『ポケモン サン・ムーン』なぜ「リーリエ」は最後に○○○○○○へ行くのか?

新キャラ「リーリエ」に関するおはなし

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※本稿は、『ポケットモンスター サン・ムーン』に登場する「リーリエ」というキャラクターに関するコラムである。本作の物語に興味を持った方は読んでいただけると嬉しい。なお、この記事には、『ポケットモンスター サン・ムーン』におけるストーリーのネタバレが含まれているため、まだクリアまでプレイしていない方は読むべきではない。

主人公と「リーリエ」

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 『ポケットモンスター サン・ムーン』は、カントー地方から南国のアローラ地方にやってきた主人公が、ポケモンたちを集めて育てる冒険の旅に出るゲームである。主人公は4つの島を巡り、伝説のポケモンに関する大きな物語に関わりつつ成長していく。

 しかしながら本作には、忘れてはならない人物がいる。それは、金髪のロングヘアーと白い衣装が特徴的な少女「リーリエ」だ。彼女は“もうひとりの主人公”と言っても良いほどの活躍をしていくことになる。

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 リーリエは、何かと付け狙われる「ほしぐもちゃん」という不思議なポケモンを匿っている少女だ。しかし彼女はポケモントレーナーではないため、劇中では主人公に守られ同行する立場にある。

 旅を通じてリーリエは主人公と絆を深め、とある大きな事件をきっかけに、自ら主体的に冒険に挑戦するようになる。つまり、『ポケットモンスター サン・ムーン』は主人公の物語であると同時に、彼女が独り立ちする物語でもあるわけだ。

「リーリエ」というもうひとりの主人公

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 さて、そんなリーリエはエンディングでカントー地方へ旅立つ決意をする。せっかく主人公やその仲間たちと仲良くなったのに別れねばならず、ボーイ・ミーツ・ガールの終わりを迎えるといったところだろうか(いや、主人公が男とは限らないのだが)。

 ここでひとつ気になることがある。なぜリーリエはカントー地方へ行ったのか? もちろん答えは、終わりを迎えるためのシメが必要(ストーリー上の都合)であるからだ。しかし、なぜカントー地方なのか。それはカントー地方に行く意味があるからなのだが、単純にそれだけとは思えない。

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 ところで、アローラ地方が舞台の『ポケットモンスター サン・ムーン』は、『ポケットモンスター』シリーズが20周年を迎える年に出た作品だ。そして、初代となる『ポケットモンスター 赤・緑』の舞台はカントー地方である。そう、この相互関係に意味がないとは思えないのだ。

 主人公は、カントー地方から新たな土地へ進む存在だ。また、一切喋らないことからもプレイヤーの分身に近い。ひたすらに新地方を歩む姿は、新作の『ポケットモンスター』シリーズを遊び続けているプレイヤーそのものと言っても過言ではない。

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 一方でリーリエの行動は逆だ。違う次元から飛び出してくるウルトラビーストや、これまでに見られなかったリージョンフォームなどというポケモンがいるアローラ地方に住んでいたのに、逆に最初の『ポケットモンスター』シリーズの舞台となるカントー地方に行くのである。

 さて、主人公がプレイヤーそのものだとしたら、リーリエはいったいどういう立場を反映したキャラクターなのか? 僕は、彼女が“『ポケットモンスター』シリーズの決意”のようなものではないかと考えている。

少女の背中に映るものとは

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 バーチャルコンソールで配信されている『ポケットモンスター 赤・緑』をプレイした人も多いだろうが、初代はゲームボーイ時代のタイトルだけあって古臭いところが多い。この環境で育成・対戦をしろと言われても困ってしまうだろう。

 ただし、“さまざまなポケモンを集めて育てる”という基本的な部分はこのころからまったく変わっていない。いろいろと便利になり、ほかの要素も増え、ポケモンたちの総数も5倍以上になった。だが、ポケモンたちと旅をするという基礎はそのままなのだ。

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 リーリエ、つまり「新しい存在」が我々の目の前を去りカントー地方に行くということは、『ポケットモンスター』最新作が“オリジンを忘れない”と我々に伝えているかのように見えるのである。どれだけ新しくなり多くの要素が増えたとしても、カントー地方から始まった『ポケットモンスター』シリーズの根底は不変であるということを。

 『ポケットモンスター サン・ムーン』で出会った少女の背中に、この大きなシリーズの強い決意が重なって見えたのである。
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