The TEMPURA of the Dead レビュー

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The TEMPURA of the Dead

 『The TEMPURA of the Dead』は、ハチビッツファナティクス開発の横スクロールジャンプアクション。2010年11月9日に360インディーズゲームで配信が開始された。値段は240マイクロソフトポイント。

 8bit風のグラフィックと音楽、そして作中に含まれるジョークが見所である。尚、アクションゲームツクールでの製作とのこと。

 ゲーム内容の詳細については、特集記事を参照されたし。

笑えるが、長く遊んでいると笑えない

 このゲームを評するのは簡単である。作中に含まれているジョークに重きを置けば、良し。アクションゲームと考えることに重きを置けば、悪し。この一行で事足りるだろう。

 特集記事でも触れたが、ズンビーを天麩羅にしてカラッと揚げて成仏させたり、ゲイツなる登場人物が出てくるといった点は素直に面白い。ドット絵も丁寧に描かれており、好感を持てるだろう。

 ただし、アクションゲームとしては非常に難点が多い。序盤こそオープニングの勢いを持って楽しみながら遊べるが、後半になると悪い点ばかり目立ってくるためプレイするのが辛くなることすらある。デモやムービーといった類は、エンディングまで一切流れないのも辛いか。

アクションゲームとしての欠点

 さて、ではこの作品のアクション的な欠点を挙げていこう。なかなか数が多いので、これが弱るのである。

 まずは、操作性が若干悪いということ。概ね問題ないのだが、ボタンを押してもジャンプしない、あるいは攻撃が出ないということが稀に存在する。どうも攻撃とジャンプを同時に押すとどちらかがかき消されたり、もしくは足場が狭い場所で移動しながらジャンプをすると認識されにくい、といったことがあるようだ。

 続いて、敵にハメ殺しされることがあるということ。このゲームは無敵時間がなんだか妙で、ジャンプでキャンセルすることが可能である。それはいいのだが、ジャンプ以外でも無敵時間が強制的に終わることが存在する。それは、連続で敵の攻撃を受けた場合。つまり、ダメージを受けてからもダメージ源に接触している状態になると、そのまま連続で食らい続けて無条件で死んでしまうのである。この2つは、アクションゲームにおいて、些細だが大きな問題といえよう。

 もとより人間というものは、多くの人がその手足を自由に動かせるのである。この自由を奪われてしまうと、本人にとっては大きなストレスとなるだろう。これはビデオゲームにおいても同じで、コントローラーを使ってプレイヤーキャラを思い通りに動かせないと、似たようにストレスを感じてしまうわけだ。

 コントローラーを操作し、画面のキャラクターがきちんと動く。単純な話だが、ことゲームに関してこれはあまりにも難しい。そして、この作品では、ジャンプしたのに認識されなかった、操作しても何も出来ずに殺されてしまった、ということが起こるのである。常に起こることではないが、アクションゲームにおいては、このような些細なことで気分が悪くなってしまうことがある。このことは、いくらかゲームを遊んだことのあるプレイヤーであればご存知であろう。

 更にこれだけではなく、大きな問題が存在している。それは、メインとも言える「TEMPURAフィーバー」の意味があまりないということ。確かにこのシステム、残機(兼お金)がたくさん稼げるということで面白く見えるのだが、うまく作用しているかというと疑わしいのだ。

 何よりの問題は、コンボは続けてもメリットが少ないということだ。序盤の雑魚はいくらやっても1ずつしか入らないし、後半に出る強めの雑魚は一匹だけでもそれなりに入るのである。そして、感染源である敵は、フィーバー状態でなくともポイントが入る(しかも、こいつのほうがポイントが多い)。要するに、コンボなどあってないが如し。稼ぎたい時にちょろっとだけやればいいのだ。続けるのはむやみに難易度を上げるだけである。

 この点に関しては、残念極まりない。ウリである要素が機能不全を起こしているわけで、勿体無いというべきだろう。TEMPURAフィーバーを押しているというにも関わらず、別にそんなことはしなくていい、むしろ没個性的なアクションゲームと化すわけだ。

 そして、悪い点を書くのもいい加減にしたいのだが、これ以上の悪性腫瘍が存在している。それは、ステージ構成がまっったくもって面白くないということ。特に後半は、強引に引き伸ばしたようなステージばかりである。

 この作品では、感染源である敵をすべて倒せばステージクリアとなる。序盤は感染源が3匹程度で、回復アイテムが豊富。中盤になるとステージが長くなり、感染源は6匹程度に増え、回復アイテムがやや減る。終盤は更にステージが長くなり、感染源が更に増え、回復アイテムがほぼなく……、といった作りになる。これはもう、ダルいとしか言いようがないだろう。

 フルマラソンで例えるのであれば、これはコースの距離をとにかく伸ばし続けるようなものである。確かにそうすれば難易度は上がるし、ついでに途中の給水所を無くせば、完走は更に難しくなるだろう。しかしこのコース、フルマラソンとしてはアリだろうか? 答えは聞くまでもないだろう。確かに難易度を上げる手段としてはありうるが、いくらなんでもこれはやり過ぎである。敵の種類は割と多いゲームというのに、後半はとにかく長くて面倒くさいという感想しか出なかった。そのくらい退屈な構成である。

 ただし、すべてがこういったステージというわけではなく、1箇所だけはいくらか趣向を凝らしているのが感じられた。肉片が落ちてくる階段を上るステージは、いくらか風変わりで面白く感じられ、記憶に留まった。換言すれば、他のステージはどれも似たような悪い印象を持ってしまったということなのだが。

 これだけ色々とアクション面の不満も書いたが、やはり良い点も存在しているのである。店のアイテムを買う・買わないで初心者から上級者まで難易度を選べる点や、ボスにしっかりとパターンが用意されている部分などは、アクションゲームの醍醐味を味わえる要素であろう。しかし、肝心のそれを駆使するステージ自体が面白くなければ、宝の持ち腐れというわけであって……。なんとも困ったものである。

 また、いくつかのバグにも遭遇した。画面外でグレネードランチャーを撃つと弾が出なくなったり、キャラクター切り替え時のジャンプで穴に落ちると死ななかったりするものがそれだ。これ自体は些細なことであるが、単調なステージ構成とも合わさって、泣きっ面に蜂というか、弱り目に祟り目といった感じで、遊ぶ気力が恐ろしく削られた。

この作品をどう捕らえるか

 難点ばかり多く挙げることになってしまったが、それでもやはり魅力はあるのだ。前述のように、笑える部分がそれに当たるだろう。

 しかしこの作品、それならばアクションゲームとしての要素はいらなかったのではないだろうか。もしくは、おまけ程度にアクションで遊ばせておくか、あるいはボリュームが少なくなろうとも、厳選した数ステージだけを遊ばせるべきであった。これならばアクションの不満もあまり気にせず、おかしな部分で笑って、はい、お仕舞い、となったはずだ。

 だが、おそらくはプレイヤーに骨太なアクションを遊ばせたいという意図があったのであろう。多くのステージ、ボス、ショップシステムやTEMPURAフィーバーなんてものを用意した理由は、アクションゲームを楽しんでもらいたいという思惑があったからとしか考えられない。

 もう一度書くが、作中に含まれているジョークに重きを置けば、良し。アクションゲームと考えることに重きを置けば、悪し。『The TEMPURA of the Dead』はそういう作品だ。ただ、用意されたシステムを見るとやはりアクションゲームと考えるべきで、そうなると、見るべき箇所はあるのだが、残念な出来であると評するべきではないだろうか。
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コメント

ジョークも全く笑えない件
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