探索要素がそこまで多くない探索型2Dアクション
水流の表現あたりは特に人気を呼びそうだ さて、前述のように本作は探索型の2Dアクションである。『メトロイド』やPS以降の『悪魔城ドラキュラ』が例としてよく挙げられるが、この手のゲームは広いマップをいろいろと歩き周り、特定の能力を手に入れたり仕掛けを解くことで更に行動範囲が広がっていくという内容である。
トゲだらけの間を飛ぶ&降りることが多いゲームでもある オリもはじめはジャンプくらいしかできないが、各地にある「長老樹」からさまざまな能力をもらうことができる。壁を登る能力にはじまり、お約束のニ段ジャンプなどがその例だ。また、「クロの羽根」を手に入れるとふわふわと浮くことができるようになる。
マップ上のを拾う・敵を倒すなどして「精霊の光」を集めると能力を開放できる そして、手に入れた「精霊の光」を使ってオリ自身の能力を開放することができる。このシステムでは攻撃の威力を上げたり、敵が落とすアイテムを自動で引き寄せる「精霊マグネット」などが身についていく。
ほかにもマップには、ライフの最大値を上げる「命のかけら」や、“エナジー”の最大値を上昇させる「エナジーセル」が落ちているので、それらを拾いつつ3つのエレメントを目指していくというわけだ。
ちなみにその“エナジー”というのが本作の特徴的な要素のひとつである。これがあると自分の好きな場所にチェックポイント(セーブポイント)を作れる「ソウルリンク」が使用可能になる。つまり、各所に難所があるので自分の手で確実にセーブをして行けというゲームでもあり、セーブできない場所では苦労をしろという意味でもあるのだ。
アクションの良さとビジュアルの良さ
冒険を進めるたび、ニブルの森が活力を取り戻していく 『オリとくらやみの森』は、プレイせずとも見た目の良さが理解できると思う(音楽を合わせると尚更だ)。また、2Dアクションとしての出来もかなり良いほうだろう。特に特殊能力の開放はテンポが早く、飽きる前に次の新要素が出てきてくれる。一方でゲーム全体がやや短く感じられるものの、冗長になるよりは何万倍も良いだろう。
吸血鬼ではないのでアイテムはなくとも水中の探索が可能 ちなみに本作、探索型のアクションではあるものの、謎解きだとか仕掛けで頭を悩ませることはほとんどないと思われる。僕はその手のものが苦手なのだが、ひっかかったのは一箇所だけ(それもルートの見落としだけ)であった。
「クロ」に補足されないよう進む場面 それどころか、エレメントを手に入れたあとなどの重要イベント時に即死が多くなっており、ここで詰まるプレイヤーがいそうである。そう、本作はこのビジュアル推しの見た目と、硬派とも言える2Dアクション部分を抱えており、そこに問題があるように見えるのだ。
冒険の最後は灼熱の火山が舞台に まず、描き込まれたグラフィックは時に視認性を下げることがある。単純に背景を見せたいがためにオリは小さく写ることもあるし、特に淡い色や光がある場面ではオリが隠れることがあり、また動きも激しいのでうっかり見落とすことも。
ビジュアル推しであれば、じっくり見つつ最後まで障害なく進めたほうがいい。しかし、アクションであれば見るのは自キャラや敵の動きだけで、適度な障害がなければつまらない。そして本作は、後者を前者で包むという方法を取っている。
『オリとくらやみの森』はその板挟み状態にあり、ビジュアルは素晴らしくともじっくりは見づらく、アクションは難易度が高めなものの最後まで見たい感動的な物語もある。つまり、見た目を重視することと、2Dアクションを重視すること、その両方を取って起こる問題をきちんと消化できていないように見えるのだ。また、トレーラーや事前情報でゲーム概要がよく掴めていなかった場合も、そのあたりに混乱させられるだろう。
天敵「クロ」とのにらみ合い ほかに気になるのは、床や壁を抜ける再現性のないバグがあり、そこでセーブしてしまうと後戻りできなくなってしまうというくらいだが、これはいずれパッチで解決されるものと思われる。
ともあれ、『オリとくらやみの森』の各要素は高品質である。“美しいし、アクションも良くできたゲームである”とは言えるだろうが、“見た目にも美しくアクションも素晴らしく、その関係が互いを高め合っている”とまでは言いづらいのが残念だ。とはいえ、このゲームに目を奪われ、かつアクション・ゲームも遊べるプレイヤーが見過ごすのはもったいない。
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