カセットに“ふーふー”したおっさん・おばさんも、実況動画に沸き立つ少年・少女も『みんなで まもって騎士』

『みんなで まもって騎士 姫のトキメキらぷそでぃ』のレビューのようなもの

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オープニングの前にソフトを立ち上げる演出が入る

 ゲームがうまく起動しない時は、カセットに“ふーふー”する。それこそファミコン時代の常識だが、これがニンテンドー3DSの作品だと言うのだからさぞ驚くことだろう。

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『みんなで まもって騎士 姫のトキメキらぷそでぃ』ホーム画面

 ほかにも80年代を彷彿とさせる要素が多すぎる公式サイトだとか、ノイズがかったゲーム内音声などで既におっさんたちから補足されているであろう『みんなで まもって騎士 姫のトキメキらぷそでぃ』(以下、『みんなで まもって騎士』)だが、本作の美点はそのノスタルジアを独占しないことだ。

 レトロであろうとなかろうと、ゲームによってもたらされる輝かしい体験は忘れがたいものである。そんなことを思わせてくれるのがニンテンドー3DS用ダウンロード・ソフト『みんなで まもって騎士』という作品だ。


 本作の制作は、ゲーム音楽で有名な古代祐三さん率いるエインシャントである。ディレクターも前作に引き続き、和田誠さんが担当しているようだ。
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昔を懐かしむ要素はたっぷり

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姫を守り、姫に助けられつつ、ゴブリンどもをなぎ倒す

 さて、本作はXbox 360のインディーズゲームで登場した『まもって騎士』の続編となる作品である。姫を守るという防衛&2Dアクションという基本的な部分は変わっていないが、とにかくさまざまな部分で大きく成長しているのだ。

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説明書は使いすぎると古くなるが、新品にも戻るので安心

 カセットに息を吹きかけゲームを起動させてみれば、下画面には紙の説明書までがついている。これはめくって見るものになっており、基本操作やキャラ紹介、更には白紙のメモまでついているというこだわりようだ。今や説明書はすべてデジタルになっているというのに……。いや、これもデジタルなのか。

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ビックリなファイターシール

 また、ステージのクリア後にはおまけの一枚絵が表示されるのだが、このあたりも80年代風である。どこかで見たことのあるアニメ風の絵柄であったり、“キン消し”ならぬ“ニン消し”が出てくるのだ。なお、ゲームをクリアするとまた違ったネタも出てくるようになる。

 そして、本作のBGMは古代祐三さんに始まり、古川元亮さん・細江慎治(めがてん細江)さん・川口博史(Hiro師匠)さん・小倉久佳(OGR)さんと、これまた懐かしの名作における名曲を手がけたコンポーザーが参戦しているすごい状況だ。僕としては後半に出てくる宇宙ステージなどのBGMが特に気に入っている。

 こう書くと実におっさん向けに見えてくるし、歳を重ねた人が過去を懐かしむことを楽しむゲームなのは間違いない。だが、それはあくまで本作の一面だろう。

ゲーム・システムは現代風

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マルチプレイで遊べば役割分担ができて戦略も広がる

 本作のゲーム・システムは最新鋭である。ファイター・メイジ・アマゾン・ニンジャ・ジイヤ・アーチャーの6人からひとりを選び、城や姫を守るのが目的だ。それぞれのスキルや特性、そしてバリケードや砲台を生かし、モンスターたちを全滅させれば勝利となる。

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職業・スキル構成によって戦い方も変化していく

 ソロでも遊べるが、タイトルに「みんなで」とついているようにできればマルチで遊んだほうが楽しい。本作はローカルプレイができるのはもちろん、制限ありのダウンロードプレイ(誰かが本作を持っており、あとは複数台の3DSさえあれば遊べる)にも対応している。

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巨大なボスが出る時の背景は黒いものである

 要は防衛をしながら敵と戦うゲームなのだが、キャラクターの個性によって戦い方に差が出てくる。たとえばアーチャーは防衛に長けているので、姫の周りで粘り強く戦うのが向いている。しかし、敵は奥にあるジェネレーターから出てくるので、ファイターやジイヤがそれを叩きに行くといった戦略を組むといいわけだ。

 ソロでは戦略が凝り固まりがちになるが、マルチであれば遊びの幅がより広がる。ましてや『みんなで まもって騎士』は素材を集めるゲームという側面もあるので、仲間と一緒に成長していくことも楽しみのうちだろう。

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武器屋の妖精たちもいちいち面白いことを言ってくれる

 城には「武器屋」と「訓練場」があり、前者では素材を使って武器の開発・強化が可能で、後者では食べ物系アイテムを使ってスキルを鍛えることができる。ほかにも余った素材で指輪を作ることも可能だ。

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マップ製作モードでは、全オブジェクトにキャラのコメントと説明がついている

 ただ、素材を集めていくゲームとなると、時間のない年寄りゲーマーにはつらく思えるかもしれない。が、その時にも使えるマップエディタが用意されている。ここで素材を稼げるマップも作れるので、一気にゲームを進めてしまうこともできるわけだ。当然ながら序盤から稼ぎまくるとつまらないので、計画的に利用するように。

 無論、ふつうに遊ぶためのマップを制作することも可能になっており、更にQRコードでマップを配布することもできる。デフォルトで100ステージも用意されているにも関わらず、ユーザー作成ステージが遊べるとなると、もう目眩がしそうなくらいの量だ(ただし、通常ステージはすべて遊ぶ必要はなく、飛ばしてクリアまで短く遊ぶこともできる)。

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前作にも登場した「YK-2マン」はサウンドテストに登場

 ほかにも、クリア後には高難易度モードや実績的な「勲章」や「サウンドテスト」といったものが用意されていたり、難易度ハードでクリアするとスタッフロールが変化したりと、800円(+税)にも関わらず内容が多いのなんの。

 とにかく遊べる要素が多く、昨今のマルチプレイ作品にも似たシステムが搭載されている。これならばレトロなことは何も知らずとも、ふつうに遊べるだろう。

懐古だけでもなく新しいものでもなく、みんなのためのゲーム

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条件を満たすと勲章がもらえる

 郷愁を呼び起こすような小ネタがたくさん散りばめられており見た目もレトロな雰囲気だが、しっかりとした現代のゲームなのはわかってもらえただろうか。ほかにも、現代らしい要素がゲーム内外に用意されている。

 たとえば本作は追加コンテンツとして、ニコニコ動画で人気の実況集団「M.S.S Project」とのコラボを予定している。ほかにも非営利目的の実況・動画配信なら自由にやって良いとのことで、レトロなゲームにも関わらず柔軟な姿勢を見せているのだ。

 これは「レトロ風なのになぜそんなことを?」とも思える話であり、実際に大人の事情があってそういうことをしているのかもしれない。だが、これは本作が単なる懐古に留まらない証左とも言えるだろう。

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会話シーンはボリュームこそ少ないが、印象に残るものも多い

 懐古というと昔を賛美することばかり浮かぶかもしれないが、単純に思い出を楽しむ行為ともいえる。そう、肝は楽しむことなのだ。考えてみればゲーム実況もいずれは少年・少女たちの思い出にもなるわけで、それはおっさん・おばさんたちの思い出と同じ価値を持つようになるのだ。レトロなことも、新しいことも、楽しい体験という意味においては等しく、方向性や体験する人が少し違っているだけである。

 だからこそ、『みんなで まもって騎士』は現代と80年代が同居しているような作品になっている。それはちぐはぐなのではなくて、楽しみという名の元に集ったひとつのもの、みんなのものなのだ。

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