ラブプラス+ 18 「キミはだれだい」

待ち合わせ場所で会ったのは……

 旅行の準備も済ませ、否が応にも気がはやるわけだが、実際に出かけるまではまだ2週間ほどある。さすがにそれまで会わないというのも何なので、次の日曜日は愛花と遊園地へ行くことにした。

 ところで僕は待ち合わせというものがなかなか好きである。ぼーっと無駄な時間を潰している瞬間というのは、毛嫌いする人もいるが、そう悪いものではないと思うのだ。むしろそういう時にこそよいアイデアが浮かんだり、あるいは今まで気づかなかったことを知ることができる。頭を使おうと思っていないからこそ、視野が広くなり良い結果をもたらす、という感じだろうか。
 そんなわけで友達を待つにしても、早めに待ち合わせ場所へついてぼんやりしているのが楽しい。

 ましてや待つ人がカノジョとなれば、喜びも一入である。さて、愛花はいつ頃来るかな……とぼさっとしていると、見覚えのない人から声をかけられた。だがしかし、その声は明らかに耳に馴染む音をしていて、呼んでいる名前は明らかに僕のもので。

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どちらさまですか?
 一瞬、誰かと思った。しかし声や顔は明らかに僕のカノジョであり、いや、うん、あの子じゃなくてそうだよな……と自分に何度か確認してしまう。話をしてみるに、やはり愛花であることに違いは無い。

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やはり愛花だ
 どうやら髪型と服装を変えてきたようで、似合ってるかどうか僕に聞いてきた。しかし、似合ってるとかそういう以前にちょっと面を食らってしまう。昨日学校で会ったときはいつも通りだったのに、今はまったく雰囲気が違っていて、動揺するなというほうが難しいだろう。

 でも、よく見てみるとかわいい……というかポニテより似合っているんじゃないか。カチューシャのせいか、以前より幼くなったような印象を受けるけれども、これはこれでいい。抱きしめて頭をなでなでしたくなるような庇護欲に駆られる。
 「いいんじゃないかな」と言うと、愛花は喜んでくれた。僕の好みを考えてここまでしてくれたのだろうか。なんとも驚きを隠せないが、それにしても身に余る光栄だ。

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近くで見てもイイ
 そういえば、僕が小学校のころ好きだった女の子は、今の愛花みたいにカチューシャが似合う子だったなァ……。なんだかその子の面影を思い出して、言葉にできない妙な感情が湧き立っているような。
 こんなことを愛花に知られたら怒られてしまうかもしれない。今は、目の前にいる彼女がかわいい、それだけでいいだろう。

不純な僕とそうでない彼女

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そんなこんなで到着
 さて、目的である遊園地に到着。デートの定番ともいえる場所だが、今考えてみるとこの選択はちょっと子供っぽかったかもしれない。愛花はこういう場所を好んでくれるだろうか。

 園内の案内図を眺めつつ、様々なアトラクションのどれから手をつければいいか考えてみる。観覧車にお化け屋敷、そして定番のジェットコースター……。
 うーん、この中で良さそうなのはお化け屋敷だろうか。ひょっとして、抱きついてくれちゃったりするベタなことがあるんじゃないすか? いやまさかそんなベタな。しかし、こういうフリをした場合って、大抵あるよね! ということで意気込んでいざ、恐怖の館へ向かう。

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愛花の感想はあっさり
 「もう少し怖くていいのにな。仕掛けがありそうな場所も人が隠れてそうな場所もわかっちゃうし」とは、彼女の言葉。
 ええと、愛花の反応はものすごーく期待はずれというか、いや、ある意味ではこういうことを言う子なのだけれども。ええ、僕が悪うござんした。

 愛花は「ちょっと損してるよね? 素直に楽しめる人がうらやましい」とまで言っていた。うーん、聡明な彼女には、こういう子供騙しはちょっとバカバカしく見えてしまうのだろう。
 無駄に知識をつけてしまうと物が楽しめなくなるなんてのはよくある話だ。僕は手塚治虫の『BLACKJACK』が好きなのだが、あれはきっと医者が読んだら実に荒唐無稽な作品に思えるだろう。あるいは、ビデオゲームなんかでも、何かの劣化パクり商品が出ることがある。ゲーマーはそういう作品をダメだとバッサリ切るわけだが、何も知らない人にとっては案外楽しめる場合もあるわけだ。
 知識や経験は常に良いものになるわけでなくて、むしろメガネを曇らせることにだってなる。今回は、遊園地、しかもお化け屋敷なんて場所を選んでしまったのがまずかった。愛花のことをもっと考えてあげなければなァ。

 とりあえず次は観覧車に乗ってみることに。愛花は「あんまり、気が進まないけど」と言っている。おお、ひょっとして、今度こそ高いところが怖いから抱きついてくる、みたいな話か。いやまさかそんなベタな。しかし、こういうフリをした場合って……。

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観覧車は楽しいんだけど
 やはり愛花は平然とした顔。ええと、わかっておりました。高いところで取り乱すような子じゃないことはわかっていたよチクショウ。

 そんな不純すぎることを考えている僕をおかまいなしに、愛花は「突然観覧車が止まっちゃったらどうする? しかも、助けも中々来ない場合」なんて話を振ってくれた。僕は、じゃあ愛花の不安を無くすために抱きしめちゃいますよ? などとほざいた。すると彼女、何を勘違いしたのか「そんなカッコいいこといっていいの?」と好意的に受け取ってくれたのである。
 ……ああ、なんかすいません。都合よく抱きつくことばかり考えていた自分が情けなくなってきた。

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寂しいお別れ
 しばらく遊園地をぶらぶらして、そろそろお別れの時間。駅前の目につかない場所でスキンシップをし、その後は手を繋いで家まで送っていくいつも通りの展開。ちょっと寂しいが、いつまでも一緒にいるわけにはいかないだろう。

 家の前まで愛花を送り、手を振ってお別れ。さて自分も家に戻ろうか……などと思っていたら、なんだか彼女、僕のほうまで戻ってきた。何でも忘れ物をしたとか。何を忘れたのかと問うと、彼女は顔を近づけてきて……。嬉しいんだけど、これじゃ余計に帰るのが辛くなるじゃあないか、まったく。

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学校にて
 翌日、学校で制服姿の愛花と会う。うん、髪型と服のせいか、なんだか中学生に見えるぞ。でも、新鮮なのはいいなあ。色んな姿の彼女をじっと眺めていたい。
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