ムカつくヤツがいても、ウィラメッテがスカスカでも、ゾンビとたわむれる自由は確かに存在する 『デッドライジング4』

ゾンビを好きに殺し終えたが、本当に殺すべき存在は……

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 Xbox One版の『デッドライジング4』をクリアした。途中まではそこそこ楽しいと思っていたのだが、後味があまりにも悪くてびっくりである。

 さて、『デッドライジング』シリーズはスピンオフを除くと4作品出ているが、初代とそれ以外は開発元が違う(1は国内カプコン製、2以降はカプコン・ゲーム・スタジオ・バンクーバー製)ので毛色も違ってくる。『デッドライジング4』は初代主人公「フランク」が返り咲いているものの、やはり2以降の系譜の作品であろう。

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 ひとまず“広いウィラメッテで自由にゾンビを殺す”という部分は文句なし。「エキゾスーツ」という新要素があるため通常攻撃の爽快感が相対的に薄いように感じられてはしまうが、コンボ武器はいろいろなものがあるし、ゾンビどもを凍らせたり爆発させて飛ばすのは良いものだ。

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 また、カメラ要素が復活したのが嬉しいというのも何度書いていることか。ゾンビは被写体としてかなり優秀で、殺して良し、ドラマチックな場面を撮って良し、コミカルなシーンを演出しても良しと、実に素晴らしい。自由に探索できるオープンワールドとの相性もいいだろう。

主人公が同じでも1と4は違う

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 しかし、シリーズの特徴である時間制限が撤廃されたのは気になるところか。3までのシリーズは一周ですべてのイベントをこなすのが難しいため、何回も遊びつつレベルを上げてすべてのイベントを攻略できるようチャートを組み立てていく……という遊び方のはずなのだが、これが世間的には好評ではなかったようだ。

 無論、そこを改善してより楽しめるようにするのはいいのだが、あっさり変えてしまったせいか今回のウィラメッテはかなり味気ない。特に街中に現れるサイコパスの扱いが軽くなったのは残念だし、生存者もほとんどロクな会話がないのでフランク以外は“雑なその他大勢”という感じなのだ。

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 ゾンビものの醍醐味のひとつは、狂ったりあっさり死ぬ人がたくさんいるところであろう。そして、そんな人たちにもドラマがあるはずなのだが、本作にはそれがない。今のウィラメッテに何かがあるとしたら、多すぎる収集品である。

 初代『デッドライジング』は、ウィラメッテの小さなショッピングモールにいろいろなものを詰め込もうという意図が感じられた。ゾンビに襲われる人の恐怖、豊富なアイテム、サイコパスとなってしまった人の悲哀、フランクの活躍……。しかし『デッドライジング4』は世界が広くなったのに、いや広くなったからこそ密度があまりにも薄く感じられる。

最悪の存在「Vick」

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 とはいえ、全体的に見れば出来栄えは悪くない。好きにゾンビを殺し、ほとんどオマケとなったマルチプレイ(協力プレイ)モードをのんびり遊び、写真撮影に精を出せば、ホリデーシーズンのウィラメッテを堪能できるだろう。

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 ……クリアするまではそう思っていた。しかし、本作に出てくる「Vick(ヴィック)」という存在がその平穏な気持ちをかき乱してくれた。こいつはフランクの弟子のような人物なのだが、終盤の行動があまりにも不愉快で最高に気分が悪くなる。なぜこいつは銃で撃って死なないのか? どうしてゾンビに食わせられないのか?

 殺したくなるほどムカつく理由はプレイしてもらえばわかるので割愛するが、おそらくこのキャラクターは物語の都合で嫌なヤツになったのであろう。本作のフランクは過去にいろいろあってひねくれていたが、ジャーナリストとして真摯なヴィックがやや強引な行動で彼の姿勢を正し、結果として和解する……はずなのだが、その過程や心理状況が省略されすぎていてダメだ。ヴィックはただフランクの邪魔をする最悪で邪悪なクソでしかない。

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 前述のように、本作は時間制限が撤廃されたため周回プレイへの意欲が薄くなる。そこにこのクソ野郎であるヴィックの存在が染み込んできて、せっかく楽しいゾンビとの写真撮影に泥を塗られたかのような締めくくりになるのであった。
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『デッドライジング4』ゾンビ写真館

写真ばかり撮っていてゲームが進まない様子をご覧あれ

この記事は、Xbox One版『デッドライジング4』のゲーム内で撮影した写真を紹介するものである。

DRing4_01_01.jpg作品名:「ゾンビ・ストーム」

 なんでも聞くところによると、台風の影響で空から魚やカエルが降ってくるなどということがあるそうだ。しかし、ウィラメッテはさすがに一味違う。なんとここでは凍ったゾンビの台風を眺めることができるのだ。

 背後からいきなり現れるゾンビ、墓場から湧き出てくるゾンビ、車の後部座席にいるゾンビ……。さまざまなゾンビが存在するものの、凍りながら竜巻に巻き込まれているゾンビが見られるのはウィラメッテだけであろう。

DRing4_01_02.jpg作品名:「ひとりきりのホリデー」

 ウィラメッテでは、これまでいくつものゾンビ・アウトブレイクを乗り越えたジャーナリスト「フランク・ウェスト」氏が暴れている。最近では自分の境遇に不満を感じているらしいが、しかしクリスマスツリーの前では笑顔を見せている。

 ……と思いきや、目をつむってしまっている。なんだか物悲しい雰囲気を感じてしまうが、それも当然だ。ウィラメッテには人を殺そうとする狂人やゾンビはたくさんいるが、クリスマスを祝おうとするやつらなんてほとんどいないのだから。

DRing4_01_03.jpg作品名:「ゾンビの哀愁」

 ゾンビたちは獰猛で恐ろしいが、同時に悲しい存在でもある。かつては人間だったのにも関わらず、今や見境なく動くものを襲う獣になってしまっているのだ。もし自分の大事な人がゾンビになったら……、きちんと銃を撃てるだろうか?

 しかし、同時にゾンビはバカでもある。ゾンビの足にダイナマイトをつけて投げたところ、連中はそれに群がりまくる。そして爆発が起こり、ゾンビどもは身体を吹き飛ばしながら宙へと飛ぶのだ。そのマヌケぶりが一瞬は笑えるが、写真を眺めていると次第に虚しさが湧いてくる。こいつらも元人間なのだな、と。

DRing4_01_04.jpg作品名:「生存者の無駄な抵抗」

 ここでは時折、ほかの生存者たちがゾンビと戦っている姿を見ることがある。必死に生き残ろうとするその姿は美しい。まァ、こいつらは人間を見たら襲ってくるのでこっそり後ろから銃弾を浴びせるのだが。

DRing4_01_05.jpg作品名:「ゾンビものでよくあるやつ」

 ゾンビ映画、もしくはドラマで「窓から外を見たらゾンビがたくさんおり、世界が変わってしまったことを示す」というシーンがよくあるが、そんなような写真である。それにしてもゾンビは窓枠がよく似合う。

DRing4_01_06.jpg作品名:「規制」

 解剖されているゾンビの中身が黒く塗りつぶされていた。何かの見間違いかと思って写真に撮ってディスプレイ越しに見てみたが、どうもそれが事実らしい。確かにこんな状況じゃ「ランク:F」としか言いようがないだろう。
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ゾンビを殺すだけじゃ勿体無い! ヤツらは最高の被写体だ 『デッドライジング4』

殺せ、ゾンビを! 撮れ、ゾンビを!

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 Xbox One版の『デッドライジング4』を買って遊んでいる。しかしまさか、しょうもないゲームオタクである僕が“自撮り”なんていうものにハマるとは……。

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 本作の主人公はフォト ジャーナリストの「フランク・ウェスト」である。そう、シリーズ一作目の主人公が復活し、あのアウトブレイクが始まった街「ウィラメッテ」へと帰ってくるのだ。

 もっとも彼にとってそれは不本意で、弟子である「ヴィック」にハメられて戻ってきてしまったのだが。しかし、彼女が新たなゾンビ・アウトブレイクの騒動に巻き込まれていくことにより、乗り気でなかったフランクもジャーナリストとして真相を明らかにしようと決意するのであった。

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 ……とまァ、堅苦しく書いたが、本作はオープンワールドで好きなようにゾンビを殺しまくるというひどくわかりやすいゲームだ。脳みそを空っぽにして遊べばよく、ナイフだろうとビーチボールだろうとくるみ割り人形だろうと、好きなものを使ってゾンビを殺せばよい。

 ただ、これまでのシリーズといろいろと仕様が変わっており、やや戸惑うところが多いか。クエストの時間制限がなくなったのはさておき、まさか武器を投げ捨てられないことにフラストレーションを感じるとは思わなかった。

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 しかしながら、とにかく自撮りが最高に楽しい。新しい衣装を見つけたらゾンビと一緒にセルフィー! 僕は自撮りなんてほとんどしないタチだが、ゾンビとなら撮影してみたい。無論、撮影したあとは臭いので連中の首の骨を折って心地よくなろう。

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 一度はカメラという要素を捨てた『デッドライジング』シリーズだが、他のオープンワールド作品の進化に追随する形で撮影というシステムが復活したといったところか。その経緯は悲しいと言わざるを得ないが、しかしゾンビを撮るのは最高に面白い。レンズを通すことによって、プレイヤーの下卑た部分が露わになるのだ。
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『ポケモン サン・ムーン』なぜ「リーリエ」は最後に○○○○○○へ行くのか?

新キャラ「リーリエ」に関するおはなし

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※本稿は、『ポケットモンスター サン・ムーン』に登場する「リーリエ」というキャラクターに関するコラムである。本作の物語に興味を持った方は読んでいただけると嬉しい。なお、この記事には、『ポケットモンスター サン・ムーン』におけるストーリーのネタバレが含まれているため、まだクリアまでプレイしていない方は読むべきではない。

主人公と「リーリエ」

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 『ポケットモンスター サン・ムーン』は、カントー地方から南国のアローラ地方にやってきた主人公が、ポケモンたちを集めて育てる冒険の旅に出るゲームである。主人公は4つの島を巡り、伝説のポケモンに関する大きな物語に関わりつつ成長していく。

 しかしながら本作には、忘れてはならない人物がいる。それは、金髪のロングヘアーと白い衣装が特徴的な少女「リーリエ」だ。彼女は“もうひとりの主人公”と言っても良いほどの活躍をしていくことになる。

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 リーリエは、何かと付け狙われる「ほしぐもちゃん」という不思議なポケモンを匿っている少女だ。しかし彼女はポケモントレーナーではないため、劇中では主人公に守られ同行する立場にある。

 旅を通じてリーリエは主人公と絆を深め、とある大きな事件をきっかけに、自ら主体的に冒険に挑戦するようになる。つまり、『ポケットモンスター サン・ムーン』は主人公の物語であると同時に、彼女が独り立ちする物語でもあるわけだ。

「リーリエ」というもうひとりの主人公

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 さて、そんなリーリエはエンディングでカントー地方へ旅立つ決意をする。せっかく主人公やその仲間たちと仲良くなったのに別れねばならず、ボーイ・ミーツ・ガールの終わりを迎えるといったところだろうか(いや、主人公が男とは限らないのだが)。

 ここでひとつ気になることがある。なぜリーリエはカントー地方へ行ったのか? もちろん答えは、終わりを迎えるためのシメが必要(ストーリー上の都合)であるからだ。しかし、なぜカントー地方なのか。それはカントー地方に行く意味があるからなのだが、単純にそれだけとは思えない。

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 ところで、アローラ地方が舞台の『ポケットモンスター サン・ムーン』は、『ポケットモンスター』シリーズが20周年を迎える年に出た作品だ。そして、初代となる『ポケットモンスター 赤・緑』の舞台はカントー地方である。そう、この相互関係に意味がないとは思えないのだ。

 主人公は、カントー地方から新たな土地へ進む存在だ。また、一切喋らないことからもプレイヤーの分身に近い。ひたすらに新地方を歩む姿は、新作の『ポケットモンスター』シリーズを遊び続けているプレイヤーそのものと言っても過言ではない。

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 一方でリーリエの行動は逆だ。違う次元から飛び出してくるウルトラビーストや、これまでに見られなかったリージョンフォームなどというポケモンがいるアローラ地方に住んでいたのに、逆に最初の『ポケットモンスター』シリーズの舞台となるカントー地方に行くのである。

 さて、主人公がプレイヤーそのものだとしたら、リーリエはいったいどういう立場を反映したキャラクターなのか? 僕は、彼女が“『ポケットモンスター』シリーズの決意”のようなものではないかと考えている。

少女の背中に映るものとは

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 バーチャルコンソールで配信されている『ポケットモンスター 赤・緑』をプレイした人も多いだろうが、初代はゲームボーイ時代のタイトルだけあって古臭いところが多い。この環境で育成・対戦をしろと言われても困ってしまうだろう。

 ただし、“さまざまなポケモンを集めて育てる”という基本的な部分はこのころからまったく変わっていない。いろいろと便利になり、ほかの要素も増え、ポケモンたちの総数も5倍以上になった。だが、ポケモンたちと旅をするという基礎はそのままなのだ。

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 リーリエ、つまり「新しい存在」が我々の目の前を去りカントー地方に行くということは、『ポケットモンスター』最新作が“オリジンを忘れない”と我々に伝えているかのように見えるのである。どれだけ新しくなり多くの要素が増えたとしても、カントー地方から始まった『ポケットモンスター』シリーズの根底は不変であるということを。

 『ポケットモンスター サン・ムーン』で出会った少女の背中に、この大きなシリーズの強い決意が重なって見えたのである。
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『ポケットモンスター サン・ムーン』に“20年目の挑戦”を感じる

20年目の『ポケモン』最新作が登場

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 2016年11月18日に発売されたニンテンドー3DSタイトル『ポケットモンスター サン・ムーン』を購入した。『ポケットモンスター』20周年記念タイトルとなる本作は、かなりの期待が集まっているだろう。

 かくいう僕も発売日から遊んではいたのだが、どうもきちんとした休みが取れず困っていた。具体的には、本作が面白くてついつい深夜までプレイしてしまい、しんどくて仕事とこのゲーム以外のことがなんにもできなかったのである。

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 さて、本作の舞台はハワイをモチーフにした「アローラ地方」である。太陽が眩しいこの地方では、これまで出現していたポケモンたちが異なった姿で登場する「リージョンフォーム」が存在したり、謎の存在である「ウルトラビースト」が出現したりと、いろいろな新要素が用意されているわけだ。

 主人公は4つの島を巡り、一人前のポケモントレーナーになるための冒険を繰り広げていく。……わけなのだが、20周年記念作品だからかいろいろと気合が入っているのも特徴である。

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 まず、本作はバトルの難易度がなかなか高めである。前作となる『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』は“ボタン連打でクリアできる”と揶揄されるほど低難易度だったが、今回はタイプ相性やパーティーの構成を考えないと負けるケースも多い。

 もちろん理不尽な高難易度ではないが、ひさびさに歯ごたえのあるゲームプレイになっていて何よりだ。多くの人が遊ぶゲームだけあって、ストーリー上のバトルが退屈なのは致し方ないと思っていただけに。

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 また、ストーリーのほうもなかなか楽しい。“ほしぐもちゃん”という名の不思議なポケモンを持つ「リーリエ」、謎の人工ポケモンを連れた「グラジオ」の存在など、キャラクターも物語を重視したデザインになっているようだ。話の筋も、テキトーに悪の組織を倒すだけではない。

 低難易度でわかりやすすぎる物語というのが多くの人に受け入れられるであろう作品、というのもわかるのだが、正直なところそれに退屈さを感じるのも事実である。今回はそういったものではなく喜ばしい限りだ。

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 ところで、僕が最初にパートナーとして選んだポケモンは「モクロー」なのだが、いきなり色違いが出てきて驚きを隠せなかった。ここまで特別感のある色違いも珍しいものよ。
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