死者の魂をデータとして保存できる世界は死ぬほど地味 『Master Reboot(マスターリブート)』

日本語化されたインディーSF・ADVを遊ぶ

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「ソウルクラウド」の世界でとある少女に襲われるシーン

 2015年12月16日にWii Uで配信された『Master Reboot(マスターリブート)』を遊んだ。

 本作はインディーデベロッパ「Wales Interactive」が開発したSFアドベンチャー・ホラー・ゲームで、PCでは2013年10月ごろに登場していた作品である。本作は、人間の記憶・個性をデータとして記録する「ソウルクラウド」が舞台となっており、主人公はその世界の中でとある記憶を追体験していくというわけだ。

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死者と出会えるソウルクラウドのイメージ

 ホラーとしてはビックリ系とでも言うべき内容で、急に大きな音が鳴ったり敵が出てきたりという感じである。また、物語が面倒臭い形になっており、単純なのに理解しづらくなっている。……もう率直に書いてしまうが、面白くなかった。

おおまかなゲームシステム

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“最初のおもいで”では子供の部屋を探索する

 さて、本作は一人称視点で進行するアドベンチャーである。ソウルクラウドの世界の中には「ソウルビレッジ」と呼ばれる街があり、そこから各地にあるそれぞれの“おもいで”へ向かっていく。

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かつての誰かが持っていた学生時代の記憶

 思い出の中ではアクションや謎解き(パズル)が用意されており、それをこなすことで先へ進むことができる。謎を解くなどして条件を満たせば道が開き白いキューブ(純粋な記憶の入ったコンテナ)に触れることができ、関連した記憶がアニメという形で見られるのだ。

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ただ面倒臭いだけのパズル(一例)

 ところで本作において文句を言う場合、この“面倒なだけで楽しくないアクション”と“存在する意味がわからないパズル”が挙げられると思われる。太陽系の惑星配列パズルや暗号解読などは関連性が不明すぎるし、アクションも無駄にシビアなだけだ。

 しかし、そこは正直なところどうでもいい。このゲームの魅力は珍しい舞台設定なわけで、つまり探索やパズルといったゲームシステム的な部分が凡庸でも、ソウルクラウドという独特の世界観に引き込めればいいのだ。

「ソウルクラウド」というデータ上の世界

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廃墟のようになってしまった思い出の遊園地

 では、死者たちのデータと遭うことができる「ソウルクラウド」の世界の表現はどうか? となるのだが、これがまた微妙と言いたくなるのだから困ったものだ。

 前述のように本作は、人の記憶の中を探索することになる。つまりデータ上の世界でありながら現実世界に沿っており、いかにもデータ上を探索しているという独特な感覚はごく一部にしかない。あるいはデータ化されているからこそできる表現があってもいいはずなのだが、それも見つけることができなかった。

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物語に大きく関わってくる思い出の写真

 そして、物語の根幹も結局のところ人間関係である。道中に落ちている青い「アヒル」を見つけていくと物語が詳しくわかるようになるのだが、むしろわからないほうがホラーとしてはいいかもしれない。更に、話は単純なのに語り口が複雑なのでわかりにくくなっている点も評価しづらすぎる(意図した演出だとしてもだ)。

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最初の思い出をクリアすると追いかけてくるクマちゃん

 なお、ホラーとしても肩透かしを食らってしまった。前述のように本作はビックリ系なのではじめは誰でも驚くだろうが、そのくらいである。ほかの演出は大したものはないどころか笑えるものもある始末で、巨大なテディベアが襲ってくるのは完全にほのぼのシーンだ。

 また、墓地で襲ってくる敵(下記の動画)に関してはただのギャグでしかない。これが近くに数体もいるのだから恐怖も台無しである。



まとめ

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恐怖の対象としても力不足な気がする少女

 よって『マスターリブート』は面白くはなかったわけだが、かといってクソというほどではない。しょうもないアクションやパズルに軽くイラつくが、体裁は整っているし幸いなことに3~4時間で終わる。日本語ローカライズも十分な具合だろう。

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意味深でありながら意味を感じられる気がしない電脳世界

 何より大きな問題なのは、物珍しいはずの設定をゲームとしても世界観としても活かしきれていないということ。仮に技術が進歩して“魂”と言われるようなものがデータ化できる世界ができたとしても、そこは想像より地味な場所なのかもしれない……、とすら思わされる出来であった。
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