あの“なめこ”の原点が、当時の雰囲気をそのまますぎるほど残し、新作として復活! 『おさわり探偵 小沢里奈 ライジング3 なめこはバナナの夢を見るか?』

あの「おさわり探偵」についに新作が出た!

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 2014年5月1日に発売された『おさわり探偵 小沢里奈 ライジング3 なめこはバナナの夢を見るか?』(以下、「おさわり探偵 3」)を購入した。大流行した“なめこ”というキャラクターがいるのを知っている方も多いだろうが、あれはこのゲームに登場するキャラクターである。

 ……しかし何がどうなったのかは知らないが、流行ったのはなめこというキャラであり、主役である小沢里奈のほうは特にという感じであった。もっとも、本シリーズを手がけたサクセス、ビーワークスは諦めておらず、こうして「おさわり探偵」の新作が出たのだ。

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『おさわり探偵 小沢里奈 ライジング3 なめこはバナナの夢を見るか?』オープニング画面

 ちなみに前作である『おさわり探偵 小沢里奈 シーズン2 1/2 里奈は見た!いや、見てない。』(以下、「おさわり探偵 2」)から、7年越しの続編である。もはや復活は絶望的であったろうに、ここに来て戻ってきてくれるとは驚きである。

 よって、ただ復活してくれただけでも嬉しく、発売日にクリアしてしまうくらい面白かった。しかし、この「おさわり探偵 3」、ただとりあえず復活しただけにも見えてしまうのである。
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タッチして、んふんふして、捜査するアドベンチャー

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里奈たちの周囲は、7年前の光景とほとんど変わらぬまま

 まず本作は、ポイントクリック・アドベンチャーに近いゲームである。主人公のおさわり探偵「小沢里奈」と探偵助手の「なめこ」を動かし、あちこちをタッチして捜査するのだ。つまり、プレイヤーは3DSの画面をタッチし、里奈は人や物にタッチして捜査をするわけで、まさしく「おさわり探偵」というわけである。

 基本的なシステムは前作とほとんど同じになっている。物語をはじめると事件が発生するので、人々と会話をして捜査を進めていき、そのうち何か関門が出てくるため、手に入れたアイテムをうまく使って謎を解決するのだ。

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新キャラクターである舘 史郎がカッコいいのは、登場時だけ

 今回はライバル探偵の舘 史郎(たち しろう)が登場するのだが、キャラクターの扱いもこれまで通り。どういうことかというと、一話だけは目立つが、あとはモブ化してフニャフニャな存在になり笑えるというヤツである。

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相変わらず「おさわり探偵」と呼ばれることに慣れない里奈

 そもそも「おさわり探偵」シリーズはどこを狙っているかわからない方向性がウリで、
  • キャラクターの顔に影があるように、かわいくもどこか影や皮肉のある世界で、
  • 子供ウケもしそうなほんわかとした物語を用意し、
  • おっさん・おばさん向けとしか思えない映画・ゲームなどのパロディやメタ的ジョークをぶち込んで混ぜた
ようなゲームなのである。端的に言えば制作スタッフの趣味が思い切り出ているのだろうが、このどこを狙っているのかわからないところが「おさわり探偵」の魅力であり、大してウケなかった原因でもある。

新要素の多くは、やはり“なめこ”である

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ヒントからフィギュアまで買える通貨、なめコイン

 とはいえ、新作として変化も存在する。その象徴として存在するのがこの「なめコイン」だ。やはり世間で“なめこ”が人気となったため、「おさわり探偵 3」でもその要素を大きく取り上げている。

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くじでなめこフィギュアを集め、鑑賞することも可能

 この「なめコイン」は、作中にある駄菓子屋でなめこのフィギュアを手に入れるために使うことが多いか。「なめこくじ」なるものを行うと、ランダムでひとつフィギュアがもらえるので、集めて楽しむオマケ要素というわけだ。

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ダブったフィギュアは合体させて再抽選+レア化のチャンス

 また、ダブったフィギュアを合体させる「なめこ合わせ」というシステムもあり、これを駆使しないと手に入らないレア・フィギュアも存在するようである。

 前作までのオマケ要素は、「おまけシナリオ」(クリア後の街を巡回すると、ミニ・クエストが発生する)とそれに伴う「調査報告書」、更に「さわり心地図鑑」や「ジュークボックス」くらいのものだったが、今回はそれらに加えてこのなめこ要素が入ったというわけだ。

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基本的に主人公は小沢里奈だが、やはりなめこが前に出たがる展開が多い

 そして、「なめコイン」を使うと、進行のヒントなどを見ることができるのも大きい。過去作ではヒントそのものがないうえ、フラグの立ち方や目的地が極めてわかりづらく、総当りで解いたり無意味に詰まったりすることがしばしばあった。

 「おさわり探偵 3」ではややシビアなタッチ判定こそ少し残っているが、どこに行けばいいかもわかりやすい。更には飽きさせないためか、反射神経を試すミニゲームも入るようになった。かつての厳しさはスタッフの趣味だったのだろうが、今作ではかなり世間に迎合できているというわけだ。

7年前の作品が、本当にそのまま蘇ってきた……

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一般住民たちのふざけきった会話も楽しみのひとつ

 さて、そんなわけで「おさわり探偵 3」は広い層に受け入れられるようにしつつも、とがり具合を残している作品と言えるわけである。更に、過去作のキャラクターも一堂に会しており(覚えていないキャラもどんどん出てくるくらいで)、まさしく続編としてふさわしいものである。

 ……しかし、7年越しで2014年に登場する新作としてふさわしいかというと、問題があると思われる。本作、あくまで個人的にはとても楽しめた。だが、思い入れの薄い人が遊べば、「もっと安く」だとか「DLソフトで出せ」などと言われてしまいそうなのである。

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まなみやちーちゃんも、事件に巻き込まれたり首を突っ込んだり

 そもそも、前作「おさわり探偵 2」は2007年5月に発売された。この時はニンテンドーDSが流行しており、Xbox360が出て一年半くらい、PlayStation 3に至っては出てから一年も経過していない。スマートフォンも今と比べればまだまだ流行していないし、そもそも初代iPhoneが出るのは「おさわり探偵 2」の一ヶ月後である。

 「おさわり探偵」シリーズは、ニンテンドーDSがバブルのころに出た“挑戦的なパッケージ作品”だったわけだが、その熱狂的な盛り上がりはもうないのである。更に、ダウンロード販売もかつてより支持を得ているため、珍しい作品はそこで勝負をすることも増えてきた。よって今の基準から見ると、そういう挑戦的な作品はそちら向きに見えるのだ。

 本作、クリアまでゲーム内の時間で3時間半(おまけ要素はほぼ除外)くらいであった。更に、里奈のいる世界は、新規追加された部分以外は多くが過去作の使い回しに見える。立体視や追加要素もあるが、それはあくまでオマケ程度である。しかし本作はパッケージでそのまま出してきたため、何年も前にお蔵入りしたゲームが、大きく変わらず復活してしまったような印象も受けるのだ。

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あまりにも物悲しくなるメタ愚痴的なセリフ

 ここからは完全に余談だが、なぜこうも「おさわり探偵 3」は古いまま出てしまったのかを考えてみよう。いや、率直に言うと予算がないからなのだろうが……。

 実は本作のおまけシナリオ中で、上記画像のように「容量が増えたから大丈夫と安心していたんですが、予算はたいして変わらないというじゃありませんか」と言う一般市民がいる。これは制作スタッフの愚痴を冗談としてセリフにしたものだろうが、遊んでいる人間としてはだいぶ笑えない。

 つまり、“「おさわり探偵 3」を復活させることには成功したものの、新作としてしっかり磨き上げるほどの予算は入らなかったので、とりあえず過去の形式を使って努力をした”のが本作なのだろう。続編が絶望的なシリーズだったことを考えれば素晴らしいことだが、しかし復活した姿は、完璧とは言い難いものであった……。

 ともあれ、そんなことですら作中で言ってしまうのに、ほんわかファンシーな人物たちも登場する珍妙なゲーム。それが『おさわり探偵 小沢里奈 ライジング3 なめこはバナナの夢を見るか?』 である。

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