『ゼノブレイドクロス』レビュー 君はこの“未開すぎる惑星”を探索する気合があるか

序盤がひとつの試練となるゲームだ

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夜行の森で巨大生物と記念撮影

 巨大な“惑星ミラ”を作り上げ、その世界を探索することを魅力としたゲーム『ゼノブレイドクロス』。この星にたくさんの可能性が存在していることは間違いないが、同時にここは相当な未開の地でもある。

 2015年4月29日に発売されたWii U用ソフト『ゼノブレイドクロス』は、モノリスソフトが開発を手がけるオープンワールドRPGである。オープンワールド、つまり本作には広大な世界が存在しており、そこを好きなように移動できるのが特徴となっている。なお、本作は『ゼノブレイド』の続編的な立ち位置だが、直接の繋がりはないそうだ。

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人類の拠点“NLA(ニューロサンゼルス)”を眺める主人公とエルマ

 西暦2054年、異星人同士の宇宙戦争により地球は崩壊の危機に立たされる。人類はなんとしても生き残るため“地球種汎移民計画”を実行し、地球を捨て宇宙へと飛び立つこととなった。

 しかし、異星人たちの攻撃により多くの宇宙船は破壊されてしまう。その中のひとつ「白鯨」はなんとか逃げ延びたものの、その後追ってきた異星人の襲撃により惑星ミラへ不時着する。こうして人類は、この未開の惑星で生き延びねばならなくなったのだ。

 プレイヤーはこの惑星を探索する集団「ブレイド」の一員となり、冒険を繰り広げていく。前述のように広大な惑星ミラを駆けまわるのが魅力なのだが、終盤はさまざまな装備を集めたり数値を鍛える要素のほうが強いか。
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『ゼノブレイドクロス』の魅力

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「ドール」に乗ることで冒険の幅が広がっていく

 さて、本作の魅力はなんと言っても惑星ミラにたくさんの要素があることだろう。さまざまな原生生物(モンスター)がいるのは当然で、観光地のような絶景もあれば、場所によっては別の異星人たちが住んでいることも。

 また、中盤からは人型兵器「ドール」に乗ることができるようになる。サイズが大きいので移動が楽になるうえ、装備を揃えれば強敵とも戦うことができるわけだ。そして、ドールは破壊される可能性も秘めているのがまた楽しい。これは単なる兵器ではなく、まるで自分の車を大事に扱うような体験をもたらしてくれる。

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ノーマルクエスト(サブクエスト)に登場するクズ代表「アレックス」

 そして、街の人々から依頼されるクエストの数もなかなか多いだろう。メインとなるストーリーは人々が眠る「ライフポイント」を探すうえで敵対異星人たちと戦うというものなのだが、それ以外にもいろいろと用意されている。

 単純にミラにある何かを探す任務もあれば、住人たちを手助けする任務もある。また、異星人たちと衝突する人間の薄汚い部分も描かれることもあり、仲間たちの切ない過去が明かされることもある。地球を飛び出した人類には多くの仕事が待ち受けているのだ。

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フィールド上には「オーバード」なる強い原生生物も存在する

 無論、クエストそっちのけでただ探索をしてもよい。落ちている素材を拾ったり、各地に「データプローブ」を設置して資源を集め、装備を作ることもできる。また、モンスターも素材や装備を落とすため、強い装備を求めて更なる強敵を狩り、よりレアなドロップを狙うこともできるわけだ。

 なお、探索にはオンライン要素が関わってくる。素材の情報などはゲーム内の「レポート」で共有することができるため、ほかのプレイヤーから耳寄りな話を聞けることも。そして、ほかのプレイヤー・キャラクターを仲間にすることもできるし、更には巨大な「ワールドエネミー」と4人で戦うクエストが発生することもある。

不満点を述べ始めれば記事の終わりが見えなくなる

 こうして本作の魅力を書いてみたわけだが、はっきり言ってこの十倍近くは文句を言えるゲームでもある。『ゼノブレイドクロス』は決して魅力がない作品ではないのだが、あまりにも粗が目立つ作品でもあるのだ。

 ひとつずつ挙げていくと翌朝まで話が続くので手短にするが、具体的に何が問題なのかというと、本作は楽しみまでの道があまり整備されていないのである。おそらくこのゲーム、はじめて数時間で挫折する人もかなりいるのではないだろうか。僕のように、前作を遊んだわけでもない人は特にだろう。

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文字&数字が多すぎな戦闘画面(これでも割と文字を非表示にしているほうだ)

 上記画像は本作の戦闘シーンだが、とにかく文字と数字が多く情報過多だ。シナリオも似たような印象で、最初は人類の拠点に関して長々と説明するムービーが続いてしまう。確かに固有名詞が多いので説明はしっかりしたほうがいいのだが、正直なところ話が長すぎて最初の一時間半ほどで投げ出したくなった。

 しかも、戦闘に関してはチュートリアルがほぼない。説明書を読まねば倒れた味方を助ける方法もわからないだろうし、読んだとしても固有名詞がたくさんではじめは難しいだろう。そのため、何がなんだかわからずにやめてしまう可能性はおおいにある。

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使いづらいうえにソートも不便なショップメニューだが、後半の装備メニューは更にヤバい

 また、ショップや装備のメニュー、そしてアイテムについても情報過多である。とにかくたくさんの情報が出てくるうえ説明が足りているとは言い難いため、「アフィックス」や「デバイス」などは特に理解が遅れてもなんら不思議ではない。

 ほかにも、クエストでは必要アイテムへの誘導が極端に少なく、しかもアイテムの在処がわかっても低確率でしか出ないという罠があったり、そもそも「スキップトラベル」やレポート評価に関する基本操作に関してですら理解できない人も出かねないと、文句を言い始めたらキリがないのである。もうやめよう。

 オープンワールドのゲームには広い世界があるのだが、広すぎるゆえに迷う可能性がある。そのため、“選択肢は多くともある程度プレイヤーを誘導する”必要があるのだが、『ゼノブレイドクロス』にはそこが欠けている。惑星ミラはまさに未開の地である。

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棒立ち会話シーンの一例

 また、ほかに大きく問題として取り上げられそうなのがシナリオである。とにかく粗が目立ち、こちらもあれこれ言い出すとキリがないのだが、この部分もオープンワールドでの制作に慣れていないことが一因であるように見えた。

 というのも、どうもクエスト制でのシナリオ処理がうまく行っていないようなのだ。クエストの形に沿わせるためか強引な展開が多いし、メイン・ストーリーではあからさまに語りきれずに会話が長くなりすぎている場面もある(特に後半はひどい)。これなら(シナリオに関しては)一本道できっちり語ってもらったほうがマシだったはずだ。

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ノーマル以上のクエストではだいたい敵に遭遇し、かつこのアングルがしょっちゅう入る

 メインとなるシナリオは詰め込みすぎな一方、割とどうでもいいクエストでいちいちフルボイスのムービーを入れてくるあたりも理解しがたい。そのくせ一部の力が入っているムービー以外は棒立ち会話シーン&似たようなカメラワークが多くて困る。

 物語などそっちのけで遊ぶこともできるゲームなのだから、重要な部分以外はすべてひとつの文章(台詞)ずつスキップできる仕様のほうが良かっただろう。友好的な異星人を食べようとからかうリンリーのつまらないギャグなど、何度飛ばしたいと思ったことか。

とてつもなく人におすすめしづらい系ゲーム

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あまりにもしつこい「タツ」の食材ギャグのシーン

 本作の世界には密度が足りないのではなく、その中に入っているものをプレイヤーに気づかせる要素が足りないのではないか。魅力のないゲームというよりは、見せ方で失敗しているように思えるのだ。

 わからないところはゲーム内のレポート機能で補完しあえということらしいが、レポート機能が健全に機能しているとは言い難い。そもそも攻略サイトを見たほうが圧倒的に便利な事実は変わらず、適切な情報交換を楽しむのは意外と難しいだろう。

 ともあれ、『ゼノブレイドクロス』もとい惑星ミラは、魅力を持ちつつもかなり未開の地である。楽しめるはずの内容は特に複雑なわけではないものの、ブレイドとしてこの地を楽しむためには、資質あるいは強い興味が必要だろう。

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