか歩いているかだ

 しかし大地を揺るがす息吹とはいえ、基本は砂や水を拾ってどこかに置くという感じである。道がなければ砂で作ってやり、水が邪魔で村を作れなければ取り払ってやり、マグマで村が焼かれそうであれば水をかけたり植物を取り払ったり……。水や砂は物理演算で描かれているので、まさしく自然のような状況が表現される。

 それにしてもこの行為、なんだか神というか、アリの巣の面倒を見ているようである。実際、ゲームプレイの大半は障害を取り払うパズルであり、人々の生活を覗いたり感情移入するという要素は少ないのだ。

FromDust_05.jpg
古代の力を使えば、津波だろうとマグマだろうとなんのその

 よって、厳しい自然環境に対し、いかに対抗するか考えることが主題となる。時には海の中やマグマの中に村をつくらねばならないので、うまいタイミングで指示を出してやらねばならない。

 また、神らしくトーテムの力を借りることにより、水をジェルにする能力や砂を無限に出す能力、そしてすべてのものを吸い続ける能力などを使えるため、それが攻略のカギとなるのは言うまでもなく。

はたしてエリック・シャイーは何を思って作ったのか

FromDust_06.jpg
最終ステージひとつ手前は、マグマの中だけにやけくそのような難易度である

 そんなわけで本作は解法を探すパズルなわけだが、どうも味わいが薄い。その理由のひとつは、本作の底が浅いからである。このゲーム、村を安定させてしまえば、あとは深く考えずとも地道に道を作ったり自然を増やすだけになりがちだ。

 なぜこんなことになったのかというと、それはおそらく本作が「プレイヤーが神となる地球シミュレーター」だからであろう。本作の最終ステージは自由に世界を作れるサンドボックスなのだが、おそらく最初はそのアイデアで作っていたのだと思われる。

 ゲームプレイヤーは、少なくともひとり用ゲームの中においては強固な決定権を持つ神のような存在であり、そのために神となって世界を自由に作るという行為と相性が良い。ただしそれではゲームと呼ぶには弱く、そのためにとりあえずパズルのような仕掛けを用意したのかもしれない。

 しかし、それなら作られた自然を眺めて越に入れたり、そこに住む人たちの個性を輝かせるゲームにすればよかったのでは。……と思うものの、クリア後にはチャレンジモードがあることからわかるように、本作は完全にパズルの方向に舵を切っており、いったい何を意図しているのかよくわからなかったのだ。それこそ、神に翻弄されるちっぽけな人間のように、僕程度では上位存在の意図がひたすらに読めないのであった。


box_FromDust.jpg

FromDust ¥1500 Xbox.com詳細ページ
デベロッパー:UBISOFT MONTPELLIER ジャンル:その他, 戦略 & シミュレーション 2011/07/27

 神となり大地を操り、原住民たちを導くシミュレーション。
 物理演算によって描かれた自然を操作するのが醍醐味である。
 2011年のサマー・オブ・アーケードの作品であった。

コメント

非公開コメント