屍病汚染 DEAD RISING 1~3話

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屍病汚染 DEAD RISING

 戦場カメラマンがゾンビをぶち殺しまくる、『デッドライジング』の続編、『デッドライジング2』がそろそろ発売となる(予定日は2010年9月30日とのこと)。それに先駆け、稲船敬二氏が監督として、『屍病汚染 DEAD RISING』なるゲームのプロモーション映画を撮ることになった。

『屍病汚染 DEAD RISING』
http://www.capcom.co.jp/movie/deadrising/

 この作品は、XboxLiveArcadeやネットで配信される。マーケットプレイスでは既に、1~3話まで(全8話)が公開されていたので、早速ダウンロードして見てみることにした。

あらすじ

 まずは簡単なあらすじを記しておこう。当然のことながらネタバレなので、未見の方は読むのを避けたほうが無難である。

 舞台は日本。なぜか街中に死体がゾンビになるウィルスが蔓延し、主人公ジョージとその兄であるシンは安全な避難所を探すために家を脱出する。しかし、それはうまくいかない。幾多もの避難所から拒絶され、無駄に時間が過ぎ去ることになってしまう。結局、どこぞの倉庫へ入り込んだのだが、そこには拳銃を持った柄の悪い連中が仕切っており、二人はゾンビより恐ろしい危機に巻き込まれていく……というような話である。

 この作品、現在と過去の視点が何度も入れ替わって話が進んでいく。そのため一番最初は、作業着の男達に殴られている兄を見ている主人公、という場面から始まる。この時は、主人公であるジョージの主観視点で映像は進んでいく。逆に過去編は通常のカメラワークなので、その切り替えで時間の違いを理解しろということなのだろう。

 三話までは、主人公達が倉庫に来るまでの経緯、柄の悪い作業着の連中との戦い、そして兄がそいつらに殺される場面までが描かれている。こう書くとゾンビ映画らしさがまったくないように思えるが、実際にそうなのだから笑うしかない。

 もちろん、腐った元人間がまったく出ないというわけでなく、一瞬の隙を突いて悪役から逃げるときに出てきたりするわけだ。とはいえ、はっきりいって端役と言ってよく、ゾンビが存在するのは「夜の間は外に出られない」という理由付けにしかなっていない。

 これは『デッドライジング』という作品が、ゾンビ自体の恐怖を描いた作品ではないことが理由であろう。むしろ、極限状態で人殺しなどの無茶苦茶をしてしまう、サイコという人間の恐ろしさを描いた話なのだから、なるほど確かに映画化するのであれば、ゾンビを映すよりは人間劇を撮ったほうがいいだろう。

ゾ、ゾンビ映画?

 B級・C級映画を狙っているらしく、ゾンビ、話の展開、用意されたセット、役者からも何ともいえないしょっぱさを感じ取れる。このあたりは狙い通りの出来になっているだろう。しかも、主人公が作業着の男達に殴られたり、兄が殺されるシーンは、それなりに恐怖感があるように描写できている。人間の恐ろしさを描くというのも、そこそこ出来ているのではないだろうか。

 ……と言いたいところなのだが、この作品、観ても何を伝えたいのかさっぱり伝わってこない。それはやはり、タイトルが『屍病汚染』だからだろう。

 ゾンビが出てくると見せかけて、その実は人間を描いた作品。このコンセプト自体に問題はないが、いくらなんでもほとんどゾンビが出てこないとなると、いささか看板に偽りアリというか、羊頭狗肉という感じにならざるを得ない。ゲーム版『デッドライジング』はこのあたりをうまく処理しており、最初はゾンビをたくさん描いてから、それで狂ってしまった人間の恐ろしさへと話をシフトさせていった。逆に言えば、こういう手順を踏まないと、単に、柄の悪い人間が出てきて主人公を殴っただけのリンチ映画にしかなるまい。

 正直なところ、ここまでは別にゾンビ映画でなくてもいいのだ。例えばこれが無人島で生き残らなければならない青年二人が主人公で、悪役をそこにほおりこむ、というのでもいい。あるいは、大規模な戦争で少人数が生き残って、食料を奪い合うようになってしまった、なんて話でもいいだろう。

 ついでに、極限状態でイカれてしまった人間を描く、という重要な部分がショボいから弱る。出てくるチンピラどもはいかにも安っぽくて、アホらしい。この程度の連中であれば、別に極限状態じゃなくてもどーしよーもない犯罪をおかしそうである。ゲーム本編では、「普段は心優しいはずのピエロが、ゾンビに食われる子供達を見て狂ってしまった」とか、「ベトナム帰りの軍人が、ゾンビ黙示録という惨劇を見て当時の記憶が蘇り、我を忘れて人殺しをはじめてしまった」なんていう、ちゃんとした理由付けと悲しいバックストーリーがあるのだ。しかしこの映画にそれはなく、単なるチンピラが調子に乗っているだけという情けない内容。いくらB級・C級であろうとも、こういう要の部分はしっかりと描写せねば見所になりえないだろう。

 そんなわけで、はっきりいってコンセプトを優先しすぎて何の映画だかわけのわからんことになっている。しかも、貶しまくって笑えるほどB級なわけでもないし、かといって真面目に見るには出来が悪すぎる、といった内容であった。とにかくどうコメントしたものか、困惑することしきり。例えるならば、洋食店に行ってカレーライスを頼んだら、チャーハンが出てきたようなものである。それも、特筆してうまいわけではないし、かといって怒るほどまずくない。どんな表情をして食えばいいのやら。

 とりあえず、稲船監督、動画の最初と最後に出てきてコメントを挟むのはやめて! 自虐ギャグにしても真面目に語るにしても、この内容じゃわざわざ恥をかくために出てきているとしか思えないのである。そして、なぜか第三者である僕が、恥ずかしくて喉をかきむしりたくなる。とにかく今すぐやめて!
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コメント

思わず拍手ボタンを3回押したら「拍手済みです」と言われてしまいました。
何か監督が映画撮りたかっただけとしか思えないんですよね。毎回出て来ちゃうところからしても。

>普段は心優しいはずのピエロが
確かにそうでしたね。デッドラ1、なんて素晴らしいゲームなんだ。

ってアレーっ!
いつの間にかリンク頂いてたんですね!今気付きましたすみません、そしてありがとうございます!こちらからもリンクさせて頂きますー。

とりあえず4話から大量にゾンビが出てきそうだし、まだなんともいえないのですが、少なくとも掴みはなかなか悪いですねー。
『デッドライジング』という名を冠するからには、うまくまとめて欲しいところです。

あ、なんかリンクについて気を使わせてすいません。ブックマーク代わりに追加させてもらいました。

いえいえ嬉しいです!
更新しないブログで申し訳ない限りですがよろしくお願いします。
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