毛糸表現を確立した『毛糸のカービィ』は、確かにカービィでありカービィではなかった

“毛糸”シリーズ第一弾を遊ぶ

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『毛糸のカービィ』タイトル画面

 Wii U向けに配信されていたWiiソフト『毛糸のカービィ』をプレイした。本作は『星のカービィ』シリーズの外伝的な作品となるアクション・ゲームである。

 なんと言っても異色なのはその毛糸の世界観だろう。主人公である「カービィ」は毛糸でできた世界にたどり着いてしまい、その世界を救うため「フラッフ王子」と共に冒険の旅に出かけることになるのだが、ここは地面や空、敵や天候まで手芸用品で作り上げられているのだ。物珍しいグラフィック表現であろう。

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フェルトでできた豆の木と、綿でできた雲

 ……と言っても、本作は2010年10月発売のゲームである。同じ方向性で2015年に発売された『ヨッシー ウールワールド』が存在するため、そちらを見ていると画質や毛糸表現で見劣る点はあるかもしれない。なお、開発は両作ともグッド・フィールが担当している。

のんびりと世界を見て回るゲーム

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恐竜の頭を通っていくステージも

 さて、本作のジャンルはアクションと分類されているが、個人的にはアクション・アドベンチャーと表現したい。というのもステージをクリアする過程を楽しむというより、鮮やかな見た目と音楽を楽しむ、つまりのんびりと世界を見て回るようなゲームなのだ

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「メタモル能力」で消防車に変身

 各ステージにはさまざまなギミックが用意されており、毛糸の雨が降ったり、イルカになって高速で泳いだり、雲(綿)の中を掘り進んだり、お菓子やオモチャの世界でほんわかしたり、昼夜が変化するステージでバカンスを楽しんだり、そして『星のカービィ』シリーズのオマージュが盛りだくさんなステージもあったりと、実に仕掛けの種類が豊富だ。

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放置しているとカービィがなわとびしたりと、モーションや表情もかなり細かく作られている

 また、次のステージが解放される際の演出にもこだわられている。恐竜が肉を食べるとステージへの扉に入れるようになったり、雪だるまの毛糸がほつれて温かそうな手袋になってステージへの入り口ができたりと、ひとつひとつの演出が丁寧なのだ。

 『毛糸のカービィ』のアクション部分はだいぶ低難易度である。敵との接触ダメージもなければゲームオーバーもない。仮にトゲなどで攻撃を食らっても、収集品である「ビーズ」を落とすだけ。これは作りこまれた世界をのんびり見るためのシステムだ。

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ケーキやドーナツで構成されたファンシーな世界

 とはいえ、収集要素やハイスコア狙いなども存在してはいる。高難易度のアクションは求めても見返りはないだろうが、そもそも『星のカービィ』シリーズは誰でも遊べるアクションというところから始まった作品であることを忘れてはならない。

 なお、「キルトのまち」で遊べるおまけ要素(部屋の模様替えやミッションなど)は必要なのかどうかよくわからないが、本当にただのオマケだと考えておくといいだろう。

“カービィ”のゲームとして

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スロットマシンで戦うボス「ランプキン」

 本作はもともと『毛糸のフラッフ』として制作されており、途中からキャラクターをカービィに入れ替えたという。にも関わらず、しっかりと『星のカービィ』シリーズ作品になっているところが素晴らしい。

 本作のインタビュー記事「社長が訊く」によると、フラッフからカービィのゲームに変更する際、プロデューサーの蛭子氏は「複雑な気持ちになった」そうである。確かにオリジナル作品が他社のキャラクター作品になってしまうとすれば、これは安易に受け入れられるものではなかろう。

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最後のワールドは懐かしすぎる構成&音楽になっている

 しかしながら、本作は元の作品に対する固執を取り払うことができている。ただカービィの皮を借りるだけではなく、かといってカービィに準じるだけではなく、毛糸の世界という独自の要素を活かしたうえできちんとカービィの世界を作り上げているのだ。

 『毛糸のカービィ』は“カービィ”の新たな世界を見せるゲームということになっているが、そこには確かにフラッフの世界が息づいている。
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