Xbox360 IndieGamesで石を拾う 02 【Block Fight!!】

 「IndieGamesで石を拾う」という企画を開始し、前回は情けない作品を取り上げた。今回は混沌としか呼べないタイトルを紹介させていただく。オムツの準備はできただろうか?


Block Fight!!

 今回は2009年12月21日に配信された『Block Fight!!』を取り上げる。クリエイターはCypherroo。値段は80MSP。
 年末にこんなものが配信されていただなんて。皆の休日を破壊しようと試みたのだろうか。

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勘弁してくれ! といわずにはいられないパッケージ画像。
 まず、このパッケージ画像を見た時点で眩暈がしてくるだろう。#FF0000の目が痛くなるような赤に、直線ツールだけで描いたと思われる題字。いや、もはやこれは字ではない。偶然そこに線が何本か転がっていて、文字っぽく見えるだけだ。錯覚だ。勘違いだ。

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簡素とかそういうレベルではないタイトル画面
 ソフト(notゲーム)を起動すると、後頭部を鉄パイプで殴られたような衝撃が襲ってくる。「Press Start」とだけ書かれている、夢も希望もまともな論理も、楽しめそうな気配もない画面が出てきてしまう。

 漫画に対して「白い」と揶揄する言い方がある。コマ内の描き込みが少なく、結果的に空白の部分が多くなっていて手抜きに見える状態のことを白いと言うのだ。この作品はそれを見事に体現しているといえるだろう。
 とある漫画の見開きページがまっさらで驚いたことがあったが、それに匹敵するタイトル画面である。とはいえ、このくらいの意外性は覚悟していた。さあスタートボタンを押そう。

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ふざけんじゃねーよ
 次はなんと、「Press A」と出た。思わず、ずっこける。

 なぜゲームにたどり着くまでに二度手間なのか、普通はルール説明やモード選択が出るのではないか、つーかまた白いよ! という単純な疑問が出るだけではなく、そもそもこの画面は必要なのか、そろそろスクリーンショットを撮る必要性もなくね!? とすら思ってしまう。

いよいよ本質へ。

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ゲームっぽい画面
 落ち着いて深呼吸をし、冷たい水を飲んで顔を洗う。そしてからAボタンを押すと、ゲームが始まった。ふう、一安心。

 しかし、何をしていいのかさっぱりわからない。やはりBGMもSEもないし、見た目もしょっぱい。そもそもルール説明がないのだ。操作だってわからない。わかるのは「Score」、「Health」、「Lives」、「Speed」という要素があるということと、ブロックが2つあるということだけ。
 とにかく適当にコントローラーをいじって、手探りにどうやってブロックをファイトさせればいいか探る。


 さて、弄っているといくつか操作やルールについてわかってきた。それを箇条書きにしていこう。

[操作]
○ 十字キーの左右で黒い四角が左右に動く
○ 十字キーの上下で赤い四角が上下に動く

[ルール]
○ 赤と黒の四角をぶつけると「Score」が6点増えて、「Health」が2点減る。

 なるほど、なんとなく理解できてきた。おそらく、ブロックをぶつけて「Score」を稼ぎつつも、うまく「Health」を減らさないようにするのだろう。そして、「Health」が0になると「Lives」というもの(残機)が1つ減る。最終的に「Lives」がなくなるまでにどれだけスコアを稼げるか競う、ということではないのか。

 だが、赤も黒も自分で操作するわけである。どのあたりがファイトなのかさっぱりわからない。そして、どう頑張ってぶつけ方を変えようとも、「Score」の増え方と「Health」の減り方は一定だ。これでは誰がやっても同じ結果になる。ついでに、当たり前だがさっぱり面白くない。

 しかし、調査を進めていく上で、これ以上に衝撃的な秘密にも気づいてしまう。

[ヘルス増減]
○ LTでなぜか「Health」が減り、0になるとLivesが1減る
○ RTで無条件に「Health」が100まで増えてしまう

[新ルール]
○ 「Lives」は1減ると「Score」をちょっと減らして、「Health」を100にする。だが、「Lives」は0になっても3に戻る

 ちょっと待て。「Health」はなぜかトリガーで自由に操作できるし、「Lives」はなくなってもほとんど痛手がない。どういうことだ。
 これじゃあルールとして成立していないし、回復できるわけだから永遠に終わらないじゃないか。まさか、前回の作品みたいに延々とスコアを稼ぎ続けるだけなのか。これではまるで溶岩に種を撒いているようなものじゃないか。

 おまけに、「Health」は2ずつ減るからトリガーでうまく奇数にしてやると、0を飛び越えてマイナスになってしまい「Lives」が減らないという状況になる。これはバグかと思われるが、そもそもこのゲームの動作自体がどう考えても正常ではないので、ガン患者の集団に放り込まれた花粉症の患者くらいどうでもいい。

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稼いだのはいいが、意味はあるのか。
 とりあえず832点まで稼いだが、何かないのか。イベントとかクリアなんて大層なものはいいから、せめて効果音の一つや二つを鳴らして欲しいと思わされる。ここでは効果音の一つですら、砂漠に降る一滴の雨である。

 ところが、コントローラーを必要以上にいじっていると、褒美が欲しいなどと考えていた自分がまだ甘いことを教えられる。

[神々の黄昏]
RS押し込みでスコアがガクンと減る

 腹が割けて腸が飛び出るくらいのショックを食らった。思う存分、理解不能な思いを叫んでもらってかまわない。これが『Block Fight!!』の真価である。

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スコアが1に。そして謎の「Speed」増加。

 確かにスコアを稼ぐだけでは意味がわからないとはいった。だからって減らせるってどういうことだよ! 「こんなに訳のわからないものをやらねばならないのか」と悩んでいた人を、いっそのことぶっ殺すくらいに清々しく解決してくれる機能だ。これこそが終末の日というものである。
 いやふざけんなよ。僕の800点を返せ。いややっぱいらない。

 そして、なぜか増える「Speed」。赤いほうも黒いほうも1点増えて、6になった。だからなんだ。もはやルールがわからないとか、楽しくないとか、「作者の意図がプレイヤーに伝わってない」とか、そういうレベルの話ではない。
 そこにあるのは、靄にかかった謎だけだ。『Block Fight!!』とはいったい何なのだ!?

さっぱりわからない・理解させる気がない

 もはや、「プレイヤーに何かをする場を与える」という前提すらぶっ壊れてしまっている。せめてスコアを稼ぐという意味さえあれば、まだ何をしたかったがわかる。けれども、スコアが減らせるのだからそうですらない。つまり、もう、完全に、解釈不能の支離滅裂な混沌でしかない。

 製作者がどういう意図で遊んでもらおうとしたのか、いやそもそもこれはゲームではないので遊ぶものではないのか? いやいや、さすがに何かの計算ソフトや実用ソフトとも思えない。いやいやいや、そもそも常人に意味を理解できるのか? ……もしや、これは宇宙人が我々に贈ったメッセージなのではないか? などと脳みそが破裂しそうなくらいに混乱する。これを真っ当に受け止めるということはつまり、キチガイの演説を丹念に聴くようなものである。


 あえて答えを出してみるとするならば、「”デバッグコマンドの残った作りかけな出来損ないゲーム”をウケ狙いとしてとりあえず出してみた」、という考えが妥当であろう。だが、こんなものを目の前に出されて笑える人がいるのだろうか? 何がどうなっているか皆目わからず、むしろ恐怖すら覚えてしまうのではないか。そして、作りかけのものを配信できてしまうという事実も恐ろしい。

 あるいは、僕がルールを良くわかっていないだけかもしれない。だから、理解さえすればすごく楽しいものだという可能性もある。
 だがちょっと待て。説明もしてないのにわかれというのか。それにエスパー能力を駆使して理解をしたところで、ちゃんと相応のものを用意しているのか。いーや、準備されていないね! コーラを飲めばゲップが出るくらい、上島竜兵が熱湯風呂に入るくらいに、そうでないことは確実だろう。



 Xbox360インディーズゲームにも不可解な作品は沢山あるが、その中でも抜きん出てクレイジー、いや、本当に頭がおかしいのは『Block Fight!!』だけであろう。まだ意図が掴めるだけ、『Coastal Defence』のほうがマシだ。
 こんな作品が、世界で販売されている家庭用ゲーム機でプレイできるという素晴らしさに、思わず涙、ほろり。

余談を少し

 ちなみに、ほぼ同名の『Block Fight!』(感嘆符が1つ少ない)なる作品もあるが、こちらはまだゲームとして成り立っているので安心して遊んで欲しい。『Block Fight!!』と同じ扱いをされてしまうのは、あまりに不名誉だ。
 とはいえ、感嘆符が1個のほうもさっぱり面白くないので気をつけて欲しい。インディーズゲームは常に危険と隣り合わせというか、基本的に足元には踏まざるを得ないほど地雷が埋まっている。だから、誰かが爆発した跡を歩く他の安全策はない。


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Block Fight!! 80マイクロソフトポイント Xbox.com詳細ページ
クリエイター:Cypherroo ジャンル: その他 開始日 2009/12/21

 何をさせたいかわからない、謎の作品。
 赤と黒のブロックを操作して……どうするんだ?
 ライフは回復しほうだい、ぶつけてスコアを稼いでもRSを押し込むと点数が減ってしまう、そもそもルール説明がない。本気で頭がおかしい。
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