『バイオショック インフィニット』DLC第三弾『ベリアル・アット・シー EPISODE 2』は、悲しくも力強く「バイオショック」すべてに幕を下ろす

DLC第三弾は、すべての「バイオショック」を終わらせる

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まるで、飼い猫を救おうと燃える家に飛び込むニュートンを見ているようだ。

アンドリュー・ライアン

 2014年4月23日、Xbox360版『バイオショック インフィニット』のダウンロード・コンテンツ(以下、DLC)第三弾『ベリアル・アット・シー EPISODE 2』が配信された。

 タイトルのとおりエピソード1の続きのDLCだが、これは『バイオショック インフィニット(以下、「インフィニット」)の真の結末でもあり、初代『バイオショック』を描き直した作品でもある。

○ バイオショック インフィニット DLC第二弾『ベリアル・アット・シー EPISODE1』はラプチャーの物語ではなく贖罪の物語
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-entry-1697.html

 DLCをはじめる前に初代『バイオショック』のあらすじを見られることからわかるように、これはシリーズを追ってきた人に向けられたものなのだ。できることならば、それらを済ませてから遊ぶべきだろう。

 なお、このDLCのローカライズも前回と同じく字幕のみで、吹き替えは存在していない。

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芸術家から渡された絵に描かれていたのは、今の自分ではないエリザベス

 さて、今までの「インフィニット」ではブッカーが主役であったが、今回はエリザベスが主役となっている。この変更には面を食らうかもしれないが、物語としてもゲームプレイとしても納得のいく作りとなっているだろう。
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あのアトラスとの遭遇により、死に物狂いの旅がはじまる

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まさしく理想すぎるパリの街並み

 物語はパリからはじまる。あまりにも美しく、誰もがエリザベスに好意的で、願望がすべて反映されているような場所である。しかし、エリザベスはここでサリーなる少女を見つけ、街は暗闇に飲み込まれてゆく。

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最高の悪役、アトラスが大きく関わってくる

 彼女が目を覚ますと、そこはエピソード1で終わりを迎えた場所だった。そして、近くにいるのはあのアトラスであり、しかもリトルシスターのサリーを誘拐しようとしている。更に当然のように彼はエリザベスを殺そうとするのだが、そこになぜかブッカーが現れ、なんとか生き延びる方法を教えてくれた。

 その方法とは、この海の底に沈んだ監獄を浮かせる(≒ 脱出させる)ことを取引に使うことである。そして、エリザベスはそれを交換条件として、サリーを返すよう申し込んだ。アトラスは良い表情こそしなかったが、絶望的な状況を変える可能性を捨てきれず、その条件を飲んだのである。

ステルス要素を強めたゲームプレイ

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今回は、ステルスを活かしながら先へ進むゲームプレイになっている

 こうしてエリザベスは、スプライサーだらけの崩壊した街、そしてティアの向こうにあるコロンビアを探索し、この監獄を浮かせる方法を探しに行くことになった。かなり危険な場所だが、通信機からはブッカーのアドバイスが聞こえるし、彼女は特殊な能力を持った存在である。

 ……しかし、本当はブッカーなどいないはずなのだ。そしてエリザベスも特殊な力を失っており、もはやただの女でしかないのである。そのため、身を隠しながら先へ進まねばならない。

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プラスミドの力を借りれば、ステルスもお手の物

 要は、ステルス要素を強めた戦闘システムが用意されているわけだ。装備も麻酔弾薬のクロスボウや、姿を消したり敵・アイテムの場所を知れる「ピーピング・トム」といったプラスミドなどが存在し、ステルスFPSとしての体裁はかなり整っている。

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エリザベスが主人公なので、ピッキングもミニゲームになっている

 敵が狂ったスプライサーなので妙に迂闊でも納得できるし、非力な女性が主人公なのでステルスというのは性質にあっており、薄暗い雰囲気とも相性がよく、細かな演出で隠れ進むのを盛り上げてくれる。エピソード1ではステルスが本当におまけだったが、だいぶ仕上げてきただろう。

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正面から戦うのは極めて不利で、ダメージもぜんぜん入らない

 とはいえ、通常難易度ではコツを掴めば自分がかなり優位に立てる。最高難易度の1998モードでは武器が減ってステルスが重要になるが、それでも走って逃げ続けることによってなんとかなってしまったりする。もっとも、このゲームの主軸はあくまで物語なわけなのだから、戦闘についてはあれこれ言うこともないだろう。

ブッカーも、エリザベスも、きっとこの結末を選ばざるを得なかったのだろう

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コロンビアでは、自らの移り変わりの真実に立ち会うことになる

 ところで、「バイオショック」は親子の物語であり、「インフィニット」は贖罪の物語である。よって、その集大成となるこのDLCでは、その両方がすべて描かれることとなる。当然ながらエリザベスも、主役になったからには両者を経験することになるのだ。

 エリザベスはエピソード1でサリーを囮に使ったため、その罪の意識から償うことになるのだが、では親子の物語はどこにあるのか。

私、カムストック、あなた、サリー…血で染まった輪みたいだわ。

エリザベス

 無論、実際の親子関係も物語に関わってくるが、ここではエリザベスとサリーが親子の関係にあたると思われる。作中で聞くことになるが、エリザベスはとある経験によって少女から女、つまり大人の立場になった。また、ふたりの間に血のつながりはないはずだが、それはビッグダディとリトルシスターもそうだし、そもそも「バイオショック」というのは、血のつながりがあるからといって関係がうまくいくわけではないという話ですらある。

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共感による父と子の和解

 「ライオンと羊飼い」という寓話のように、共感こそが信頼を生む切欠になるのである。そして生まれた信頼によって、親子の関係も生まれてゆく。ビッグダディがリトルシスターを守ることになったように、エリザベスはサリーに共感し親となり、その行動の結果として彼女を守ることになった。

 しかし、守れたのはそれだけでなく、未来にある親子関係、そしておそらく、過去にある自分たちの関係も守れたに違いない。まさしく集大成として、エリザベスの行動が、「バイオショック」を終わりへと迎えるのだ。

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エリザベスが罪を償うことにより、すべては完成する

 この『ベリアル・アット・シー EPISODE 2』は悲しい結末を迎えるが、だからといって不憫に思ってはならない。無線のブッカーが言うように、これはエリザベス自身が選んだ道である。エリザベスが贖罪を行うことによって、ようやくコロンビア(贖罪)の物語も、ラプチャー(親子)の物語も、すべてが解決するのだ。

 まさしくこのDLCは、「バイオショック」の素晴らしい終わりを描いたものであった。ブッカーとエリザベスは罪を償い、ついに共感を得ることができたのだろう。そして、彼らがあがいた結果として、どこかの扉の向こうにある幸福な未来へと繋がっていくのだ。

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