radiangames Fluid レビュー

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radiangames Fluid

 『radiangames Fluid』は、radiangames開発のアクションゲーム。radiangamesシリーズの第四弾で、2010年10月22日に360インディーズゲームで配信が開始された。

 ステージ上に配置された丸をすばやく集めていくというゲーム。今までのシリーズとは違い、シューティングゲームではないのが最大の特徴。

 ゲーム内容の詳細については、特集記事を参照されたし。

どこかに感じる足りない印象

 技術を磨いてタイムを競っていくレースゲームと違い、用意された解法を探すアクションゲームと言ったほうが正確な内容だが、それはそれで面白い。最も良い評価のメダルを得るためにどうやってロスを減らすルートを取るか。そして、如何にミスをしないで行くか。これらを考え遂行し、成功した時に楽しみが産まれるようになっている。

 ただし、全35ステージをクリアしても劇的な面白さは感じられないだろう。そこそこ楽しいことは確かなのだが、明らかに盛り上がりが欠けるため強く感動することはない。そしてこれは、ダウンロード販売の小さなゲームだから致し方ないということではない。小さいなら小さいなりに満足させる、ということにすら達していないのだ。

 確かに、いつものradiangamesのように丁寧で綺麗な仕事をしている。しかし、やはり明確に足りないものがある。それは、ボリュームだ。今までのシリーズも遊びきったあとはお腹がいっぱいになったことがないのだが、どうもその問題が今回も露呈したように思える。

事足りるボリュームとは何か?

 さて、ここで事足りるゲームボリュームというものを考えてみよう。パッケージソフト、ダウンロードソフト、携帯アプリなどさまざまなビデオゲームが存在しているが、十分な内容量とは一体どのくらいだろうか? おそらく制作側にはプレイ時間の目安こそあるのだろうが、実際に何時間遊べなければならないという明確な規定はないだろう。

 ましてや、ゲームの種類によって答えは様々になるわけだ。どれだけ遊んでも満足することがなかったり、あるいは少し遊んだだけで満足することがある。例えば、MMOは何千時間も遊ぶプレイヤーがいるし、逆に、一時間だけ触って満足するダウンロード販売のゲームだってあるだろう。ではなぜ、こうもゲームによってボリュームというものが大きく違うのか。それは、ゲームを作る際に優先して考えられるのが構成だからなのだろう。

 もし、100時間遊べるがつまらないRPGと、10時間しか遊べないがすごく楽しいRPGがあったら、どちらが評価されるか。とにかく楽しい体験をしたいと考えているのなら、後者のほうがより楽しく、より満足できるはずだろう。しかし、ゲームにひたすら時間つぶしというものを求めるならば、前者のほうが良いと感じるはずだ。

 つまり、遊ばせ方によって構成が変わり、結果としてプレイ時間が変化するのである。濃密な内容にしたければ、プレイ時間は結果として短くなる。逆に、薄いものを多く入れるのであれば、プレイ時間は長くなる、というわけである。食事で考えれば、一口で飽きるほど濃いチョコレートと、薄味のスープのようなものか。前者は一欠けで足りるだろうが、後者はある程度量がならなけば話にならないだろう。

 結局、いかに面白さ(つまり、プレイの濃さや、あるいは長く遊べるかということ)を見せ付けるかが重要であって、とにかく長ければ、あるいは短ければいいというわけではない。作品の構成に沿った量が必要であって、だからこそ、一時間で濃く満足できるゲームもあれば、何千時間遊んでもまだやりたりない作品があるというわけである。むしろ、プレイ時間というものは、その構成を作っていく上で必要な材料なのだろう。その構成さえきちんと表現できていれば、結果的なプレイ時間が長かろうと短かろうと満足できるはずである。

 さて、ではこの「Fluid」はどうか。この作品は全ステージをクリアするまでの流れが決まっているアクションゲームなわけで、長いプレイ時間というのは必要ない。故に、全35ステージでもまったく問題ないだろう。だが、それでも満足感は薄い。となると、この作品で得られる体験が薄っぺらいと考えるべきだ。

 この作品、確かにステージの作りは丁寧だし、どこを見てもこれといって手を抜いている印象は持たない。だが、やはりクリアまでを見てしまうと、ボスも出なければ大きく仕掛けが変化するステージもなく、全体の展開自体が非常に単調で、大きく盛り上がる場面が明らかに足りていないのである。それ故に、なんとなく遊んでいるだけでゲームが終わってしまい、楽しかったけれども物足りなさを感じ、面白さが尻すぼみな気すらしてくるのだ。

 これと同じような印象を、「Crossfire」でも「Inferno」でも感じた。どうにもこのシリーズ、うまく場をドカンと盛り上げることが苦手なようだ。一応は単純にさせないような仕掛けをとってはいるものの、それでも全体の作りが平らすぎる。これでは山場が存在せず、small games, big funというより、small games, small funと言ったほうが相応しい内容になってしまっているのだ。

とはいえ質は良いといえば良いのだ

 しかし、こうして厳しい指摘をしたとしても、この「Fluid」が良く出来た作品であることに違いはない。「Inferno」の時にも書いたが、物足りなさこそあるものの、そして今回はグラフィックの使いまわしもかなり目立つものの、やはり360インディーズゲームではトップレベルに位置する出来だろう。なんだか消極的な褒め方なような気がするが、そもそも、まともに遊べるだけで上出来といえるレベルなのが360インディーズゲームというものである。

 そして、単に僕が欲深なだけで、80マイクロソフトポイント(約100円)ならこれで満足すべきなのかもしれない。だが、それをキツい言葉で言い換えるなら、所詮100円ならこんなものなのだろう、ということでもある。

 ただし、だからといってこの作品がひどいという話にはならないだろう。360インディーズゲームでは魅力的であるし、安さに価値を見出す人もいるはずだ。とりあえず、余ったポイントで気軽に遊びたい時は選択肢にあがる作品と言えよう。
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