インディーズゲーム制作者・特別インタビュー 株式会社エインシャント 『まもって騎士』 (後編)

○インディーズゲーム製作者・特別インタビュー 株式会社エインシャント 『まもって騎士』 (前編)はこちら
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/blog-entry-762.html

○『まもって騎士』のゲームプレイについて

──次の質問はプレイ内容に踏み込んでいきます。8BIT風ということで懐かしいんですが、古臭さを感じさせない印象を持ちました。

──オブジェクトがブロック単位に配置されてるようになっているじゃないですか。昔のゲームといえばそうなんでしょうが、あれって視覚的にわかりやすいですよね。
 先日協力プレイをやった際、はじめてやったプレイヤーに「ミノタウロスは2マス分の攻撃をするから気をつけろ」と言うとすぐにわかってくれたんです。例えば3DのFPSとかだと、当たり判定がよくわかんないじゃないですか。こういうのは、ならではのおいしい作りですよね。

和田:やはり2Dゲームの嘘ってあると思うんですよね。そこは生かさなきゃいけないなと思いまして。画面にいる下のほうで倒して飛んだ敵が高い場所でも攻撃に当たる、っていうのは全然嘘だけどやっぱ面白いじゃないですか。そういうのを盛りこんでいきたいというのはありましたね。

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敵が上に飛んでいったらコンボのチャンス! 2Dならではの表現がゲームに深みを与える。

──セーブデータを残さないのも昔らしいですよね。やり切り型のゲームプレイを意識して作られたんですか?

和田:そうですね。普段自分がゲームを遊んでいて長く遊ばせてもらえるのは嬉しいんですけど、やはり時間が経ってから再開しようと思ったときに、途中からやると思い出すことが多いじゃないですか。どこまでやったとか、セーブデータの状況を把握するのも大変だし。あまり残さずに、電源を入れたときにフラットな状態ではじめられたほうが、逆にリピート性が上がってくるんじゃないかと思ったんですね。

 色々意見を頂いた中で、スコアボード的なもの、みんなでデータを共有してランキングが成長していくものを考えていました。ああいうのは面白いんで今後やりたいかなとは思うんですけど、あんまりデータを残して長々と遊ぶようなものは予算などの関係もあったので、スパッと切りました。中身の方だけをちゃんと作ったほうが結果的に面白いものが提供できるかな、と。


──今はストーリーCoopプレイがウリなものが多くて、それをやると相手と進行度合いが違って合わせなければならない苦労を感じたりもしますね。『まもって騎士』みたいに割り切るとそれはそれでやりやすいところがあります。



──ゲームバランスというか、レベルデザインにも相当気を使ってますよね。

和田:そうですね……。うーん、ま、そこそこではあるんですけど。実はそんなでもなかったんですよね、自分としては(笑)

──あれ、そうなんですか?

和田:(調整を)やった期間は一週間くらいだったんです。やっぱり敵キャラがそんなに個性がないというか、絵的・性能的な差はつけたりしたんですけど、やること自体は同じなんですよね。外からじわじわ出てくる敵を倒していくということくらいしかないので、そこにどうやって変化をつけていくか。
 というわけで、序盤はチュートリアル的なステージだったり、三面・四面は穴が開いてるので飛び道具に気をつけてね、だったり、後半になるほど陣地が広がるから全部守りきるのは難しく欲を出すとゲームオーバーになりやすい、みたいに、アイデアをテーマごとに絞っていってステージを作っていきました。


──敵の来襲の緩急がいいですよね。

和田:結構それが難しかったです。マルチプレイになるとあっという間に敵が殲滅されちゃうので、時間で区切ろうとするとなかなか難しい。なので、敵が何匹になるまで待つとか細かく調整して、多人数であっても冗長な感がしないようにしましたね。

 といっても、このゲームを作っているのは基本的に私一人なんですよね。何人か一緒にマルチプレイってなかなかできないんですよ。他の人は他の仕事があるんで。一つのパッドで四人が同時に動くプログラムを書いて、それでバランス調整したりしたんです。
 どっちかっていうと、本気の人が四人で集まったら絶対にもっと簡単になるだろうなと考えつつ、ちょっと難しめに調整しました。


──確かに四人でやったときは楽でした。

和田:四人でやるにしても二人でやるにしても、もう一人がどのくらいの腕になるかってのがあるじゃないですか。持っている人はうまいけれども、そうじゃない人がゲストとして来ると思うんで、その時のバランスはどう作るかと悩んだところがありまして。基本的にはお祭りプレイになると思うんで、冗長にならなければいいかな、と。自分でやった限りでは難しめにするけれども、やりすぎてゲストの人が白けないようなバランスにしました。



──各職業の役割もしっかりと特色がついてますね。

和田:実は特色がついたのは開発の終盤以降だったんですよ。しかも、それまでは召喚魔法が使えるというゲームだったんです。
 というのも、多人数と一人でやったときは当然ゲームバランスが違ってきますよね。だから、一人でやったときは召還魔法を上手く使って、寂しさや忙しさを緩和しようと思ったんです。ただ、その時は飛び道具の替わりに召喚魔法があったんですね。そうすると召喚するものが違うのであればともかく、そうじゃないとキャラごとの差がないじゃないですか。Aボタンの近接攻撃もそこまで差があるわけでもない。これじゃちょっとまずいよなというんで、そっちをやめて飛び道具で差をつけようとしたわけです。
 逆に、飛び道具でようやっと個性が出たというわけなんですよね。


──協力プレイをやるとより個性が際立ってきますよね。サキュバスみたいな足の速い敵をニンジャにまかせるみたいなこともできますし、あとはキャラクター育成によっても仕事を細分化できますね。ニンジャを二人入れてパワー型とデコイ型にしてみたり、遊びの幅が広いと思わされました。

和田:先程の通り、四人プレイはやってないんですよね(笑) うらやましいです。

──(笑) でもそれでちゃんと遊べたんで成功してると思いますよ。

和田:三人まではなんとかやったんですけど、なかなか時間が取れなくて。

──そういえば、協力プレイでは足をひっぱらない仕様になってますよね。

和田:そうですね。ぶつからないし、弾も当たらない。唯一メイジくらいですね、邪魔臭いのは。あとはアマゾンのブーメランも見た目的に邪魔ですよね。
 アマゾンというキャラの性格も協調性がないようにしようと思って、ブーメランを振り回すというものをイメージしてます。



○ゲーム内容の小ネタ

──続いて、ゲーム内容の細かいところを聞かせていただきます。ブログのほうでヒントが出ていましたが、隠しコマンドがありますね。あれはファミコン時代にありがちな裏技だと感じました。

和田:本当はノーヒントにしてもいいくらいなんですけど、さすがにわかんないですよね。

──そうですね、最初「ステージに隠し要素がある」と言われてから、スクリーンショットを一通りとってようやく気づきました。それまでは全然、意識すらしてなくて。

和田:忙しいゲームですもんね。同じマークが2回出るから、気づいてもらえるかなとは思っていたんですが。



──クリアした時にポイントが出て、それによって称号が出るじゃないですか。あれはどういう風に決まって、何種類ほどあるのでしょうか。

和田:ポイントの上半分がプラスで、下がマイナスになってますね。点数がそのまま称号に繋がってます。大体500点刻みで設定してますね。
 上のほうは9999じゃないと出ないので、出せないと思います(笑) 一応設定はしてありますけど、たぶん出ないんじゃないかなあー。


──8100くらいで「これいじょう ネタが でナイト おもう」までは見たんですけど。

和田:あっ、そうですか! それはフルパワーアップにしてやりました?

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8157点で「これいじょう ネタが でナイト おもう」に到達。

──いえ、確か通常のイージーモードでやりましたね。(これは僕の勘違いで、フルパワーモードのHELLで出した記録がこれでした。

和田:おお、出るんだあ(笑)

──フルパワーを使ってもちょっと最高値は難しいと思うんですが……。とにかく狙える高みがあるというというわけですね。

和田:いえ、実はここのバランスだけは取れなかったんですよね。自分でもちょっと匙を投げたというか、とりあえず9999まで入れておけばいいか、くらいの感じがあって……(笑)

──ええっ(笑) 基本的には姫のダメージや死亡カウントを減らせば高くなるんですよね?

和田:そうですね。ただ、自分で何回かやってみて思ったのは、コンボ数が相当でかいですね。コンボ数が確か……×20かな……。何倍になるか忘れちゃいましたね()。とにかくコンボが150とかいけば相当出ますね。

*実際の計算式は以下の通り
トータルラブポイント * 2
現在のラブポイント * 2
最大コンボ数 * 20

死亡数 * -30
姫ダメージ数 * -0.1
バリケード破壊数 * -10

この合計数が称号を決めるポイントとなる。

──じゃあ、協力プレイで超高得点を狙うなんてこともできますね。

和田:四人にするとコンボの繋がり悪くなりますよね。あれどうでした? って聞くのもなんですけど(笑)

──多分、職業バランスによってはいいと思います。アマゾンが二人いるとかなり繋げやすくなるので、受付時間の短さはあのくらいでいいのではないかと。

和田:じゃあ条件付きで大体バランスを取れてるって感じですかね。



──そういえば、お姫様がピンチの時に助けに来てくれる……。

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お姫様を救ってくれる、GM88星雲の彼方からやってきたスーパーヒーロー。それがYK-2マン!

和田:ああ、YK-2マンですね。

──彼はどういった条件で出てきてくれるんですか?

和田:姫の体力が半分以下の時に、彼女が外周にタッチすれば出てきてくれます。YK-2マンが出現できる回数も決まっていて、ゲーム開始時が1回で、ステージを姫がノーダメージでクリアした時にプラス1されます。



──あとはエンディングですね。力の入りようにビックリしました。クリア後のプレイヤーに対するご褒美みたいなところで用意したんでしょうか。

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エンディングは見事なもの! ぜひとも見ておきたい。

和田:このゲーム、そんなにリピート性がない内容だなあと思って。で、もう一回やりたくなる内容って何かなと。もちろん点数とか育て方もあるんですが、「あれをもう一度見たいな」と思ってもらえるといいな、と歌ものにしました。

──エンディングでAボタンを押すと……。

和田:ええ、あれも曲に合わせて押したりしてライブ感を楽しむような、そういう遊びもいいかなと。



──個人的に最も聞きたかったことなんですが、難易度HELLのラスボスについてなんですけど……。

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ここが最終面! 実は難易度HELLのラスボスには秘密が……。

* Easy・Normal・Hardのラスボスはしっかりとらしい強さを持っているのですが、難易度HELLのラスボスだけは、なぜか数発の攻撃で倒せてしまいます。

和田:あ、バグです。

──えええっー! (笑)

和田:すいません(笑)
 テスト段階でリザルトのチェックをしていた時にパラメーターを設定してそのまんまになってました。すいません。パッチがようやく完成しまして、他のバグも出ていたんですが、そこも含めて直ります。


──いやあ、よかった。

和田:逆にああいうのってファミコンっぽくて面白いとも思ったんですよね(笑)

──そう、あの、すごい迷ったんですよ。こういうネタなのか、隠しボスがいるのか、あるいはバグなのか。

和田:ボスの体力は3800なんですけど、38になってましたね(笑)

──ゼロが二つ欠けてたと。道理で2発くらいで死ぬわけですね。



──開発者からのおすすめ縛りプレイ、ブログで公開されていたものもありましたが、他にはありませんか?

和田:そうですね、うーん……特にはないかな。隠しコマンドを使えばパワーアップした状態で遊べるので、ストレス発散にメイジで火まみれにするのが面白いんじゃないかなと。

──個人的に思いついたのが全員同色プレイなんですよね。

和田:同キャラ同色(笑)

──これが協力意識を持たないと難しいんですよね。画面を四分割して担当を決めればいいんですが、ちょっと混ざるともうわかんないっていう。

和田:あ、姫連れ歩きプレイとかもいいかもしれませんね。あえて外に出して。
 他にはコントローラー2つ持っている方限定ではありますが、1人で2人プレイをお勧めします。操作するのは1人で、もう1人は放置すると敵の数だけが増えて難しくなりますね。
 さらにアップデートでHELL複数人プレイがさらに凶悪になります。ぜひ挑戦してみてください。


──それも面白いかもしれませんねー。

和田:あと、最初はサバイバルモードを入れようと思ってたんですよね、次のステージに状態を持ち越すようなものを。そうするとバランスが難しいですし、バリケードコストを高めに設定しないとまずいんですよ。それだと通常プレイの時にちょっと作るってことができなくて、調整が難しい。開発コストもかかっちゃうなあと。ギリギリまで検討してはいたんですけど……。


○プレイヤーの要望

──ちょっと聞き辛いことなんですけど、プレイヤーの要望に対する意見を聞かせていただきます。おそらく散々言われてて話を聞くのもウンザリするくらいだとは思いますが、オンライン協力プレイの要望はものすごい大きいですよね。

和田:ぶっちゃけて言ってしまうと、もしオンライン対応にするとほぼゼロから作り直さなきゃいけないんですよね。作り方からして全然違うので、今すぐにはポンとはできませんが、ご好評いただいたのでこのまま終わらせるのは勿体無いかなとは思っています。何か考えなきゃいけないところではあるんですけど、すぐに出来るものではないですね。

──あとは僕が好きなだけなんですが、実績システムみたいなものが欲しいと思ったところがあります。インディーズゲームでもアワードとかトロフィーという名前でありますよね。

和田:もちろんやろうと思えばできるんですが、どこに尖るかなと考えた結果、今回はわりとバッサリといっちゃいましたね。実績を入れると当然保存してセーブ機能を作らなきゃいけないわけで、そこを切ることで他に時間を回すということを考えました。

──次回作があるとしたらどんな風にする予定でしょうか?

和田:色々考えてはいますが、きっと「そういうの昔あったよね」と思える何かにはなると思います。


○インタビュー読者へのメッセージ

──では、最後にインタビュー読者へのメッセージをお願いします。

和田:今回は本当に自分が作りたいと思うものをそのまま、やりたいほうだいやったところがあるんですね。普段の仕事だと仕様がガチッと決まってて、それにそった形で作っていくという風にするんですけど。さっきもお話しましたように、「こういう仕様だとこうだよね」と割と自分勝手にばっさり切ってですね、好き放題変えていって時間の収まる範囲であれば自由にやらせてもらって、昔作りたかったゲームをそのまま形にしたようなゲームになったんじゃないかなと思います。
 そういった部分で皆さんに共感をいただけたというのがすごく嬉しかったです。また次回も共感を得られるようなものを作りたいと思います。

 絵柄にしても、私は初期の『ファイナルファンタジー』をイメージして作っていたんですね。やはりファミコンで自分が遊んでいたときに一番「これがすげえ」と思ったわけです。当時はまだ四角がわかりやすい中で、すごくやわらかいシームレスなラインで描かれた背景、キャラの落としどころも丁寧で、ああいうかわいらしいキャラなのにかっこいい敵と戦っているミスマッチ感。それが妙にカッコよく感じてしまうような、ああいうのにすごくシビれました。そのキャラでアクションをしたいというのを当時、自分の中で思っていたんです。大人になってゲームの仕事に就いたときはもうファミコンはなかったのでそういう仕事はできなかったんですけど、それが今こういう形でファミコンのようなゲームを作れるようになったのは嬉しかったですね。

 ……全然読者のための話ではなかったですね(笑)


──いえいえ。

和田:ええと、他がやれないことをやっていこうと思います。ちょっとキワモノっぽいものかもしれませんが、今までにないものを提供できればと思いますので、応援いただければと思います。

──ありがとうございました。

bbox_mamotte.jpg『まもって騎士』 株式会社エインシャント

・公式サイト
http://www.ancient.co.jp/~game/mamotte_knight/
・Xbox.com詳細ページ
http://marketplace.xbox.com/ja-JP/games/media/66acd000-77fe-1000-9115-d802585504f8/
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