『タッチ!カービィ スーパーレインボー』レビュー 「ひとりでも、みんなでも」を実現した貪欲でかわいい一作

ねんどの世界は一見の価値あり

 2015年1月22日にWii Uで発売された『タッチ!カービィ スーパーレインボー』をクリアしたのでその話をしよう。

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カービィは丸まっており直線的にしか動けないので、虹で誘導する

 本作は、虹のラインでカービィを誘導してゴールに導くアクション・ゲームである。ニンテンドーDSで登場した『タッチ!カービィ』の続編と言って問題ないだろう。また、本作はひとりプレイ専用でなく最大4人で遊べるうえ、廉価版タイトル(定価3,700円)なことも特徴か。

 さて、『タッチ!カービィ スーパーレインボー』の何がすごいのかといえば、それはねんどで作られたカービィたちが恐ろしく愛らしいということ。そして、ひとりで遊ぶのとみんなで遊ぶので、かなり違う遊びになっていることだろう。


 そのため本作に関する意見は、ひとりで遊んだ(シングルプレイ)か、みんなで遊んだ(マルチプレイ)かで大きく異なるだろう。なお、僕は甥たちと一緒に遊んだうえでこの文章を書いているので留意されたし。
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カービィたちが“かわいい”

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『タッチ!カービィ スーパーレインボー』起動画面

 とにかくもう、ゲームを起動してすぐこのカービィの世界に見入った。むやみに言葉を連ねるより、スクリーンショットを見てもらったほうが早いというほどビジュアルが素敵なゲームである。

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「カービィタンク」に変身して敵を撃ちまくるステージ

 『星のカービィ』シリーズはどれもかわいいと言える雰囲気だし、そのためかグッズも人気があるようだ。しかしこの、ところどころに人の指紋が感じられたり、少し不揃いな部分があるねんどのような表現は、のんびりとしたカービィとの相性がこれまで以上に良すぎるのである。

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「コレクション」にはさまざまなフィギュアが用意

 ゲームといえば、「写実的なグラフィック」だとか「豪華で美麗なグラフィック」といった印象が多いものの、当然ながら可能性はそれだけではない。見ると微笑ましくなったり、むしろ落ち着くようなものだってありえるわけで、本作はその可能性を追求している。

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「ひみつノート」は各ステージのゴールにひとつずつ存在している

 また、コレクションのひとつである「ひみつノート」では、登場キャラ「エリーヌ」の手描き風イラストを見ることができる。こちらもあえて下手な風に描いており、それが微笑ましいのなんの。うまい具合に少しだけ形を崩したこの『タッチ!カービィ スーパーレインボー』のグラフィック、これこそ“かわいい”と呼べるものではないか。

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歴代シリーズのアレンジBGMもかなり豊富

 ちなみに本作、BGMも非常に充実した作品になっている。プレイしていると「あ、これはあのアレンジじゃないか!」と思えるので、それをダシにして一緒に遊んでいる人と会話を広げるも良し。ひとりでしみじみとシリーズの思い出に浸るも良いだろう。

ひとりプレイにもみんなでのプレイにも対応

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水流に流されるカービィもまたキュート

 こうしてかわいい推しをしたわけなのだが、一方このゲームはひとりで遊ぶと難しいかもしれない。前述のように、Wii U GamePadに直接ラインを引いて転がるカービィを導くゲームなわけだが、前作以外はあまり前例のないシステムなうえ、思うように動かせるになるまで独特の癖を感じるだろう。

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「スターダッシュ」で固いブロックを破壊し宝箱へシュート

 そういった理由から、ひとりで遊ぶ場合は歯ごたえのあるゲームプレイが待っているわけである。本作にはメインモードだけでなくチャレンジモードもあり、それらで“ラインを引く腕を磨くゲーム”になるわけだ。

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ワドルディと一緒に空の旅へ

 ところが、みんなで遊ぶ状態になるとぐっと難易度が落ちる。このゲーム、ふたり目以降は「ワドルディ」を操作することになるのだが、そいつがとにかく強い。彼はふつうの2Dアクション・ゲームのように自由移動ができるし、多段ジャンプも可能で、体力はふたつしかないが何度でも復活することができる。実に頼れるヤツなのだ。

 ワドルディは死亡のリスクが極端に低いため、ゲームがあまり得意でない場合でも問題なく参加できるし、ワドルディが移動に手間取っていればカービィ側が虹のラインでフォローしてあげれば良い。

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マルチプレイでのみ登場する「グラバー」

 また、マルチプレイではワドルディでしか倒せない敵「グラバー」も登場するので、カービィがひたすら助けるばかりにはならない。そもそもワドルディのほうが優秀なので、ゲームが得意でない人でもボス戦などではとても役立つ攻撃役になれるのだ。

 要は、カービィにしてもワドルディにしても、互いをフォローしあってゲームを有利に進められるわけだ。人と一緒にゲームを遊ぶ場合、うまい人が強引に先へ行ってしまうという展開も起こりうるし、逆にへたな人が足を引っ張ってしまう可能性がありうる。しかし『タッチ!カービィ スーパーレインボー』は、“うまい人がそうでない人に助けてもらう”という理想的な力関係を作れるわけだ。

更に磨きをかければ理想のマルチプレイ・2Dアクションになるかも

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シングルとマルチの溝を作る問題の「カービィロケット」

 ただし、もともと癖のあるゲームをみんなで遊べるようにしたせいか、ところどころに気になる点がある。たとえば、変身能力「カービィロケット」は実質的にひとりプレイ用だし(サポートできるが不要な場面が多い)、ほかにもカービィのみでプレイするような場面がいくつかあるのだ。

 無論、そういった場面は全体から見ればかなり少ないほうである。とはいえ、最後の最後の展開がまたそういった場面になっているうえ、やたら難しい。せっかく協力プレイの力関係を作るのがうまいのに、もったいなく見えてしまうのだ。

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ラインの接続に慣れるまでは難しいゴンドラ

 とはいえ、ほとんどを楽しく遊べたのは間違いない。何より、このねんどのカービィを見てしまうとキツい言葉が引っ込んでしまうし、CMなどで使われているキャッチコピー「ひとりでも、みんなでも」を実現した作品であることは事実だ。どちらで遊んだかによって評価は変わるだろうが、少なくともマルチプレイ用タイトルとしてはかなり満足できた一作である。

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