『スプラトゥーン』の素晴らしさは“一見しての魅力”と“対戦ゲームの魅力”を両立した部分にある

『スプラトゥーン』のレビューのようなもの

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『スプラトゥーン』初プレイ時のタイトル画面

 2015年5月28日に発売されたWii U用ゲームソフト『スプラトゥーン(Splatoon)』をかなり楽しんでいる。なぜここまで面白く感じるのかといえば、それは本作が真剣に対戦できるゲームでありながら、入り口が幅広いからであろう。

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「ガチマッチ」での対戦の様子

 『スプラトゥーン』は任天堂が開発・発売している対戦アクション・シューティング・ゲームである。いわゆるTPS(三人称視点シューティング)で日本ではそこまで馴染みないジャンルでありつつも、なかなかの人気を誇っているようだ。発売されてから2週間ほど遊んでみたので、このあたりで本作の話をしておこう。
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基本的なゲームシステム

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ゲーム開始時のキャラクター選択画面

 さて、本作に登場するメイン・キャラクターは、ヒトになれるイカ「インクリング」(通称:イカ)である。人間態ではブキを使ってインクをぶちまけることができ、イカ形態では自分と同じ色のインクの中に潜ることができるのだ。

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ブキ「スプラローラー」で仲間を援護するため移動している場面

 メインとなるモードは、4対4のインターネット対戦「ナワバリバトル」(レギュラーマッチ)である。これは互いのチームが地面・壁を塗り合い、時に相手の色を塗りつぶし時に相手をインクまみれにして、3分間でより多くの地面を塗ったほうが勝利となる。

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アップデート情報などは「シオカラーズ」のふたりが教えてくれる

 対戦の要素は次第にアップデートで解禁されていき、現在は「ガチマッチ」が解放されているほか、新ブキ・新マップなども登場している。今後もアイテム・マップは追加予定であり、近いうちに第一回「フェス」も実施される予定だ。

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フク屋で買い物をしている様子

 また、ブキや装備(ギア)はさまざまなセットが用意されているのも特徴だろう。それぞれ性能が違うので、マップに合わせて組み合わせを選ぶこともできるし、見た目重視のギアでストリート系のファッションを楽しむのもよい。

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Miiverseに投稿したイラストがゲーム内に反映されることも

 そのほかひとりで遊べる「ヒーローモード」や、オフラインでのふたり対戦「バトルドージョー」、そして対戦待ち時間に遊べるミニゲーム、amiiboやMiiverseとの連動要素が本作のおおまかな要素である。やはり対戦がメインになっており、ほかの要素は付属品に近いか。

対戦ゲームでありながらキャッチー


 『スプラトゥーン』が発表されたのは2014年のE3でのことである。この動画がその時に出た映像なのだが、まだゲームは製作中であったにも関わらず、かなり期待する声が挙がっていた。

 インクを塗って対戦するという概要がわかりやすくありつつも、暴れまわる楽しさの表現が全面に押し出されており、しかも血生臭くないうえに目新しい。要は掴みがよいということなのだが、本作において重要な要素のひとつはそれなのだ。

 僕が『スプラトゥーン』を遊んでまず素敵だと思ったのが、対戦ゲームでありつつ人を引き寄せる力が強いということである。とにかく、どんなに偉大な対戦ゲームであったとしても、一緒に遊ぶ人がいなければ、環境がなければ話にならないだろう。

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『Shadowrun』対戦の様子

 ところで、僕の好きな『Shadowrun』というゲームがある。この作品は驚くほど楽しいチーム対戦シューターであり、魅力に取りつかれたプレイヤーもいた。しかし、このゲームを知らない人も多いだろうし、知っていても、「充実のオフラインプレイ」だとか、あるいはWindows Vistaとのクロスプラットフォームに失敗したとかいう話であろう。

 実際のところ、『Shadowrun』の対戦は驚くほど面白かった。「マジック」や「テック」、そして種族の組み合わせは可能性が幅広く、ほとんどの要素が活かされている。だが、Xbox 360というハードの枷もあり、少なくとも日本では流行したとは言えなかった。また、ゲームの魅力が最大限に活かされたかというところも疑問だ。

 確かにこのゲームは面白いし、かなりの時間を楽しませてもらった。不満があるとすれば、このゲームがもっとキャッチーであったのなら……、ということである。対戦ゲームとして立派なだけでは、十二分な体験は得られないのだ。

譲る部分とこだわりの部分

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ブキ・ギアの装備選択画面

 そして、『スプラトゥーン』は表面的な部分で人気を得つつも、対戦ゲームとしてのこだわりは譲らないところがよい。というよりは、それをきちんと両立しているからこそ素晴らしいのだ。

 本作は対戦シューターをうまく解釈しており、インクに潜るという行為がリロードと一体化していたり、壁を塗ることによってマップの幅が広がるなど、いろいろと見るべき点は多いだろう。ただ、制約の面が物事をより良い方向へ動かしているように思える。

 さて、本作のブキは大きく分けると、「シューター」「ローラー」「チャージャー」の3種類になる。それぞれ役割が違っており、更にカテゴリ内のブキごとにも性能差がある。無論、そのバランスはかなり均衡しておりよい。

 しかし、ブキのバランスがまともなだけでは良好な対戦環境は築けない。たとえば前述の『Shadowrun』もそうで、チームワークが大事なゲームでも、多くのプレイヤーはひとりで動けるようなキャラクター・武器を好むのである。となると、『スプラトゥーン』でもひとりで行動できるシューターばかりになる……と思いきや、必ずしもそうでもないのだ。

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ゲーム開始時などに挟まれるステージのお知らせ

 その環境を作りあげているのが『スプラトゥーン』の制約あるシステムである。このシステムに関する例を挙げていくと、以下のようになる。

  • 累計のキル・レート(敵を倒した/敵に倒された割合)などの表示がない。
  • マップは4時間ごとに変更される形式で、あらかじめブキやギアを決めておく必要がある。
  • 「ガチマッチ」では腕前の評価があるものの、チームの勝利・敗北にのみ連動する。

 これらは場合によってはゲームの不満点とも言われうる要素だが、しかしこの制約があることによって対戦の重要さを維持できているのだ。

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試合終了後のキル数は表示されるが、累計表示は塗ったポイントくらいのもの

 対戦シューターの楽しみのひとつとして、キル・レートなどの数値を増やす遊びがある。ただし、これはチームの勝敗を無視して個人成績を上げる原因にもなりうるわけだ。また、そういった数値があると、相手を倒しづらかったり味方の援護がないと役立たないブキは使われづらい。

 チーム対戦ゲームのキモは、あくまで勝敗を決めることにある。確かにランクやレートといった数値を上げるのは楽しいのだが、そこに偏重しすぎると今度は対戦そのものがどうでもよくなってしまう。そのため、腕前の評価があるガチマッチはチームでの勝利を目指すことが重視されているし、そうでないレギュラーマッチには気楽な累計ポイントのランクしかないのだ。

 そして、マップごとにブキの切り替えができないのも、あえて不便にして戦略の流動性を確保しようとしているわけだろう。無論、ある程度のセオリーはこのゲームにもあるが、たくさんあるブキを持ち変えれば新しい楽しさがあるわけで、それを見つけやすいシステムのほうが好ましい。

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「スーパージャンプ」で仲間のもとへ駆けつけている場面

 『スプラトゥーン』はカジュアルな見た目であり確かにそういう面もあるが、しかし根底にあるチーム対戦の面白さに関する要素は譲ろうとしていない。作品の魅力がわかりやすくありつつも、対戦ゲームとして肝心な部分もきちんと存在しているというわけである。まさしく、理想的な対戦ゲームのひとつではないだろうか。

 とはいえ、本作はまだ魅力のすべてを発揮していないし、長く遊ぶようなタイトルである。現状でも新たなブキ・マップといったアップデートはかなりこまめに入っているし、夏には大型アップデートも予告されている。

 今後もイカたちをうまく盛り上げられるかは見てみないとなんとも言えないが、とりあえず今のところ、僕は本作をとても楽しめている。『スプラトゥーン』には優れたゲーム内容、そしてその魅力を発揮できる環境がある。ここからどこまで伸びるのだろうか。

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